わが国の認知症有病率は従来の報告よりかなり高い:第53回日本神経学会学術大会より

提供元:ケアネット

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公開日:2012/05/24

 



わが国の最新の全国調査によると、65歳以上の認知症有病率は14%と推計され、これまで報告されていた有病率(3.8~7.2%)と比較して明らかに高くなっていることが、現在開催中の第53回日本神経学会学術大会(5月22日~25日、東京国際フォーラム)における認知症疫学に関するシンポジウムにて、筑波大学 朝田 隆氏より報告された。

この調査は、厚生労働省の研究事業として、全国6ヵ所(新潟県上越市、茨城県利根町、愛知県大府市、島根県海士町、大分県杵築市、佐賀県伊万里市)の65歳以上の住民約5,400人を対象とした調査で、参加率は64.7%であった。

本調査の結果、認知症768人、軽度認知障害529人であり、また基礎疾患は、アルツハイマー型認知症が67.4%と3分の2を占め、次いで脳血管性認知症18.9%であった。今回の調査から、65歳以上の認知症有病率は14%と推計されるという。

男女比では、女性のほうが常に高く、また加齢とともに男性に比べて高くなり、100歳以上の女性における有病率は100%であった。また、従来の報告と同様、加齢とともに有病率は増加し、5歳刻みの年齢階層別でみると階層が1つ上がるごとに倍増している。各地域別の年齢階層別有病率はほぼ同様であったが、海士町(隠岐の島)だけは85歳以上でフラットとなっていた。

朝田氏は、「認知症問題は国策レベルの問題であり、大規模かつ継続的な疫学調査が必要である。またデータベース化などのインフラストラクチャーの構築が必要である」と提言し、講演を締めくくった。

(ケアネット 金沢 浩子)