一次予防ICDを試験で受けた人と臨床で受けた人の生存率に有意な差みられず/JAMA

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/01/21

 

 植込み型除細動器(ICD)を受けるよう無作為に割り付けられた臨床試験の患者と、一次予防ICDを受けた臨床試験登録患者との生存率を比較した結果、両者には有意な差がみられなかったことを、米国・Duke Clinical Research InstituteのSana M. Al-Khatib氏らが報告した。無作為化試験は、ICD療法が命を救うことを示す。これまで一次予防臨床試験でICDを受けた患者の生存と、臨床実践で一次予防ICDを受けた試験適格患者の生存と異なるのかについては明らかではなかった。JAMA誌2013年1月2日号掲載より。

試験間の全死因死亡を比較
 研究グループは、大規模全米レジストリに登録され一次予防ICDを受けた試験適格患者の生存率が、2つの大規模一次予防臨床試験でICD療法を受けた患者[MADIT-II(742例)、SCD-HeFT(829例)]の生存率と異なるのかを調べた。

 2006年1月1日~2007年12月31日の間のNational Cardiovascular Data Registry ICD Registry登録患者について、MADIT-II試験基準(傾向スコア適合2,464例)、あるいはSCD-HeFT試験基準(傾向スコア適合3,352例)と適合させたデータ(適合コホート)を後ろ向きに解析して行われた。レジストリ患者の死亡データは2009年12月31日まで集め、Cox比例ハザードモデルにて全死因死亡を比較(主要評価項目)した。

ICDを受けた人の生存率に有意な差はみられず
 追跡期間中央値は、MADIT-IIが19.5ヵ月、SCD-HeFTが46.1ヵ月、ICDレジストリは35.2ヵ月だった。

 臨床試験に登録された患者と比較して、ICDレジストリの患者は年齢が有意に高く、複数疾患を有する割合が高かった。

 適合コホートでの検討の結果、ICDを受けるよう割り付けられた、レジストリのMADIT-II様患者群とMADIT-II患者群の生存率に有意な差はみられなかった。2年死亡率はそれぞれ13.9%と15.6%で、補正後ハザード比は1.06(95%信頼区間:0.85~1.31、p=0.62)だった。同様に、SCD-HeFT様患者群とSCD-HeFT患者群との生存率も有意な差はみられなかった。3年死亡率はそれぞれ17.3%と17.4%で、補正後ハザード比は1.16(95%信頼区間:0.97~1.38、p=0.11)だった。

 一方で、薬物療法を受けた人については、それぞれの比較において有意な差がみられた(例:MADIT-II様患者群とMADIT-II患者群での2年死亡率補正ハザード比は0.73、p=0.007)。また、これらの結果は65歳以上の患者で検討した場合も、同様であった。

 これらの結果を踏まえて著者は、「本試験で得られた知見は、引き続き臨床試験で認められた類似の患者における一次予防ICDの使用を支持するものである」と結論している。

(武藤まき:医療ライター)