重労働介護による背部痛は、アドバイスやトレーニングでは予防できない

提供元:ケアネット

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公開日:2008/03/07

 



重量物の持ち上げ作業に従事する労働者の背部痛の予防に、仕事技術およびリフティング設備に関するアドバイスやトレーニングは効果がないことが、フィンランド労働衛生研究所(ヘルシンキ)のKari-Pekka Martimo氏らが実施した系統的レビューによって明らかとなった。このようなアドバイスやトレーニングは、背部痛リスクの管理法として広く行われているが、その効果は疑問視されていた。BMJ誌2008年2月23日号(オンライン版2008年1月31日号)掲載の報告。

無作為化対照比較試験とコホート研究が解析対象




研究グループは、Cochrane Back Group’s specialised registerなど9つのデータベースを検索した。1次解析では無作為化対照比較試験に、2次解析では同時対照群が設定されたコホート研究に焦点を当てた。介入は、重量物や患者の持ち上げ作業技術の修正を目的とするものとし、主要評価項目として背部痛の測定、その結果としての身体機能障害、病気休暇を含む試験を解析の対象とした。

2名の研究者が別個に試験の適格性および方法の質を評価した。データを統合するために類似の介入法を比較した試験の結果を集約し、メタ解析における結果の統合にはオッズ比および効果サイズ(effect size)を用いた。最終的に、1次解析と2次解析の結果の比較を行った。

1次、2次解析ともに有意差を認めず




6つの無作為化試験および5つのコホート研究が選択規準を満たした。2つの無作為化試験とすべてのコホート研究は質が高いと判定された。8つの試験が重量物の持ち上げ作業や患者の搬送を、3つの試験は手荷物運搬員あるいは郵便作業員を対象としていた。対照群は、非介入あるいはトレーニング、身体運動、back beltの使用を最小限にしていた。

無作為化試験(合計登録例数:1万7,720例)では介入群と対照群に有意な差は認めなかった。コホート研究(同:772例)に関する2次解析でも有意差を認めず、無作為化試験の結果を支持するものであった。

Martimo氏は、「リフティング設備の有無にかかわらず、背部痛あるいはその結果としての身体機能障害の予防法として、仕事技術のアドバイスやトレーニングを支持するエビデンスは存在しない」と結論し、「この知見は、現在広く行われている正しいリフティング技術に関するアドバイスに異論を唱えるもの」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)