統合失調症患者へのセロトニン作動薬のアドオン、臨床効果と認知機能を増大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/07/09 抗精神病薬治療中の統合失調症患者に対し、選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗薬の追加併用療法は、抗精神病効果および一部の認知機能(注意力)を増大することが、ロシア医科学アカデミー国立精神保健センターのMorozova MA氏らによるパイロット試験の結果、報告された。CNS Spectrums誌オンライン版2013年6月17日号の掲載報告。 統合失調症患者へのアドオン治療として、セロトニン作動薬は有望視されている。研究グループは、抗精神病薬治療により症状が安定している統合失調症患者において、選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗薬のAVN-211(CD-008-0173)が、臨床的および認知機能的効果を増大するかを明らかにすることを目的に、無作為化二重盲検プラセボ対照試験のパイロット試験を4週(4r-week)にわたって行った。治療効果は、臨床的評価スケールと注意力テストにて測定した。 主な結果は以下のとおり。 ・被験者は47例(試験薬追加併用群21例、プラセボ併用群26例)であり、そのうち併用群17例、プラセボ群25例が試験を完了した。 ・陽性・陰性症状スケール(PANSS)について、ベースラインでは両群に差はみられなかったが、試験終了時点では陽性サブスケールスコアについて有意差が認められ(p=0.058)、試験薬併用群の症状がより改善していた。 ・PANSS陽性サブスコア(p=0.0068)、臨床上の医師の印象による重症度(CGI-S)スコア(p=0.048)は、治療群のみにおいて有意な変化がみられた。 ・プラセボ群だけでみられた有意な変化は、カルガリー抑うつ評価スケール(CDRS)総スコアであった。 ・注意力テストの結果は試験終了時においても両群間の差を認めなかった。ただし、ウェクスラー成人知能検査(WAIS)のサブテストVIIIの結果は例外であり、試験薬群において有意に変化が大きかった(p=0.02)。 ・試験薬併用群内のみにおいて、選択的および持続的注意力の有意な変化が認められた。標準注意検査法(CAT)において、総正解率(p=0.0038)、反応時間(p=0.058)で有意な変化がみられた。 関連医療ニュース 精神科薬物治療で注目される5-HT1A受容体 統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?:藤田保健衛生大学 抗精神病薬へのNSAIDs追加投与、ベネフィットはあるのか? (ケアネット) 原著論文はこちら Morozova MA et al. CNS Spectr. 2013 Jun 17:1-8. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] FUS-ALSの治療、jacifusenが有望/Lancet(2025/06/09) 軽症~中等症COVID-19、40種の薬物療法を比較/BMJ(2025/06/09) 胃がん周術期、FLOTにデュルバルマブ上乗せでEFS改善(MATTERHORN)/ASCO2025(2025/06/09) 統合失調症とうつ病における幻聴の違いは(2025/06/09) 進行尿路上皮がん1次治療、EV+ペムブロリズマブによるCR・PR症例の探索的解析結果(EV-302/KEYNOTE-A39)/ASCO2025(2025/06/09) 乳がん内分泌療法に伴うホットフラッシュにelinzanetantが有効(OASIS-4)/ASCO2025(2025/06/09) がん患者のワクチン接種率を上げるカギは医療者からの勧め/日本がんサポーティブケア学会(2025/06/09) 好奇心は加齢に伴い減退する?(2025/06/09)