脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

prasinezumabはパーキンソン病の運動症状悪化の抑制に有効か?(解説:内山真一郎氏)

prasinezumabはPASADENA試験により、未治療やMAO-B阻害薬の治療を受けている初期のパーキンソン病患者において運動症状の進行を遅くする効果を有する可能性が示されている。PADOVA試験は、安定的な維持療法を受けている、より幅広いパーキンソン病患者においてprasinezumabの有効性と安全性を検討した第II相試験であった。1次評価項目は運動症状がMDS-UPDRS Part III off-medication scoreで5点以上増加するまでの時間であったが、1次エンドポイントはprasinezumab群とプラセボ群で有意差はなかったものの、運動症状の進行はprasinezumab群で遅くなる傾向が認められた(ハザード比:0.84、95%信頼区間:0.69~1.01、p=0.066)。

パーキンソン病へのiPS細胞由来「ラグネプロセル」薬価収載、最適使用推進ガイドライン発出

 パーキンソン病に対する再生医療等製品「ラグネプロセル(商品名:アムシェプリ)」について、住友ファーマが日本における製造販売承認(条件及び期限付承認)を2026年3月6日に取得し、5月20日に薬価収載された。本品の使用に当たっては、厚生労働省より5月19日に「最適使用推進ガイドライン」が発出された。  ラグネプロセルは、世界初となる日本発のiPS細胞由来製品で、京都大学iPS細胞研究財団が提供するiPS細胞ストックを原材料とした、「非自己(他家)iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞」を有効成分とする再生医療等製品に分類される。

日本の内科医と精神科医でアルツハイマー病に伴うアジテーションに対する治療方針が異なっている?

 認知症の行動・心理症状であるアジテーションは、日本ではいまだ十分に認識されていない。東京慈恵会医科大学の品川 俊一郎氏らは、日本におけるアルツハイマー病に伴うアジテーションに対する医師の認識と治療実践を明らかにするため、ウェブベースの横断調査を実施した。Scientific Reports誌オンライン版2026年5月7日号の報告。  調査対象は、神経内科、脳神経外科、精神科、または一般内科の医師で、調査パネルに登録し、参加に同意した医師。病院またはクリニックで勤務し、月10例以上のアルツハイマー病患者を診療していることを条件とした。調査は、2024年10月にウェブベースで実施した。

阪神ファンの認知症患者、優勝後にBPSDが大きく改善!?

 認知症は、認知機能の低下とそれに伴う行動・心理症状(BPSD)を特徴とする疾患であり、社会問題として深刻化している。大阪・脳神経内科はつたクリニックの初田 裕幸氏は、日本の関西地方に在住する認知症患者855例を対象に、プロ野球の試合結果とBPSDの変化との関連を調査するため、探索的レトロスペクティブ研究を実施した。Geriatrics & Gerontology International誌2026年5月号の報告。 ・阪神タイガースファンの認知症患者19例において、2023年のセントラルリーグ優勝後、BPSDスコアの有意な低下が認められた。

慢性期外傷性脳損傷に初の再生医療 バンデフィテムセル発売/サンバイオ

 サンバイオが開発した細胞治療薬バンデフィテムセル(商品名:アクーゴ)が慢性期外傷性脳損傷(TBI)の治療に承認・発売された。2026年6月に行われた「アクーゴ脳内移植用注発売メディアセミナー」で紹介された基礎と臨床の専門家の知見を詳報する。  再生医療においては幹細胞が非常に大きな役割を果たす。幹細胞には体を構成するほぼすべての組織に分化可能な多能性幹細胞(iPS細胞やES細胞)と一定の限られた細胞種に分化する体性幹細胞(間葉系幹細胞、造血幹細胞、神経幹細胞など)がある。体性幹細胞は生体組織に存在するため、選択的に増やすあるいは分離することで再生医療に活用できる。

タウPET検査、トレーサー選択がアルツハイマー病診断の精度に影響/Lancet

 アルツハイマー病の診断、進行ステージおよび治療の選択において重要なバイオマーカーとして注目されるタウPET画像について、検査で使用する放射性医薬品(トレーサー)の選択により、年齢やアルツハイマー病の進行段階を問わず、タウ病理の検出頻度に違いが生じることが、米国・ピッツバーグ大学のGuilherme Povala氏らによる「HEAD試験」の結果で示された。トレーサーとして、[18F]MK6240はフロルタウシピル(18F)(商品名:タウヴィッド)と比較して、認知機能正常例および認知障害例のいずれにおいても、タウ病理を有する人をより多く特定した。著者らは、「この結果は、臨床試験における患者層別化やより精度の高い治療方針決定に、直接的な影響を与えるものである」とまとめている。Lancet誌2026年5月30日号掲載の報告。

アルツハイマー病に対するアーモンド効果、その結果は?

 アーモンドは、脳の強壮や記憶力向上において、ペルシャ医学でたびたび推奨されている。また、いくつかのエビデンスにおいても、アーモンドの記憶力への効果が裏付けられている。イラン・Iran University of Medical SciencesのMohsen Mohajeri氏らは、アルツハイマー病患者におけるアーモンドの記憶力および認知機能への影響を評価するため、ランダム化比較試験を実施した。Avicenna Journal of Phytomedicine誌2026年3・4月号の報告。  本ランダム化比較試験では、軽〜中等度の認知機能障害を有するアルツハイマー病患者60例を対象に、アーモンド摂取群(1日10gの粉末スイートアーモンドと小さじ1杯の粉末ロックキャンディを既存の処方薬に加えて摂取)または対照群(既存の処方薬を継続)にランダムに割り付け、3ヵ月間フォローアップを行った。

精神症状の有無でアルツハイマー病に伴うアジテーションに対するブレクスピプラゾールの効果に違いはあるか?

 アルツハイマー病患者は、アジテーションと精神病症状を併発することが少なくない。米国・Banner Alzheimer's InstituteのPierre N. Tariot氏らは、精神病症状を併発するアルツハイマー病患者と併発しない患者におけるアジテーションに対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性を明らかにするため、長期試験の事後解析を実施した。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2026年4月21日号の報告。  アルツハイマー病に伴うアジテーションを有する患者を対象に、ブレクスピプラゾールとプラセボを比較した2つの第III相試験(欧州、ロシア、米国で実施された12週間ランダム化二重盲検プラセボ対照固定用量試験)のデータを統合した。

中高年の前兆を伴う片頭痛、脳梗塞リスクの上昇と関連

 前兆を伴う片頭痛を有する中高年では、片頭痛のない中高年と比べて虚血性脳卒中(脳梗塞)リスクが高い可能性があるとする研究結果が報告された。前兆を伴う片頭痛を有する人では、片頭痛のない人に比べて脳梗塞リスクが73%高かった一方、前兆を伴わない片頭痛を有する人では有意なリスク上昇は認められなかったという。米バーモント大学神経学分野のAdam Sprouse-Blum氏らによるこの研究結果は、「Neurology」に5月20日掲載された。  研究グループによれば、片頭痛の前兆とは、片頭痛発作に先立って現れる視覚的または感覚的な異常を指す。

脳梗塞治療と心筋梗塞治療の類似性と相違(解説:後藤信哉氏)

今の若い世代の循環器内科医にとって、心筋梗塞に対する再灌流療法は冠動脈インターベンションであろう。1986年から循環器内科医をしている筆者は、心筋梗塞治療に血栓溶解療法が主流になりそうな時代があったことを知っている。血栓溶解療法には内因系のプラスミノーゲンをプラスミンに転換することにより、線溶効果を狙う。ヒトの身体はバランスが取れているので、線溶を亢進させれば、体内の血栓性も亢進する。血栓溶解療法には血小板、凝固系を阻害する抗血栓療法の併用が必須である。われわれは1980~90年代に多数の抗凝固薬、抗血小板薬の併用を試してきた。