民間保険加入小児に生じているワクチン投与格差

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ケアネット

民間保険加入小児に生じているワクチン投与格差のイメージ

米国では最近5年間で小児および思春期の若者へのワクチンが倍増した。髄膜炎、3種混合(破傷風-ジフテリア-百日咳)、A型肝炎、インフルエンザ、ロタウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)など新たにもしくは拡大推奨されたワクチンを、小児全員に投与するための公的セクターのコストは7.5倍(1995年155ドル→2007年1,170ドル)に膨らんだという。

 ワクチン投与は罹患率の低下など効果をもたらす一方、州の政策立案者や臨床家から、ワクチン接種をカバーしないタイプの民間保険に加入する小児(2000年時点で約14%)の問題が指摘されるようになった。彼らのワクチンコストは州がカバーすることになっているが、その適用に格差が生じているというのである。

 ハーバード大学メディカルスクール&ハーバード・ピルグリム・ヘルスケアのGrace M. Lee氏らは、格差の実態と原因を調査。JAMA誌8月8日号に詳細が報告された。

州担当者にワクチン購入・供給について聞き取り


本研究は、各州の予防接種プログラム・マネジャーへの2段階の聞き取り調査によって行われた。州保健局に雇用される予防接種プログラム・マネジャーは、公的資金で必要なワクチンを購入し、公的セクター(保健所など)や民間クリニックの臨床家に配布する役割を果たしている。

第1 段階の調査は2005年11月~12月にかけて、それぞれ異なる資金調達方針を掲げる9人のマネジャーに対する、1時間に及ぶ質的な質問項目からなる電話インタビュー。第2段階は2006年1月~6月にかけて、全国50州のマネジャーを対象とする電話と書面による調査が行われた。回答が得られたのは48州(96%)。

格差の原因は資金調達システムに


その結果、髄膜炎ワクチンについて、公的資金での購入・供給を民間クリニックに対して行っていないと回答したのが30/43州(70%)、公的セクターにしていないと回答したのは17/43州(40%)に上った。肺炎球菌ワクチンについてはそれぞれ24/48州(50%)、8/48州(17%)だった。

また10の州で、新規ワクチン購入資金が限られていることを理由に2004年~2006年前半の間に、私的保険加入小児が公的資金で購入した新規ワクチンを接種できないように州の政策を変更していた。

米国では、保険未加入およびメディケイドなど公的保険に加入する小児へのワクチン投与は連邦政府が資金を提供するVFCプログラムによって保障される。マネジャーはこのVFC資金、セクション317と呼ばれる資金と、州が割り当てる予算でワクチンを購入するのだが、調査ではマネジャーから「私的保険加入児の前には連邦および州政府の財源不足という壁が立ちふさがっている」との指摘が相次いだ。

こうした結果を踏まえLee氏らは、「子どもたちがすべてのワクチン接種を受けられるような資金調達システムの戦略が必要だ」と提起した。

(武藤まき:医療ライター)

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