糖質制限食で心房細動リスク上昇か

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HealthDay News

糖質制限食で心房細動リスク上昇かのイメージ

 減量に人気の糖質制限食にはさまざまな種類があるが、糖質制限を続けていると心房細動を発症するリスクが上昇する可能性があることが、中山大学(Sun Yat-Sen University、中国)のXiaodong Zhuang氏らが実施した研究から明らかになった。研究結果は、米国心臓病学会(ACC 2019、3月16~18日、米ニューオーリンズ)で発表される。

 心房細動は不整脈の一種で、健康な人では心臓は規則正しいリズムで拍動するのに対し、心房細動患者では時々震えるように拍動する。心房細動があると心臓のポンプ機能が低下するため、心臓の中に血液が滞留し、血栓ができやすい状態になる。米国心臓協会(AHA)によれば、この血栓が脳に運ばれると脳梗塞を起こす可能性もあるという。

 この研究は、米国立衛生研究所(NIH)が地域住民を対象にアテローム性動脈硬化症リスクを検討した「ARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)」研究と呼ばれる観察研究のデータを用いたもの。研究開始時点で心房細動がなかった男女約1万4,000人を対象に、1985年から20年以上にわたり追跡したデータを分析した。平均で22年間の追跡期間中に約1,900人が心房細動を発症した。

 食物摂取頻度調査票への回答に基づき、参加者を(1)糖質制限群(1日当たりのカロリー摂取量に占める糖質の割合が45%未満)(2)糖質を適度に摂取する群(同45~52%)(3)糖質を豊富に摂取する群(同52%超)に分けて分析した。

 その結果、糖質制限群では、糖質を適度に摂取する群と比べて心房細動リスクは18%高く、糖質を豊富に摂取する群と比べてリスクは16%高いことが分かった。こうした関連は、糖質の代わりに摂取したたんぱく質や脂質の種類に関係なく認められたという。

 今回の研究には関与していない米ノースウェル・ヘルスのLaurence Epstein氏は「何事も極端に行うのは良くない。糖質の摂取量は多過ぎても少な過ぎても健康に悪影響をもたらす」と強調する。

 Zhuang氏らの研究でこれらの因果関係が証明されたわけではないが、Epstein氏は糖質制限食が健康に悪影響をもたらす複数の要因を挙げている。その一つとして、糖質を制限すると体内の水分が排出されて短期間で減量できるが、同時に脱水状態にも陥りやすく、これが心房細動を引き起こす可能性があるという。また、糖質制限食は電解質異常をもたらし、心臓の拍動リズムにも影響する可能性があるとしている。

 一方、Zhuang氏らは、糖質制限食を取り入れている人たちでは、炎症の抑制に働くとみられる野菜や果物、穀類の摂取量が少ない傾向にあることを指摘し、「こうした人たちでは、心房細動に関与する炎症レベルが高いのではないか」と推測している。なお、Epstein氏は「糖質制限を行っていた理由も重要だ」とし、糖尿病は心房細動のリスク因子であるが、糖尿病患者は血糖コントロールのために糖質制限を行っている可能性があると説明している。

 米ニューヨーク大学ランゴン・ヘルスの栄養士であるSamantha Heller氏も、極端な食事法は深刻な健康状態を招くと強調する。「健康的な生活には、果物やでんぷん質ではない野菜、全粒穀物、ナッツ類などで構成されたバランスの取れた食事が必要だ」と話している。なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。

[2019年3月9日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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