抗生物質の処方が地域に耐性菌を蔓延

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ケアネット

抗生物質の処方が地域に耐性菌を蔓延のイメージ

一般医の抗生物質の処方が地域に耐性菌を蔓延させている、との興味深い論文が、BMJ誌オンライン版7月26日号、本誌9月1日号に掲載された。

 英国一般診療で抗生物質の処方が最も多いのは、小児の急性呼吸器感染症に対してだが、コミュニティ・スタディなどがほとんど行われてこなかった。英国オックスフォード大学のAngela Chung氏らがあらためて観察研究を行った結果の報告。

急性呼吸器感染症と診断の小児119例を追跡調査


英国一般診療において抗生物質の処方と耐性菌出現との相関は低いと言われてきたが、最近の報告で、欧州19ヵ国のペニシリンのコミュニティにおける使用とペニシリン耐性菌出現との相関は0.84であると報じられた。ただし、スウェーデンやデンマークは英国よりも処方率は高いが耐性菌レベルは低く、一方フランスは処方率は高いが耐性菌レベルが高い。アイスランドのコミュニティ・スタディでは相関関係は特に見られないなど国によって異なる事実もある。

Chung 氏らの観察研究は、オックスフォードシャー州の一般医開業医を受診し急性呼吸器感染症と診断された生後6ヵ月~12歳までの小児119例が対象。そのうち 71例はβラクタム系抗生剤(アモキシシリン70例、cephradine 1例)を処方されており、2週時点と12週時点に咽頭ぬぐい液検査を行い、アンピシリンの最小発育阻止濃度とICEHin1056耐性因子を4つのHaemophilus分離株で評価した。

抗生物質投与群の耐性菌出現リスクは2倍


2週時点の評価で、アンピシリンの最小発育阻止濃度は、アモキシシリン処方の有無で3倍以上の開きがあることが明らかとなった(処方あり9.2 μg/mL vs 処方なし2.7 μg/mL、P=0.005)。

またICEHin1056耐性因子のリスクは約2倍になることも示された(処方あり67% vs処方なし36%、相対危険度1.9、95%信頼区間1.2-2.9)。

耐性因子の増加は一過性だったが(12週時にアンピシリン耐性はベースライン近くに低下)、約35%の小児に耐性因子の存在が示され、本研究の一部ポイントでは83%(76%~89%)だった。

Chung 氏らは、「プライマリ・ケアで処方されるアモキシシリンの短期的影響は、個々の小児にとって一過性かもしれないが、集団観点ではハイレベルの抗生物質耐性を蔓延させるのに十分足りうるものだ」と結論付け、一般診療での抗生物質の処方を大きく変化させる必要があると述べている。

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