RSV流行期に健常早産児へのパリビズマブ月1回投与、喘鳴エピソードを有意に抑制/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/05/31

 

 RSウイルス(RSV)の流行期に、健常早産児にモノクローナル抗体パリビズマブ(商品名:シナジス)を月1回投与することで、生後1年間の喘鳴が認められた日数が有意に減少し、また投与終了後も効果の持続が認められたことが、オランダ・ユトレヒト大学病院のMaarten O. Blanken氏らによる多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験MAKIの結果、報告された。RSVは、1歳未満児の冬季入院の最も多い原因である。また、重症RSV感染症は、高齢になってからの喘息等の発生率と関連していること、さらにRSVは幼児期の喘鳴症状との関連やQOL、医療コストに与える影響が大きいことが知られている。しかし観察研究では、RSV感染が反復性喘鳴の原因であるのか、早産児においてはもともと存在する肺の脆弱性の最初の徴候であるのかが明らかではなかった。一方でパリビズマブは、ハイリスクの乳児の重症RSV感染症の予防に有効であることが先行研究で示されていた。NEJM誌2013年5月9日号掲載の報告より。

生後1年間における喘鳴の総日数についてプラセボと比較
 本研究において研究グループは、パリビズマブを用いて、生後1年間における喘鳴の病因においてRSV感染症が潜在的な原因となっている可能性を調べることを目的とした。

 2008年4月~2010年12月の間に、オランダ国内の15地点から、在胎33~35週で出生した429例を登録し、RSV流行期に、パリビズマブを月1回接種する群(214例)とプラセボを接種する群(215例)に無作為に割り付けられた。被験児は、早産であること以外は健常で、RSV流行期が始まる時点で6ヵ月未満児であった。

 事前に規定した主要アウトカムは、生後1年間における喘鳴が認められた総日数(両親による報告)とした。ウイルス解析は、呼吸器エピソード発生の間に鼻咽頭スワブにて行われた。

生後1年間の喘鳴総日数はプラセボ群と比べて相対的に61%低下
 パリビズマブ接種群の生後1年間の喘鳴総日数は、プラセボ群と比べて相対的に61%(95%信頼区間[CI]:56~65)減少した。パリビズマブ予防群が930/5万3,075日(1.8%)、プラセボ群2,309/5万1,726日(4.5%)であった。

 また、同期間中に反復性喘鳴を来した乳児の割合は、パリビズマブ群が10%低かった(11%対21%、p=0.01)。

 著者は、健常早産児へのパリビズマブ接種は、生後1年間の喘鳴が認められた日数を有意に減少し、その効果は投与終了後も持続したと結論したうえで、「本研究で示されたパリビズマブ投与終了後も効果が持続したという所見は、RSV感染症が早産児の生後1年間における喘鳴の重大な機序であることを示すエビデンスである」とまとめている。

(武藤まき:医療ライター)