脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

本当にCGRP関連抗体薬で片頭痛の高水準ケアは可能となったのか?

 国際頭痛学会は、より高い治療水準を確立するため、実臨床における片頭痛予防の新たな治療目標を提示した。スペイン・Vall d'Hebron HospitalのEdoardo Caronna氏らは、CGRP関連抗体薬による片頭痛特異的治療を6ヵ月間行った後に、これらの目標を達成した患者の割合を評価する初の研究として、欧州における多施設共同実臨床プロスペクティブコホート研究(EUREkAコホート研究)を実施した。Cephalalgia誌2026年6月号の報告。  対象は、CGRP関連抗体薬(エレヌマブ70mgまたは140mgを毎月、ガルカネズマブ120mgを毎月+240mgの負荷投与、フレマネズマブ225mgを毎月またはフレマネズマブ675mgを四半期ごと)による治療を行った成人片頭痛患者。

実臨床におけるレカネマブとAChE阻害薬の有用性比較

 アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害薬は、アルツハイマー病の症状を緩和する。一方、レカネマブは、アルツハイマー病の進行を修飾する可能性が示されている。しかし、レカネマブの安全性や臨床的影響に関するリアルワールド・エビデンスは、依然として限られている。台湾・Mackay Medical UniversityのChuo-Yu Lee氏らは、軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病の患者を対象に、レカネマブ投与を開始した場合とAChE阻害薬を投与した場合の安全性および有効性を比較するため、本研究を実施した。Alzheimer's Research & Therapy誌オンライン版2026年6月22日号の報告。

話せる言語数が多いほど脳年齢は若い?

 言語を学ぶことには思わぬメリットがあるかもしれない。新たな研究で、複数の言語を話す人は、1つの言語しか話さない人と比べてAIで推定された脳年齢が若い可能性があることが示唆された。バスク認知・脳・言語センター(スペイン)の副科学ディレクターであるLucia Amoruso氏らによるこの研究結果は、欧州神経科学会連合フォーラム(FENS Forum 2026、7月6~10日、スペイン・バルセロナ)で発表された。Amoruso氏は、「簡単に言えば、話せる言語数が多い人ほど、脳年齢が実年齢より若い傾向が見られた」と述べている。

中・遠位血管閉塞による脳梗塞、血栓回収療法は有効か/JAMA

 機械的血栓回収療法は、急性期虚血性脳卒中(AIS)の治療法を一変させ、大血管閉塞(LVO)に伴うAISの標準治療となったが、主要な無作為化臨床試験の対象の多くは近位部閉塞の患者で、より遠位部の閉塞はごく一部(M2セグメントに及ぶものは0.5~14.3%)だという。フランス・Hopital Pitie-SalpetriereのFrederic Clarencon氏らDISCOUNT Investigatorsは、非盲検(評価者盲検)無作為化臨床試験「DISCOUNT試験」において、中・遠位血管閉塞(MDVO)に関連する急性期AIS患者では、薬物療法単独と比較して血栓回収療法+薬物療法は、3ヵ月の時点での良好な臨床アウトカム(修正Rankin尺度[mRS]スコア:0~2点)の達成割合を上昇させず、血栓回収療法に伴う出血性合併症の発生頻度が高いことを示した。研究の成果はJAMA誌オンライン版2026年7月22日号で報告された。

認知症リスクを考慮した帯状疱疹ワクチン、最適なタイミングは

 これまでの観察研究において、帯状疱疹ワクチン接種と認知症との間に予防的な関連があることが報告されている。しかし、これらの研究には方法論的な限界がある、あるいは米国では現在利用できない生ワクチンが対象となっていた。米国・Brown UniversityのKaleen N. Hayes氏らは、亜急性期ケアまたは長期ケアを目的として専門看護施設に最近入所した高齢者を対象に、入所後12ヵ月以内または退所後の遺伝子組み換え帯状疱疹ワクチン接種(RZV)と認知症との関連を推定するため、本研究を実施した。Annals of Internal Medicine誌7月号の報告。

適量のコーヒーで心不全や脳卒中リスクが低下~AHAステートメント

 カフェインは世界で最も広く消費されている嗜好薬物の1つであるものの、心血管系に対する詳細なリスクや有効性については、摂取形態や個人差による影響を含めて整理が必要とされてきた。米国心臓協会(AHA)専門委員会のGregory M. Marcus氏(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)らは、カフェインおよびコーヒー摂取が心血管系に及ぼす影響に関する最新の科学的ステートメントを発表した。習慣的な適量摂取(カフェイン最大400mg/日、8オンスカップ[約240mL]でコーヒー3~5杯/日)は多くの成人において安全であり、冠動脈疾患、心不全、脳卒中、心房細動、2型糖尿病などのリスク低下と関連していることが示された。Circulation誌オンライン版2026年7月20日号に掲載。

中高年のp-tau217値、認知機能低下を予測/JAMA

 米国・Mass General BrighamのRachel F. Buckley氏らは、6件の長期追跡研究に参加した認知機能が正常な中高年のデータを統合し、血漿中リン酸化タウ217(p-tau217)値の増加が、認知機能障害への進行リスクおよび認知機能の低下速度と関連していることを明らかにした。アルツハイマー病(AD)の血液バイオマーカー、とくに血漿p-tau217値は、認知機能が正常な人のAD初期の脳病理を正確に反映することから、認知機能障害への進行リスクとの関連について検証が求められていた。著者は、「今回の結果は、認知機能が正常な高齢者における予後予測モデルの開発、および認知機能低下の長期リスクの推定においてp-tau217が有用であることを支持するものであり、AD治療薬の臨床試験の設計に示唆を与えるものであった。

カフェインは頭痛を誘発するのか、軽減するのか

 カフェインは、鎮痛作用と頭痛の誘因となる可能性という二面性を有している。エジプト・Beni-Suef UniversityのMona Hussein氏らは、この二面性に焦点を当て、カフェインと頭痛との多面的な関係を検証し、さらにカフェインの鎮痛作用の根底にあるメカニズムを明らかにするため、ナラティブレビューを実施した。Brain and Behavior誌2026年6月号の報告。  本ナラティブレビューでは、カフェインの薬理作用、アデノシン受容体調節への関与、さまざまな頭痛タイプ(片頭痛、睡眠時頭痛、硬膜穿刺後頭痛[PDPH]、薬剤の使用過多による頭痛[MOH]、カフェイン離脱性頭痛など)への影響に関する実験的、臨床的、疫学的な研究のエビデンスを統合し、検討を行った。

GPIIb/IIIa阻害薬は、脳出血は心配ない?(解説:後藤信哉氏)

血小板の凝集はGPIIb/IIIaとフィブリノーゲン、VWFの結合による。心筋梗塞、脳梗塞の発症における血小板の役割は完全に理解されているわけではないが、血小板凝集が一定の役割を演じていると考えられた。循環器内科の領域では血小板凝集を完全に阻害するGPIIb/IIIa阻害薬が3種臨床開発され、国によってはabciximab、tirofiban、eptifibatideの3種、あるいは3種のうちの1種が認可されている。循環器内科の再灌流療法の大半はカテーテルを用いた局所的なPCIであるため、静脈投与可能かつ強力な抗血小板薬であるGPIIb/IIIa阻害薬は、再灌流療法後の急性期再閉塞などの症例に限局して使用されている。血小板凝集を完全に阻害するため、重篤な出血イベントリスクも不可避である。

心筋梗塞を経験した人は認知機能の低下が速い

 心筋梗塞の既往がある人は認知機能の低下が速く、認知機能障害へ進行するリスクも高いことを示すデータが報告された。心筋梗塞を経験していない人と比較して、認知機能障害に進行するリスクが、1年当たり約5%高いという。米オハイオ州立大学のMohamed Ridha氏らの研究によるもので、詳細は「Stroke」に5月14日掲載された。  この研究は、脳卒中リスクの地理的・人種的差異を検討する疫学研究(REGARDS)のデータを用いて行われた。追跡開始時点(ベースライン)で認知機能障害が記録されていた人や、解析に必要なデータのない人などを除外し、2万923人(年齢中央値63歳〔四分位範囲57~70〕、女性57.2%)を、中央値10.1年(四分位範囲7.0~12.1)追跡して、認知機能の低下速度と認知機能障害の発生リスクを心筋梗塞の既往の有無で比較した。