一部の抗菌薬で腎結石リスク上昇か

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HealthDay News

一部の抗菌薬で腎結石リスク上昇かのイメージ

 もし、自分の子どもが抗菌薬を服用しているなら、腎結石の徴候に気を付けた方がよいかもしれない。米ペンシルベニア大学ペレルマン医科大学院泌尿器・疫学科助教のGregory Tasian氏らの研究によって、一般的に処方されている抗菌薬のうち5種類の使用が腎結石リスクを高める可能性があることが示された。しかも、このリスクはこれらの抗菌薬の服用後も3~5年にわたって持続することや、特に子どもでは影響が大きいことも示唆されたという。この研究の詳細は「Journal of the American Society of Nephrology」5月10日オンライン版に掲載された。

 これまでの研究で消化管や尿路の細菌叢の乱れが腎結石リスクと関連することが示されており、こうした体内の細菌叢に抗菌薬が悪影響を与えることも分かっている。しかし、抗菌薬の使用が腎結石のリスク因子であるのかどうかについては明らかにされていなかった。そこで、Tasian氏らは今回、12種類の経口抗菌薬の使用と腎結石リスクとの関連について検討するため、1994~2015年に電子カルテを提供できる英国内の641の家庭医から提供された1300万人超の患者のデータを用いて症例対照研究を実施した。

 研究期間中に腎結石と診断された2万5,981人と、年齢や性別、診断日(index date)を一致させた腎結石のない25万9,797人(対照群)を対象とした。解析は、条件付きロジスティック回帰モデルを用いて医療機関の受診歴や併存疾患、尿路感染症、サイアザイド系利尿薬およびループ利尿薬、プロトンポンプ阻害薬、スタチン系薬の使用などで調整して実施した。

 その結果、診断日の3~12カ月前に特定の5種類の経口抗菌薬を使用していた患者で腎結石リスクの上昇が認められた。種類別の調整後のオッズ比(OR)は、サルファ薬で2.33、セファロスポリン系薬で1.88、フルオロキノロン系薬で1.67、ニトロフラントイン/メテナミンで1.70、広域ペニシリンで1.27だった。また、特により低年齢の子どもと診断日の3~6カ月前にこれらの抗菌薬を使用した患者で、抗菌薬の使用と腎結石リスクとの関連が強く認められた。一方、これらを除いた7種類の経口抗菌薬では腎結石リスクの上昇は認められなかった。

 Tasian氏によると、この30年に腎結石の発症率は70%も急上昇しており、特に子どもや若者での増加が顕著だという。その原因は不明だが、以前の研究では抗菌薬によって引き起こされる消化管や尿路の細菌叢の問題が関与している可能性が示唆されているという。抗菌薬の処方件数も増えており、2011年の米国における抗菌薬の処方数は2億6200万件にも達していたという。また、その多くは女性や子どもに対する処方であったと、同氏は説明している。

 ただし、今回の研究は、これらの抗菌薬が原因で腎結石が発症したことを示すものではない。Tasian氏は「抗菌薬は多くの人の命を救い、人々を感染症による重篤な症状から守ってきた。したがって、抗菌薬の有益性が有害性を上回ることは明らかで、この研究結果は、抗菌薬は慎重かつ適切な使用を心掛けるべきであることを示している」と説明している。

 専門家の一人で米レノックス・ヒル病院腎臓内科のMaria DeVita氏もこれに同意し、「この研究は、抗菌薬に副作用がある可能性に留意しつつ、適正使用を促進する必要があることへの注意を促したものだ」と述べている。

[2018年5月11日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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