NIH助成の臨床試験、終了後30ヵ月以内の発表は半数以下

提供元:ケアネット

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公開日:2012/01/20

 



米国国立衛生研究所(NIH)の助成を受けた臨床試験が、試験終了後の適切な時期(30ヵ月以内)に査読審査のある生物医学雑誌に発表される割合は46%に過ぎず、試験終了後の追跡期間中央値である51ヵ月が経過しても32%が未発表のままであることが、米国・エール大学のJoseph S Ross氏らの調査で明らかとなった。企業がスポンサーの研究に関する大規模な調査では、臨床試験終了後、数年が経過しても25~50%が未発表のままであることが報告されている。一方、公的基金の出資による試験の公表パターンについてはほとんど知られていないという。BMJ誌2012年1月7日号(オンライン版2012年1月3日号)掲載の報告。

NIH助成臨床試験の公表パターンを調査




研究グループは、NIHの助成を受けた臨床試験の、査読審査のある生物医学雑誌への公表パターンを調査するために横断的な解析を行った。

NIHが資金を拠出し、2005年9月30日~2008年12月31までにClinicalTrials. gov(NIHが運営し、米国国立医学図書館[NLM]が支援する臨床試験の登録とその結果のデータベース)に登録された臨床試験を対象とした。2011年6月にMedlineの最終検索を行い、これらの試験の生物医学雑誌への掲載状況を調査した。
30ヵ月以内公表率は改善しつつあるが……




2008年12月31日までに終了した635の臨床試験のうち、終了後30ヵ月以内に生物医学雑誌に掲載されたのは294試験(46%)であった。全試験の終了後の追跡期間(中央値)は51ヵ月で、この間に公表された試験は432試験(68%)であった。

公表された試験の、公表までの期間(中央値)は23ヵ月であった。30ヵ月以内公表率は、2007年以前に終了した試験が36%(98/269試験)であったのに対し、2007~2008年に終了した試験は54%(196/366試験)と有意に上昇していた(p<0.001)。

著者は、「NIHの助成を受けた試験が、終了後の適切な時期に査読審査のある生物医学雑誌に発表される割合は改善されつつあるとはいえ、半数にも満たず、試験終了後の追跡期間中央値である51ヵ月(4年3ヵ月)が経過しても約3分の1が未発表のままだった」と結論している。

(菅野守:医学ライター)