双極性障害患者に対するオランザピン単剤 or 併用の忍容性

提供元:ケアネット

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公開日:2012/05/31

 



リリー・リサーチ・ラボラトリーズの片桐氏らは日本人双極性障害患者に対しオランザピンを単剤または気分安定薬との併用にて18週間投与し、長期の安全性および有効性を検討した。その結果、「日本人でも欧米と同様、良好な結果が得られた」として、Curr Med Res Opin誌2012年5月号(オンライン版4月10日号)にて報告した。

対象は、6週間のオランザピンおよびハロペリドール、プラセボ対照二重盲検比較試験を行った双極性障害患者。オランザピン(5-20mg/日)単独投与を完了した単独群100例、YMRS(ヤング躁病評価尺度)にて効果不十分により試験を中止した患者に対しオランザピンに気分安定薬(リチウム、カルバマゼピン、バルプロ酸のいずれか)を投与した併用群39例における18週間の安全性および有効性を評価した。オープンラベル多施設試験。安全性は治療中の有害事象、バイタルサイン、体重、錐体外路症状(EPSs)、有効性はYMRSトータルスコアおよび躁症状への反応率、寛解率にて評価した。

主な結果は以下のとおり。

・両群ともに死亡や重篤な副作用は認められなかった。
・有害事象の発現率は単独群59.0%、併用群79.5%であった。両群とも軽度または中等度が大部分であった。
・単独群におけるYMRSベースラインからの平均変化量は -3.0であった。また、躁症状への反応率は97.0%、寛解率は93.0%であった。
・併用群でのYMRSベースラインからの平均変化量は -19.8であった。また、躁症状への反応率は64.1%、寛解率は61.5%であった。
・なお、オランザピン使用に際しては、代謝パラメーターのモニタリングが推奨される。


(ケアネット 鷹野 敦夫)