プライマリ・ケアでのCOPD患者の自己管理・定期管理vs.通常ケア、長期ベネフィットは?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2012/12/17

 

 プライマリ・ケアでの慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者のマネジメントについて、総合的自己管理や定期管理と、通常ケア(患者の判断で受診)とを比較した無作為化試験の結果、総合的自己管理や定期管理は通常ケアと比べて、QOLや効果の実感に関して長期的なベネフィットが示されなかったことが、オランダ・Radboud大学のErik W M A Bischoff氏らにより報告された。プライマリ・ケアでは特に、COPDに対して周到で効果的なマネジメント戦略が必要とされる。しかし、著者らは、ガイドラインに即した定期管理の効果には疑問の声もあり、総合的自己管理プログラムのベネフィットは示されているが、プライマリ・ケアでの効果は明らかではないとして本検討を行った。BMJ誌2012年12月1日号(オンライン版2012年11月28日号)掲載より。

自己管理、定期管理、通常ケアの3群に無作為化し検討
 研究グループは、一般診療所におけるCOPD患者の2つの異なる疾病マネジメント方法(総合的自己管理と定期管理)について、QOL(主要目的)、増悪の頻度と自己管理、効果の実感(副次目的)に関する長期の効果を評価することを目的に、24ヵ月にわたる多施設共同での調査者盲検3群プラグマティック無作為化試験を行った。

 被験者は、オランダ東部の15の一般開業医で、スパイロメトリーで確認され治療を受けているCOPD患者を対象とした。呼吸器専門医の治療を受けている重症のCOPD患者は除外された。

 被験者は、総合的自己管理群と定期管理群、通常ケアの3群に割り付けられた。総合的自己管理群には、通常ケアの補助として、臨床看護師による4回の特別セッションを含む継続的な電話サポートプラグラムが提供された。定期管理群には、通常ケアの補助として、臨床看護師による年2~4回の体系的コンサルテーションによりモニタリングが行われた。通常ケア群は、患者主導の受診のみであった。

 主要評価項目は、CRQ(Chronic Respiratory Questionnaire)の合計スコアで測定した24ヵ月時点のCOPD特異的QOLの変化とした。副次評価項目は、CRQの各領域スコア、Nijmegen telephonic exacerbation assessment systemで測定した増悪の頻度と患者管理、およびCOPD self-efficacy scaleで測定した効果の実感とした。

自己管理は通常ケアよりも適切な増悪管理が可能
 165例の患者が、自己管理群(n=55)、定期管理群(n=55)、通常ケア群(n=55)に割り付けられた。

 24ヵ月時点の、平均CRQスコアについて、3群間の補正後治療格差に有意差は認められなかった。また、増悪に対する自己管理を除き、副次評価項目の結果でも差は認められなかった。

 通常ケア群と比較して自己管理群では、増悪の管理を、気管支拡張薬(オッズ比:2.81、95%信頼区間:1.16~6.82)、プレドニゾロンあるいは抗菌薬またはその両方(同:3.98、1.10~15.58)で、より多く行っていることが認められた。

 以上の結果を踏まえて研究グループは、「一般診療所のCOPD患者では、総合的自己管理や定期管理は、QOLや効果の実感に関して通常ケアよりも長期的ベネフィットを示さなかった。自己管理群では、通常ケア群よりも増悪を適切に管理することが可能のようである」とまとめている。