認知症患者の治療効果、物忘れクリニックvs.一般診療所

提供元:ケアネット

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公開日:2012/06/15

 

認知症患者の治療や介護の手配調整の有効性は、物忘れクリニックと一般診療所で差はないことが、オランダ・Radboud大学ナイメーヘン医療センターのEls J Meeuwsen氏らの検討で報告された。従来、物忘れクリニックは認知症の診断に重点を置いてきたが、特に抗認知症薬が臨床導入された1990年代以降、治療や介護手配への関与が急増している。しかし、物忘れクリニックによる認知症治療やフォローアップの有効性を直接的に示すエビデンスはない。英国は数年前、国による対認知症戦略を公表したが、集学的な物忘れ外来の全国的なネットワークの構築によってサービスやサポートへのアクセスのしやすさを提供することで、その目標を達成する意向だという。BMJ誌2012年6月2日号(オンライン版2012年5月15日号)掲載の報告。

認知症治療と介護調整能を多施設共同無作為化試験で評価
研究グループは、診断後の認知症治療と、介護の手配調整の有効性について、物忘れクリニックと一般診療所を比較する多施設共同無作為化試験を実施した。

2007年12月~2009年7月までに、オランダの9つの物忘れクリニックと159の一般診療所に、地域に居住する軽度~中等度の新規認知症患者175例と、その介護者が登録され、通常の認知症治療が行われた。

介護者が「アルツハイマー病患者QOL評価(スコアが高いほどQOLが良好)」を用いて患者QOLを評価し、介護者自身の負担は達成感に関する質問票(スコアが高いほど達成感が大きい)で評価した。

患者QOL、介護者の達成感とも同等
175組の認知症患者/介護者が登録され、87組が物忘れクリニックに、88組は一般診療所に割り付けられた。患者の61%(106例)および介護者の70%(123人)が女性で、平均年齢は患者が78.1歳、介護者は63.5歳であった。患者の60%がアルツハイマー病で、84%が超軽度~軽度の認知症であった。22組が脱落し、解析が可能であったのは12ヵ月のフォローアップを完遂した153組(物忘れクリニック群78組、一般診療所群75組)だった。

12ヵ月のフォローアップ後、患者QOLは一般診療所に比べ物忘れクリニックが0.49ポイント[95%信頼区間(CI):−0.66~1.63、p=0.40]高く、介護者の達成感は物忘れクリニックが2.43ポイント(95%CI:−5.82~0.96、p=0.16)低かったが、いずれも有意な差はなかった。

フォローアップ6ヵ月の時点でも、12ヵ月と同様の結果であった[患者QOL:物忘れクリニックが0.58ポイント(95%CI:−0.57~1.73)高い、p=0.32、介護者達成感:物忘れクリニックが0.93ポイント(95%CI:−3.75~1.89)低い、p=0.52]。

著者は、「物忘れクリニックが、一般診療所よりも認知症患者の治療や介護の調整に関して優れるとのエビデンスは見いだされなかった」と結論し、「物忘れクリニックの有効性のエビデンスが確立されない以上、どの認知症介護を提供するかは、コストの最小化、患者の好み、地域の健康サービス計画などの他の論拠に基づいて決めることになる」としている。

(菅野守:医学ライター)