院内心停止後生存高齢者の1年生存率58%、3年生存率は心不全患者と同程度/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/04/08

 

 Paul S. Chan氏らAssociation Get with the Guidelinesの心肺蘇生研究グループによる調査の結果、院内心停止を起こした高齢の生存者について、60%近くが1年時点で生存しており、3年時点の生存率は心不全患者と同程度であったことが明らかにされた。生存率と再入院率は、患者の人口統計学的特性と退院時の神経学的状態によって異なることも示された。院内心停止後の高齢生存者についての長期予後については、これまでほとんど明らかとなっていなかった。研究グループは、予想される転帰や予後因子を明らかにすることで、診療の評価と蘇生治療の目標がより明確になるとして本検討を行った。NEJM誌2013年3月14日号掲載の報告より。

65歳以上生存退院者の1年生存率と再入院率を調査
 院内心停止生存者における長期生存率と再入院率を調べ、それらが人口統計学的特性と退院時の神経学的状態によって異なるかについて検討された。全米心停止登録とメディケアファイルのリンクデータから、2000~2008年の間に院内心停止を起こした65歳以上生存退院者を特定して行われ、1年生存の予測因子と再入院の予測因子が調べられた。

 評価コホートに組み込まれたのは、6,972例であった(男性55.5%、黒人11.8%、平均年齢75.8±7.0歳)。

3年時点の生存率、院内心停止後生存群43.5%、心不全群44.9%、リスク比0.98(p=0.35)
 結果、退院後1年時点で58%が生存しており、34.4%が再入院をしていなかった。

 リスク補正後1年生存率は、より若い患者群よりも高齢である患者群のほうが低率だった(65~74歳群:63.7%、75~84歳群:58.6%、≧85歳群:49.7%、p<0.001)。また女性(60.9%)よりも男性(58.6%)のほうが低く(p=0.03)、白人(60.4%)よりも黒人(52.5%)患者のほうが低かった(p=0.001)。

 さらに、退院時の神経学的状態が軽度~なしの患者のリスク補正後1年生存率は72.8%で、同中等度患者は61.1%、同重度患者は42.2%、昏睡または植物状態であった患者では10.2%であった(すべての比較p<0.001)。

 1年再入院率については、黒人、女性、顕著な神経障害があった患者で高率だった(すべての比較p<0.05)。

 これらの生存率と再入院率の差は、2年時点でも認められた。なお3年時点では、院内心停止後生存患者の生存率は、心不全で入院し生存退院した患者と同程度であった(院内心停止後生存群43.5%vs. 心不全群44.9%、リスク比:0.98、95%信頼区間:0.95~1.02、p=0.35)。