臓器が左右逆の米国人女性、99歳の天寿を全う

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HealthDay News

臓器が左右逆の米国人女性、99歳の天寿を全うのイメージ

 99歳で天寿を全うしたRose Marie Bentleyさんは生前、驚くべき秘密を抱えていた。米オレゴン州北西部の農村部に住んでいた彼女は、一見すれば特に変わった様子はなかった。しかし、オレゴン健康科学大学(OHSU)解剖サービスセンターのCam Walker氏らは、2017年にBentleyさんが死去した後、彼女が5000万人に1人しかいない内臓逆位であったことを突き止めた。その詳細が米国解剖学会(AAA 2019、4月6~9日、米オーランド)で報告された。

 Bentleyさんと彼女の夫は5人の子どもに恵まれ、モララという町で農業を営みながらペット用品の店を経営していた。教会では日曜学校の教育活動に従事し、聖歌隊にも所属していた。関節炎があり、手術も3回経験したが、生涯にわたって慢性疾患に罹患することもなく健康状態は良好だったという。

 しかし、Walker氏らの調べで、彼女の胃や肝臓などの腹部の臓器は左右が逆に位置していたことが分かった。臓器の位置の左右が逆になる疾患は「内臓逆位」と呼ばれる。原因は明らかになっていないが、遺伝的な要因が関与している可能性が指摘されている。ただ、Walker氏らは、内臓逆位は母親が妊娠1カ月前後の胎児期から見られる疾患で、その発現の仕方もさまざまであることを知っていた。

 Walker氏によれば、内臓逆位は部分的な場合もあるが、全ての臓器の位置が左右逆になる場合もある。特に心臓が左右逆になる右胸心の発生頻度は約1万人に1人の割合だという。しかし、Bentleyさんの臓器の配置は、さらにまれなものだった。彼女の心臓は左側にあるが左向きになる左胸心で、それ以外の全ての臓器が鏡に映したように左右逆になっていた。左胸心は約2万2,000人に1人の割合で発生し、左胸心の患者では通常、極めて重度の心臓の異常や心疾患が見られるため、「生存期間も大幅に短い」とWalker氏は指摘する。

 ところが、驚くべきことにBentleyさんは99歳まで長生きした。Walker氏は「文献を隈なく調べたが、Bentleyさんと同じタイプの内臓逆位がある患者のうち、成人するまで生存した人は2人だけだった」と説明する。その2人も70歳代で亡くなっており、Bentleyさんは最も長生きした患者だとして、彼女のようなケースは「5000万人に1人とかなりまれだ」と話している。

 Bentleyさんは生前、虫垂切除術を受けたことがあった。その際に外科医から本来あるべき位置に虫垂がないことを指摘されていた。しかし、彼女の心臓や消化管は正常に機能していたため、彼女自身が胸腔や腹腔の内部の全ての異変に気付いてはいなかったとみられている。

 Bentleyさんと夫のJames Bentleyさんは生前、OHSUの「献体プログラム」に協力する同意書に署名していた。Bentleyさんが解剖学的にまれな状態であったことが判明したのは、彼女の死後、医学生たちが解剖の実習を行っていた時だったという。

 今回の報告には関与していない米ニューヨーク大学(NYU)女性健康センターのNieca Goldberg氏は、この解剖学的に珍しい症例について、「全ての患者に対し、一人の人間として向き合い、治療することの重要性を示したものだ」と説明している。また、Bentleyさんのようなケースは例外である可能性が高いとした上で、内臓逆位は依然として謎に包まれた疾患だと付け加えている。

[2019年4月8日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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