感染症重症化に蚊の唾液が関連か

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HealthDay News

感染症重症化に蚊の唾液が関連かのイメージ

 蚊に刺されたときに体内に侵入する唾液は、それだけでもヒト免疫系に予想外の多様で複雑な変化をもたらすことを米ベイラー医科大学教授のRebecca Rico-Hesse氏らが突きとめた。こうした免疫系の変化により、蚊の唾液はジカウイルス感染症(ジカ熱)やデング熱、マラリアといった蚊が媒介する感染症の重症化に重要な役割を果たす可能性が示唆されたという。この研究の詳細は「PLOS Neglected Tropical Diseases」5月17日オンライン版に掲載された。

 米国立衛生研究所(NIH)の支援により実施されたこの研究で、Rico-Hesse氏らは生まれつき自身の免疫系をもたず、ヒトの幹細胞を移植されヒト免疫系の一部を発生させたヒト免疫系モデルマウスを用いた。同氏の研究室ではデング熱の発症に関する研究に取り組んでいるが、デングウイルスに感染した後、デング熱を発症するのはヒトに限られることから、ヒト以外の動物をモデルとして予防法や治療法を開発できないという限界があった。同氏は「このモデルマウスを用いることでこうした課題を克服できた」と説明している。

 2012年に、Rico-Hesse氏らはヒト免疫系モデルマウスを用いた研究で、蚊の刺咬を介してデング熱ウイルスを感染させると、注射針を用いた場合と比べて発疹や発熱といったヒトに似た症状が強く現れることを見出した。同氏らは今回、同じモデルマウスを用いて、病原体を保有していないネッタイシマカの唾液が、単独で免疫系に与える影響を検討した。

 Rico-Hesse氏らは、まず、麻酔したモデルマウスの足の裏を計4匹の蚊に刺させた。その後、6時間後と24時間後、7日後に血液および組織標本を採取して炎症性サイトカインや免疫反応などを調べ、蚊に刺されていない対照マウスと比較した。その結果、蚊に刺されたマウスでは、免疫応答とサイトカイン値の両方が影響を受け、アレルギー反応に関連する2型ヘルパーT細胞(Th2)とウイルスに対する免疫応答に関連するTh1細胞が活性化していることが分かった。さらに、血液や皮膚、骨髄などあらゆる組織における免疫反応は、蚊に刺されてから最大で7日間続くことも明らかになった。

 「蚊の唾液は、われわれが予想もしていなかった多様で複雑な免疫反応を誘発することが分かった。実際にはいかなる種類の病原体にも感染していないことを考えれば、驚くべきことだ」と、論文の共著者である同大学付属テキサス小児病院のSilke Paust氏は述べている。

[2018年5月21日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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