難聴を放置すると高齢者の健康リスクが高まる

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HealthDay News

難聴を放置すると高齢者の健康リスクが高まるのイメージ

 高齢者の難聴を未治療のまま放置すると認知症やうつ病、転倒のリスクが高まり、結果的に医療費の増大につながる可能性があることが、「JAMA Otolaryngology-Head and Neck Surgery」11月8日オンライン版に掲載された2件の論文で報告された。

 ひとつ目の研究は、米ジョンズ・ホプキンス大学のNicholas Reed氏らが実施したもの。大規模な健康保険データベースから1999~2016年の医療費請求に基づき、未治療の難聴がある高齢者7万7,000人以上と健聴の高齢者を特定し、10年間追跡して未治療の難聴が医療費の増大や医療サービスの利用頻度に及ぼす影響について調べた。

 その結果、未治療の難聴がある高齢者は、健聴の高齢者に比べて10年間の医療費総額の平均が46%高かった。これは1人当たり2万2,000ドル(約250万円)に相当し、このうち自己負担額は2,000ドル(約23万円)であった。なお、この2万2,000ドルのうち難聴に関わる治療費は約600ドル(約6万8,000円)であった。

 さらに、未治療の難聴がある高齢者は、10年間の入院日数が約50%延長し、退院から30日以内に再入院するリスクが44%高かったほか、救急科の受診率が17%高く、外来受診が52回以上であった。

 Reed氏らの研究では、未治療の難聴があると高齢者の医療サービスの利用が増える理由は明らかではなかった。しかし、同大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のJennifer Deal氏らが実施したもう一方の研究では、この理由の一端が示された。

 この研究では、メディケア受給者の医療請求データを用い、50歳以上の成人を対象に、難聴と併存疾患の関連を後ろ向きに調べた。その結果、難聴がある人は、難聴がない人に比べて10年間の認知症リスクが50%高く、うつ病リスクは40%、転倒リスクは30%それぞれ高いことが明らかになった。

 この結果について、Deal氏は「因果関係を証明するものではなく、難聴を治療すれば併存疾患のリスクが低下するのかどうかは明らかになっていない」と指摘している。その上で、「70歳以上の高齢者の3分の2が抱えている難聴は生活の質(QOL)に大きく影響する。そのため、医療従事者はこれらの関連を十分に理解し、難聴を治療することで高齢者の健康リスクが低減できるかどうかを考える必要がある」と述べている。

 なお、米国では3800万人に未治療の難聴がみられ、この数は2060年には倍増すると予想されている。また、65~74歳の3人に1人に難聴があり、70歳以上の高齢者では3分の2に臨床的に重大な難聴がみられるという。

[2018年11月8日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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