糖尿病腎症の早期発見を可能にする尿検査法を開発―尿中メガリン測定法の実用化に向けた研究進む

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HealthDay News

糖尿病腎症の早期発見を可能にする尿検査法を開発のイメージ

 新潟大学大学院機能分子医学講座の斎藤亮彦氏らの研究グループは、国立がん研究センター研究所とデンカ生研株式会社との共同研究で、近位尿細管細胞にある「メガリン」と呼ばれる分子の尿中排泄量を測定することで、糖尿病腎症の早期診断や予後予測に役立つ可能性があると発表した。研究グループでは、今後、尿中メガリン測定の実用化に向けた臨床研究を計画しているという。詳細は「Diabetes」オンライン版に3月13日掲載された。

 糖尿病の三大合併症の1つである腎症は、透析導入の原因疾患の第1位を占め、その予防や進行抑制は重要な課題とされている。糖尿病腎症の発症要因はいまだ明らかにされていないが、実臨床では糖尿病腎症を発症しやすい人とそうでない人が存在することが知られている。そこで、糖尿病腎症の発症や進展リスクを評価する簡便な検査法の開発が求められている。

 研究グループが着目したのは、近位尿細管細胞に発現し、糸球体からろ過されるさまざまなタンパク質や薬剤などを再吸収し、それらの代謝を促す受容体として機能する「メガリン」という分子。研究グループは2016年に、肥満を合併した糖尿病モデルマウスを用いた研究で、このメガリンが入り口となって腎障害性のタンパク質などを取り込むことで、タンパク質の代謝負荷からリソソーム(細胞内小器官)に機能障害をもたらし、糖尿病腎症が発症・進展する機序を見出していた(J Am Soc Nephrol 2016; 27(7): 1996-2008)。

 今回、研究グループは、こうしたリソソームの機能障害によって糖尿病腎症が発症・進展する機序に関連して、メガリンがエクソソームという微小構造物に搭載されて腎臓から尿中に排泄される量が増えることを明らかにした。このメガリンの尿中排泄量の測定は糖尿病腎症の早期診断や予後予測に役立つ有用な情報をもたらす可能性があるという。

 研究グループによると、腎臓を構成するネフロンの数が少ない、あるいは尿細管の長さが短い人が糖尿病を発症すると、代謝負荷がより増大して糖尿病腎症の発症・進展リスクが増加する可能性があるという。「こうした場合には尿中メガリン測定値を(機能ネフロン数を反映する)クレアチニン値で除すことで残存する単一ネフロン当たりの代謝負荷を評価できる」と研究グループは述べている。なお、この尿中メガリン測定法は新潟大学とデンカ生研(株)が共同特許を取得しており、実用化に向けた研究を進める予定だ。

[2017年3月27日/HealthDayNews]Copyright (c) 2017 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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