糖尿病による脳卒中リスクに男女差はあるか?/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/03/14

 

 脳卒中のリスク因子としての糖尿病について、性差による違いがあるかどうかを調べた結果、男性よりも女性のほうが受ける影響が強いことが明らかになった。オランダ・ユトレヒト大学のSanne A E Peters氏らがシステマティックレビューとメタ解析にて、被験者77万5,385例、うち脳卒中1万2,539例を含む64コホートを分析し報告した。糖尿病は脳卒中の強力なリスク因子であるが、これまで性差により違いがあるのかについては検討されていなかった。Lancet誌オンライン版2014年3月7日号掲載の報告より。

脳卒中と糖尿病の性差による関連を分析
 研究グループはPubMedにて、1966年1月1日~2013年12月16日の間に発表された前向き住民ベースのコホート研究を検索し、脳卒中と糖尿病の関連について性特異的相対リスク(RR)およびその変動性を報告していた研究を特定し分析した。

 性特異的RRをプールし、女性と男性の比率をランダムエフェクトメタ解析の逆分散重みづけ法を用いて比較した。

女性糖尿病患者の脳卒中リスク、男性糖尿病患者の1.27倍
 結果、脳卒中と糖尿病のプール最大補正後RRは、女性が2.28(95%信頼区間[CI]:1.93~2.69)、男性は1.83(同:1.60~2.08)だった。すなわち男性糖尿病患者と比較して女性糖尿病患者のほうが脳卒中リスクは高く、プールRR比は1.27(1.10~1.46、I2=0%)だった。出版バイアスのエビデンスはなかった(p=0.65)。

 これらの性差は事前規定の主要脳卒中、参加者、試験サブタイプを問わず一貫していた。

 結果を踏まえて著者は、「脳卒中の糖尿病による過剰リスクは、男性よりも女性で有意に高く、性差は、その他の主要心血管リスク因子とは独立していることが示された」とまとめている。そのうえで、「今回得られたデータは、男性と女性では糖尿病関連の疾患発生が異なるという既存のエビデンスレベルを上げるとともに、さらなる検討により、生物学的、行動学的または社会構造的関連を明らかにする必要があることを示唆するものである」と結んでいる。

原著論文はこちら

Peters S A E, et al. Lancet. 2014 Mar 7. [Epub ahead of print]