HPVワクチンで自己免疫疾患リスク増は認められず

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HealthDay News

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 女児への4価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの予防接種は、自己免疫疾患リスクを上昇させなかったという新たな研究の結果が「Canadian Medical Association Journal(CMAJ)」5月28日号に掲載された。臨床評価科学研究所(ICES、カナダ)のJeffrey Kwong氏らがオンタリオ州(カナダ)に在住する12~17歳の女児約29万人のデータを分析した結果、4価HPVワクチンの接種による全身性エリテマトーデスや関節リウマチ、1型糖尿病、多発性硬化症といった自己免疫疾患リスクの上昇は認められなかったという。

 HPVは性感染症(STD)の原因となる病原体のうち世界で最も高頻度にみられるウイルスで、性的に活発な成人の50~75%がHPVを保有している可能性があるとされ、また、子宮頸がんの主な原因としても知られている。HPV感染の予防にはHPVワクチンの接種が有効で、その一つである4価HPVワクチンのガーダシル(商品名)は子宮頸がんや直腸がんの原因となるHPV 16型および18型の感染を約90%予防することが報告されている。

 4価HPVワクチンの安全性については既に複数の研究で確認されているが、一部で同ワクチンの接種が自己免疫疾患リスクに関連する可能性を懸念する声が上がっていた。Kwong氏は「実臨床ではその有効性が確認されているにもかかわらず、依然として4価HPVワクチンの安全性に対する懸念が続いていた」と述べる。

 オンタリオ州では2007年以降、学校が提携するクリニックで8年生(中学2年生)の全ての女児が4価HPVワクチンの接種を無料で受けられるプログラムがある。Kwong氏らは同州の医療管理および予防接種のデータベースを用いてワクチンの接種と自己免疫疾患リスクとの関連について検討した。

 対象は、2007~2013年にHPVワクチン接種プログラムの対象基準を満たしていた12~17歳の女児29万939人(平均年齢13.2歳)。このうち4価HPVワクチンを1回以上接種したのは18万819人(62.2%)で、そのほとんど(81.8%)が3回の接種を済ませていた。一方、未接種者は11万120人(37.8%)だった。平均2.9年の追跡期間中に4価HPVワクチン接種者のうち681人が自己免疫疾患を発症した。このうち接種の7~60日後に発症したのは77人(11.3%)だった。

 解析の結果、接種の7~60日後の期間とそれ以外の期間で自己免疫疾患を発症するリスクに有意差はみられなかった(発症率比1.12、95%信頼区間0.85~1.47)。自己免疫疾患のうち若年性関節リウマチが44.6%と最も多く、全身性自己免疫性リウマチ疾患が15.4%、免疫性血小板減少性紫斑病が15.1%、視神経炎が9.3%、ベル麻痺が9.0%であったが、Kwong氏は「4価HPVワクチンを接種した女児における自己免疫疾患の発症率は、同年齢層の全ての女児における発症率と一致していた」と説明している。

 今回の研究結果を踏まえ、共同研究者である同大学のLinda Lévesque 氏は「CMAJ」のプレスリリースで「4価HPVワクチンの安全性を支持するエビデンスがさらに加わったことで、親や医療提供者にも安心感を与えるのではないか」との見解を示している。

[2018年5月29日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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