非心臓手術後の院内死亡率は予想以上に高い:EuSOS試験

提供元:ケアネット

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公開日:2012/10/04

 

 欧州で非心臓手術を受けた患者の院内死亡率は4%と予想以上に高く、各国間に大きなばらつきがみられることが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリーのRupert M Pearse氏らが行ったEuSOS試験(http://eusos.esicm.org/)で示された。毎年、世界で2億3,000万件以上の大手術が行われ、術後の最大の死因は合併症であり、これまでに国レベルで実施された数少ない調査では術後の死亡率は1.3~2.0%と報告されている。術後の転帰には施設間や医療システム間に異質性が存在するとのエビデンスが示されており、これは患者ケアに改善の余地があることを示唆するという(たとえば、合併症リスクが高い患者の集中治療室への入院の普及)。Lancet誌2012年9月22日号掲載の報告。

非心臓手術後の転帰を7日間コホート試験で評価
EuSOS(European Surgical Outcomes Study)試験は、ヨーロッパにおける非心臓手術後の転帰を評価する国際的な7日間コホート試験。

2011年4月4~11日の7日間に、ヨーロッパの28ヵ国498施設から16歳以上の非心臓手術を受けた入院患者のデータが収集された。その後、患者は最長で60日間のフォローアップを受けた。

主要評価項目は院内死亡率とし、副次的評価項目は入院期間および集中治療室入院とした。各国間の死亡率の差はマルチレベル・ロジスティック回帰モデルで調整した。

死亡例の73%が術後に集中治療室に入院せず
登録された4万6,539例のうち、1,855例(4%)が退院前に死亡した。術後に集中治療室に入院したのは3,599例(8%)だった(入院日数中央値1.2日)。院内死亡例のうち1,358例(73%)が、術後に集中治療室に入院していなかった。

粗死亡率は、アイスランドの1.2%からラトビアの21.5%まで、ばらつきがみられた。交絡因子を調整後に、データセットが最大の英国(1万630例)と比較したところ、オッズ比でフィンランドの0.44からポーランドの6.92まで大きな差が認められた(p=0.0004)。

著者は、「非心臓手術を受けた患者の院内死亡率は予想以上に高かった。各国の死亡率にばらつきがみられたことから、これらの患者に対する治療を改善するには、国レベルおよび国際的な戦略を要することが示唆される」とまとめ、「本試験は非選択的な非心臓手術患者の転帰に関する初めてのプロスペクティブな大規模疫学研究である。リスク調整後の国別の死亡率のばらつきは、死亡リスクの高い患者に適切な集中治療の医療資源が割り当てられていないことを示唆しており、保健医療上、重大な関心を呼び起こすだろう」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)