IgMリウマトイド因子が>100/IUmLの人、10年絶対発症リスクは最高で32%

提供元:ケアネット

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公開日:2012/10/26

 

 血漿IgMリウマトイド因子が>100 IU/mLの人は、同値が<25 IU/mLの人と比べて、関節リウマチの長期発症リスクが26倍であること、10年絶対発症リスク最高値は32%であることが明らかにされた。関節リウマチは人口の0.5~2%に発症する自己免疫疾患だが、臨床利用可能な長期リスクのインジケーターはなかった。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のSune F Nielsen氏らが約1万人のコペンハーゲン住民を28年間追跡した前向きコホート研究の結果、明らかにした。BMJ誌2012年10月13日号(オンライン版2012年9月6日号)掲載報告より。

一般住民9,712人を28年間追跡
前向きコホート研究「Copenhagen City Heart Study」は、1981~1983年に採血をしたコペンハーゲン在住の一般住民を対象とし、2010年8月まで追跡した。参加者は20~100歳のデンマーク人で、試験開始時にリウマチを発症していなかった9,712人だった。

参加者を、基線の血漿IgM型リウマトイド因子レベルで4群(<25、25~50、50.1~100、>100 IU/mL)に分け、関節リウマチの発症について、最低値(<25 IU/mL)群と各群を比較した。

被験者のリウマトイド因子レベルは、年齢を問わず同程度だった。

<25 IU/mL群と比較し、>100 IU/mL群の関節リウマチ発症リスクは26倍
結果、18万7,659人・年の間に、183例が関節リウマチを発症した。

健康な人を含む9,712人における追跡28年間の関節リウマチのリスクは、3.3倍(95%信頼区間:2.7~4.0)増大した。その他の自己免疫リウマチ疾患(シェーグレン症候群など)の発症も同様の傾向がみられた。

関節リウマチの累積発症率は、リウマトイド因子レベルのカテゴリー値が増すほど増大した(傾向のp<0.0001)。

<25 IU/mL群と比較した、関節リウマチ発症の多変量補正ハザード比は、25~50 IU/mL群が3.6(95%信頼区間:1.7~7.3)、50.1~100 IU/mL群が6.0(同:3.4~10)、>100 IU/mL群が26(同:15~46)であった(傾向のp<0.0001)。

関節リウマチの10年絶対リスク最高値は32%で、50~69歳の女性で喫煙者、リウマトイド因子レベル>100IU/mL群で観察された。

結果を踏まえて著者は、「この新しい知見は、リウマトイド因子の検査結果に基づき早期にリウマチ専門医や専門クリニックへ紹介するように、ガイドラインの改訂に至る可能性がある」と結論している。

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コメンテーター : 杉原 毅彦( すぎはら たかひこ ) 氏

東京都健康長寿医療センター 膠原病・リウマチ科 医長

J-CLEAR評議員