C型肝炎へのシリマリン投与、ALT値の減少効果は認められず

提供元:ケアネット

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公開日:2012/07/31

 

C型肝炎に対するシリマリン(オオアザミ抽出物)の服用は、血中アラニンアミノ基転移酵素(ALT)値を低下する効果はないことが示された。米国・ノースカロライナ大学のMichael W. Fried氏らが、約150人のC型肝炎患者について行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で、JAMA誌2012年7月18日号で発表した。シリマリンを服用する慢性肝炎患者は少なくないものの、その効果についてのエビデンスは明確ではなかったという。

シリマリン420mgと700mgを投与し、24週後の変化を比較
研究グループは、2008年5月~2010年5月にかけて、C型肝炎で血中ALT値が65U/T以上の154人について、米国内4ヵ所の医療機関を通じて無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った。被験者は、それまでにインターフェロン治療を受けていたが、治療効果は上がっていなかった患者で、無作為にシリマリン群(シリマリン420mg群と700mg群)とプラセボ群の3群に割り付け、それぞれ1日3回、24週間にわたり投与した。

主要アウトカムは、24週時点の血中ALT値が45 U/L以下、または試験開始時から同値が50%以上減少し65 U/L未満を達成することだった。

主要アウトカム達成率は3群で同等、血中ALT値の減少幅も有意差なし
24週間後、主アウトカムを達成したのは、各群でそれぞれ2人に留まった(シリマリン420mg群:4.0%、シリマリン700mg群:3.8%、プラセボ群:3.8%)。

試験開始時と比べ、血中ALT値の変化幅平均値もまた、シリマリン420mg群が-14.4U/L、シリマリン700mg群が-11.3U/L、プラセボ群が-4.3 U/Lと、治療群間の差は有意ではなかった(p=0.75)。

また、HCV-RNA値や生活の質(QOL)測定値についても、24週間後の変化幅は、三群で同等だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)