中心静脈穿刺の事故防止に向けて提言公表 医療安全調査機構

提供元:
CBnews

中心静脈穿刺の事故防止に向けて提言公表のイメージ

 日本医療安全調査機構(高久史麿理事長)は5日の記者会見で、体の中心に近い静脈にカテーテルを留置するための手技「中心静脈穿刺」に関連した医療事故の防止に向けた提言を公表した。脳や頸部などの血液が流れる内頚静脈に穿刺する前には、その静脈の太さや深さ、動脈との位置関係をあらかじめ超音波で確認(プレスキャン)することなどを促している。同機構ではこの提言をまとめた冊子を全国の医療機関などに配布する予定。
 写真=記者会見する日本医療安全調査機構の高久理事長

 中心静脈穿刺については、医療機関の内科や外科、麻酔科などで頻繁に行われているが、この手技に関連した医療事故が後を絶たないという。同機構によると、医療事故調査制度が始まった2015年10月から昨年12月までに、同制度で報告された院内調査結果報告書226件のうち、中心静脈カテーテルに関する死亡は12例。そのうち、10例が中心静脈穿刺に伴う合併症だった。

 こうした状況を踏まえ、同機構の専門分析部会は、中心静脈穿刺にかかわる医療事故の再発を防止するための提言をまとめた。

 具体的には、この手技をする前に、致死的な合併症が生じるリスクの高い医療行為であるとの認識を持つ必要があると指摘。また、血液凝固障害や血管内脱水のある患者への中心静脈穿刺は、特に致命的なリスクが高まることから、カテーテル挿入の適応について、「合議で慎重に決定する」としている。

 さらに、内頚静脈に穿刺する前には、その静脈の太さと深さ、動脈との位置関係を確認することを推奨。内頚静脈に穿刺する場合、ガイドワイヤーによる不整脈や静脈壁損傷を減らすためにガイドワイヤーを20センチ以上挿入しないことや、BMIが20以下の患者には針を深く刺し過ぎないことを求めている。

超音波画像使った穿刺の留意点も
 超音波断層画像を観察しながらリアルタイムに穿刺する方法については、画像が二次元のために穿刺針が目的の静脈を貫通しても、その先端が静脈内にあるように見えると指摘。穿刺針の位置を誤認して、想定以上に針を深く刺してしまう可能性があることから、「術者は超音波の特性と盲点を理解し、シミュレーショントレーニングを受けることを推奨する」としている。

 このほかの提言として、▽留置したカテーテルから十分な逆血を確認できない場合はそのカテーテルを原則使用しない▽穿刺時にトラブルが生じた際は医師と看護師らはその情報を共有し、患者の状態を観察する▽合併症が発現した時に迅速に対応できるよう、他の診療科との連携体制の構築や転院に関するマニュアルの整備をする―ことを要望している。

(2017年4月5日 松村秀士・CBnews)

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