魚油サプリに心血管疾患の予防効果はない?

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HealthDay News

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 青魚などに含まれるω3脂肪酸にはさまざまな健康効果があるとして、魚油由来のω3脂肪酸サプリメントを使用する人は多い。しかし、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患のリスクが高い人が魚油サプリメントを使用しても、その後の心血管疾患の発症やそれによる死亡のリスクの低下は期待できないことが、英オックスフォード大学のRobert Clarke氏らによる研究で示された。この研究結果は「JAMA Cardiology」1月31日オンライン版に掲載された。

 Clarke氏らは今回、心血管疾患の既往歴がある人を主とした高リスク者を魚油サプリメント使用群とプラセボ使用群にランダムに割り付け、致死性および非致死性の心血管疾患の発症リスクを比較検討した10件のランダム化比較試験(RCT)のメタ解析を実施した。解析対象は計7万7,917人(平均年齢64.0歳)で、平均追跡期間は4.4年だった。追跡期間中に2,695人が心筋梗塞などの冠動脈疾患で死亡し、2,276人が非致死性の心筋梗塞を発症していた。また、1万2,001人で重大な心血管イベント(初回の非致死性心筋梗塞、冠動脈疾患による死亡、致死性または非致死性の脳卒中、血行再建術の施行の複合)が発生していた。

 解析の結果、魚油サプリメント使用群ではプラセボ群と比べて冠動脈疾患による死亡リスクは7%、非致死性心筋梗塞のリスクは3%低下していたが、いずれも統計学的に有意なリスクの低下ではなかった。また、重大な心血管イベントについても、魚油サプリメント使用による有意なリスクの低下は認められなかった。

 米国心臓協会(AHA)は心疾患の既往歴がある人に対して心血管疾患予防を目的としたω3脂肪酸サプリメントの使用を推奨しているが、Clarke氏は「これまでに発表された大規模なRCTのデータを解析した結果、AHAの推奨を支持する結果は得られなかった」と説明している。

 今回の研究には関与していない専門家の一人で、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のBiron Lee氏も「ω3脂肪酸サプリメントの有効性については信頼性が高い研究のほとんどで否定されている」と指摘。「自分の患者には、ω3脂肪酸サプリメントを購入する金銭的な余裕があるなら、代わりにエクササイズ用のバイクやトレッドミルを購入するよう勧めたい」と話す。

 一方、サプリメントの業界団体であるCouncil for Responsible NutritionのスポークスパーソンであるDuffy MacKay氏は、今回の研究結果について「統計学的に有意ではないが、冠動脈疾患の既往歴がある患者の心血管の健康増進にサプリメントが役立つ可能性があることを示唆した結果と見ることもできる」とコメントしている。

 また、AHAのω3脂肪酸サプリメントに関するステートメントの筆頭著者で米ニューヨーク医学アカデミーのDavid Siscovick氏は「AHAが実施したエビデンスのレビューでは、冠動脈疾患の既往歴がある人が魚油サプリメントを使用することで死亡リスクが10%低下することが分かった。これは、Clarke氏らのメタ解析で示された数値(7 %低下)から、それほどかけ離れてはいない」と説明。その上で、魚油サプリメントを使用する際にはかかりつけ医に相談することを勧め、「サプリメント使用によるメリットは小さいかもしれないが、リスクは低いため、使用について検討する価値はある」との見解を示している。

[2018年2月1日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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