細菌入りカプセルで消化器病を発見

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HealthDay News

細菌入りカプセルで消化器病を発見のイメージ

 将来、侵襲的な検査の代わりに細菌と小型センサーが入ったカプセルを飲むことで消化器疾患を診断できる日が来るかもしれない―。米マサチューセッツ工科大学微生物学のMark Mimee氏らは、消化管の出血に反応するように細胞を遺伝子操作した細菌と、細菌の反応を感知して無線でパソコンやスマートフォンに情報を伝達できる小型の電子センサーが搭載されたカプセルを開発。このカプセルでブタの消化管の出血を高い精度で検出できたことを「Science」5月25日号に掲載された論文で報告した。

 Mimee氏らが今回開発したのは、微小-生体電子デバイス(micro-bio-electronic device;IMBED)と呼ばれる機器である。同氏によると、これまでにも人が飲み込むことができる小型の電子センサーや、人工的に作り出したバイオセンサー(酵素や微生物などの生体に関連する物質が有する分子識別機能を利用したセンサー)の診断ツールとしての有用性については数多くの研究が実施され、有望であることが示されていたという。

 今回、Mimee氏らは実験室で大腸菌(E.coli)の細胞を用いて赤血球の成分(ヘム)に接触した時に光を発するように遺伝子操作した。次に、この細胞を小型センサーに載せ、1.5インチ(38mm)ほどのカプセルに入れた。小型センサーは半透膜に包まれており、カプセルを飲み込むと消化管で分子が半透膜を通過し、ヘムに反応して発光するように遺伝子操作された細菌の細胞と接触する。この細菌の細胞の下にはフォトトランジスタ(バッテリーで作動する電子チップ)があり、細菌の細胞が発する光を常に測定している。デバイスのバッテリーの駆動時間は約6週間で、その間は、バッテリーが残っている間であれば測定データはパソコンやスマートフォンに送信されるという。

 実際にMimee氏らがブタの実験でこのデバイスを使用した結果、内視鏡検査などを実施しなくても、ブタの消化管の出血を検出できたとしている。今回の研究結果を踏まえ、同氏は「消化管出血には胃潰瘍や炎症性腸疾患、大腸がんなどさまざまな疾患が関与している可能性がある」と述べ、「(血液の成分だけでなく)炎症マーカーや肝機能マーカーも測定できるバイオセンサーを開発すれば、このデバイスの臨床における有用性はさらに高まる可能性がある」と期待を示している。

 ただし、必ずしもヒトを対象とした研究で同様の結果が得られるわけではない。また、このカプセルは試作品の段階であるため、「ヒトの疾患を安全に診断したり、監視したりできるデバイスが開発されるまでには数年はかかるだろう」とMimee氏は話す。

 なお、Mimee氏らは既に今回開発したデバイスに類似した炎症や感染の徴候を検出するセンサーの設計を進めている。いずれのセンサーもまだ動物実験は行われていない段階だが、今後はカプセルのさらなる小型化を図り、飲み込みやすくしたいとしている。

 この研究論文の付随論評を執筆したモナシュ大学アルフレッド病院(オーストラリア)のPeter Gibson氏は、Mimee氏らの手法について「賢い方法だ」と評価する。一方で、カプセル内視鏡の技術は長年にわたって使用されており、今回の研究で検討された技術は、どうすれば新たな診断法として開発できるのかを検討するための出発点となる概念実証(proof of concept)の段階に過ぎないことを指摘している。

[2018年5月24日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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