細胞診で確定されない甲状腺結節、遺伝子発現分類法が評価を改善

提供元:ケアネット

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公開日:2012/09/05

 

 診断的手術によってその大半が良性と判明するものの通常の細胞診では確定されない良性の甲状腺結節について、167個の遺伝子の表現型を尺度とした新しい診断法である遺伝子発現分類法を術前検査に用いることで、診断的手術をより多く回避するよう示唆されることが、米国・ハーバードメディカルスクール/ブリガム&ウィメンズ病院のErik K. Alexander氏らによる大規模前向き検証試験の結果、明らかにされた。穿刺吸引によって評価される甲状腺結節の約15~30%は、良性なのか悪性なのかが判然とせず診断的手術となることが多い。遺伝子発現分類法は、術前リスク評価を改善することが有望視されていた。NEJM誌2012年8月23日号(オンライン版2012年6月25日号)掲載報告より。

大規模前向き多施設共同試験で、遺伝子発現分類法の妥当性を検証
研究グループが行ったのは、診断不確定の甲状腺結節患者における遺伝子発現分類法の妥当性を検証することを目的とした、大規模前向き二重盲検多施設共同検証試験。

19ヵ月間にわたり49の臨床施設の協力を得て、患者3,789例、穿刺吸引で評価が必要とされた1cm以上の甲状腺結節検体4,812個を対象とした。

細胞診では診断されなかった検体577個が入手でき、うち413個は切除病変からの病理組織学的検体だった。

検証は、中央の盲検下で行われた病理組織学的レビューの結果を参照基準として行われ、試験の包含基準を満たした265個の不確定結節検体を用いて遺伝子発現分類を行い、その分類精度を評価した。

悪性の感度92%、特異度52%、陰性適中率は85~95%
結果、265の不確定結節のうち、悪性のものは85個だった。

遺伝子発現分類により、疑わしかった結節85個のうち78個を正確に同定した。感度は92%(95%信頼区間:84~97)、特異度は52%(同:44~59)だった。

「臨床的重要性未定の異型(または濾胞性病変)である」「濾胞性腫瘍または濾胞性腫瘍が疑われる病変である」「疑わしい細胞学的所見」についての陰性適中率は、それぞれ95%、94%、85%だった。

結果的に陰性だった吸引検体7個について解析した結果、6個で甲状腺濾胞細胞が不足していて、結節標本が不十分であることが示唆された。

結果を踏まえ著者は、「今回のデータによって、穿刺吸引による細胞診で不確定の甲状腺結節を有し遺伝子発現分類法で良性である患者の大半は、より保存的なアプローチを考慮する必要性が示唆された」と結論している。

(武藤まき:医療ライター)