ワルファリンへの反応の違い、遺伝子異型と強く関連

提供元:ケアネット

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公開日:2008/03/19

 

血栓症の抗凝固療法でワルファリン(国内商品名:ワーファリンなど)を服用している患者の反応は、ワルファリン代謝酵素であるチトクロームP-450 2C9(CYP2C9)の遺伝異型と、ワルファリンの薬理学的標的のカギであるビタミンKエポキシド・レダクターゼ(VKORC1)の遺伝異型によって異なることが知られているが、これら異型の初回抗凝固療法で果たす役割についてはわかっていなかった。米国・ヴァンダービルト大学医学部のUte I. Schwarz氏らが報告。NEJM誌2008年3月6日号より。

VKORC1ハプロタイプとCYP2C9遺伝子型で反応を比較




Schwarz氏らは、ワルファリン療法を開始したばかりの297例の患者について、CYP2C9遺伝子型(CYP2C9*1、*2、*3)、VKORC1ハプロタイプ(Aと非A)、臨床的特徴、治療に対する反応を国際標準比(INR)により判定して出血イベントを評価する臨床試験を実施した。

転帰項目は、初めてINRが治療域内に初めて達するまでに要した時間、INR が4以上に達するまでに要した時間、INRが治療域内を上回るまでに要した時間、INR反応の経時的変化、そしてワルファリン投与必要量とした。

VKORC1は遺伝的変異性とより強く関連する




VKORC1のハプロタイプが非A/非A患者よりもA/A患者で、INRが治療域に初めて達するまでに要した時間は短く(P=0.02)、INRが4以上となるのに要した時間も短かった(P=0.003)。

一方CYP2C9遺伝子型は、INRが治療域に達するための有意な予測因子であることはみいだされなかったが(P=0.57)、INRが4以上に達する有意な予測因子であることは示された(P=0.03)。VKORC1のハプロタイプとCYP2C9遺伝子型はいずれも、最初の治療2週間以降に、ワルファリン投与必要量に対して有意な影響を及ぼした。

これらの結果から研究グループは、初回療法時のワルファリン反応は、CYP2C9よりもVKORC1の遺伝的多様性が強く関連していると結論づけた。

(武藤まき:医療ライター)