内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

非定型うつ病に対する薬理学的治療の比較〜ネットワークメタ解析

 非定型うつ病は、気分反応性、過眠、鉛様の麻痺を含む非常に一般的なサブタイプであり、メランコリックうつ病との異なる治療アプローチが求められる。イタリア・University School of Medicine of Naples Federico IIのMichele Fornaro氏らは、これまで実施されていなかった非定型うつ病に対する薬理学的治療についてのネットワークメタ解析を実施した。European Neuropsychopharmacolojy誌2025年7月号の報告。

不適切な医療行為は一部の医師に集中~日本のプライマリケア

 日本のプライマリケアにおける「Low-Value Care(LVC:医療的価値の低い診療行為)」の実態を明らかにした大規模研究が、JAMA Health Forum誌オンライン版2025年6月6日号に掲載された。筑波大学の宮脇 敦士氏らによる本研究によると、抗菌薬や骨粗鬆症への骨密度検査などのLVCを約10人に1人の患者が年1回以上受けており、その提供は一部の医師に集中していたという。  LVCとは、特定の臨床状況において、科学的根拠が乏しく、患者にとって有益性がほとんどない、あるいは害を及ぼす可能性のある医療行為を指す。過剰診断・過剰治療につながりやすく、医療資源の浪費や有害事象のリスク増加の原因にもなる。本研究で分析されたLVCは既存のガイドラインや先行研究を基に定義され、以下をはじめ10種類が含まれた。 ●急性上気道炎に対する去痰薬、抗菌薬、コデインの処方 ●腰痛に対するプレガバリン処方 ●腰痛に対する注射

糖尿病と高血圧の併発が命を脅かす

 米国では2型糖尿病と高血圧を併発している患者が過去20年間で倍増し、そのような患者は全死亡リスクが約2.5倍、心血管死のリスクは約3倍に上ることが明らかになった。これは米コロンビア大学メイルマン公衆衛生大学院のNour Makarem氏らの研究の結果であり、詳細は「Diabetes Care」に5月21日掲載された。  この研究には、1999~2018年の米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した4万8,727人の成人のデータが用いられた。参加者全体を、2型糖尿病も高血圧もない群(50.5%)、2型糖尿病のみの群(2.4%)、高血圧のみの群(38.4%)、両方に罹患している群(8.7%)という4群に分類して、全死亡(あらゆる原因による死亡)と心血管死のリスクを比較した。なお、2型糖尿病と高血圧を併発している患者の割合は、前記の期間中に6%から12%へと倍増していた。

脳全体のアミロイドβとタウタンパク質の蓄積量は性別によって異なる

 女性や父親にアルツハイマー病(AD)歴がある人の方が、脳全体のアミロイドβ(Aβ)とタウタンパク質の蓄積量の間に強い関連が認められるという研究結果が、「Neurology」5月13日号に掲載された。  マギル大学(カナダ)のValentin Ourry氏らは、患者自身の性別やADを発症した親の性別がAβとタウタンパク質の蓄積に影響を与えるかどうかを検討するため、カナダで実施されたPresymptomatic Evaluation of Experimental or Novel Treatments for ADコホート研究から対象者243人のデータを分析した。

減量・心代謝リスク因子に対し、最も効果的な断食戦略は?/BMJ

 米国・Harvard TH Chan School of Public HealthのZhila Semnani-Azad氏らは、無作為化比較試験99報についてネットワークメタ解析を行い、断続的断食および連続的エネルギー制限食は自由食と比較して体重を減少させ、断続的断食の中でも隔日断食は連続的エネルギー制限食と比較して体重減少に有益であることを報告した。体重減少は心代謝リスク因子を低下させ、結果として2型糖尿病や心血管疾患などの疾病負担を減らすことを可能とするが、減量戦略としてよく行われている断続的断食が、カロリー制限食や自由食と比較して健康にどのような効果があるかは明らかになっていなかった。BMJ誌2025年6月18日号掲載の報告。

カフェインと頭痛の重症度との関係

 重度の頭痛や片頭痛は、日常生活に大きな影響を及ぼす非常に一般的な神経疾患である。毎日のカフェイン摂取と重度の頭痛や片頭痛との関係に関する議論は、いまだ続いている。中国・南昌大学のZhiqiang Liao氏らは、食事介入のためにも、カフェイン摂取と重度の頭痛または片頭痛との関連を調査した。Frontiers in Neurology誌2025年5月14日号の報告。  対象は、1999〜2004年に行われた米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータより抽出した20〜49歳の参加者5,234人。食事性カフェイン摂取量と重度の頭痛または片頭痛との関連を調査するため、多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。潜在的な用量反応関係の調査には、制限付き3次スプライン(RCS)回帰モデルを用いた。smoothed two-pieceロジスティック回帰モデルにより、食事性カフェイン摂取量と重度の頭痛または片頭痛の閾値関連の特定を試みた。サブグループ解析により、重度の頭痛や片頭痛に対する食事性カフェイン摂取の影響にサブグループ間で違いがあるかを調査した。カフェインの摂取量に応じて、Q1(最も少ない)〜Q4(最も多い)の四分位に分類した。

週に数パックの納豆で死亡リスクが40%減少か~前向き研究

 納豆など、個別の大豆発酵食品の摂取が死亡率に及ぼす影響を調べた疫学研究はほとんどない。今回、関西医科大学の藤田 裕規氏らが高齢男性を対象とした前向きコホートで調査したところ、納豆を習慣的に摂取している男性は全死亡リスクが低く、週に数パック摂取する男性では摂取しない男性より40%低いことが示された。Clinical Nutrition ESPEN誌オンライン版2025年6月12日号に掲載。  本研究は65歳以上の男性2,174人を対象とし、このうち2,012人がベースライン調査を完了した。5年後と10年後に追跡調査を実施、アウトカムは死亡率とした。ベースライン時および追跡調査時に納豆摂取に関するアンケートを行った。Cox比例ハザードモデルを用いて、納豆摂取と全死亡との関連についてハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

過体重・肥満者の変形性膝関節症による痛みをメトホルミンが緩和

 経口血糖降下薬の一種であるメトホルミンが、変形性膝関節症による痛みを抑制するとする研究結果が、世界変形性関節症研究会議(OARSI2025、4月24~27日、韓国・仁川)で報告された。モナッシュ大学(オーストラリア)のFeng Pan氏らの研究によるもので、24日の発表に合わせて「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に論文が掲載された。  前臨床試験およびヒト対象の予備的な研究から、メトホルミンには炎症抑制や軟骨保護作用があり、変形性膝関節症患者の疼痛を改善する可能性が示唆されている。Pan氏らはこの効果を、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験によって検討した。

不眠症へのベンゾジアゼピン中止のための介入策の効果は?/BMJ

 ベンゾジアゼピン系および類似の催眠鎮静薬(BSH)を中止するための介入について、有効性に関するエビデンスの確実性は低く、患者教育、薬剤の見直し、薬剤師主導の教育的介入がBSHを中止する患者の割合を増加させる可能性はあるが、現状ではエビデンスの確実性が低いため、さらなる質の高い研究が求められるという。カナダ・McMaster UniversityのDena Zeraatkar氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。多くの患者が、転倒、認知機能障害、依存などのリスクがあるにもかかわらず、不眠症の治療にBSHを使用している。しかし、BSHの代替療法に関する知識は限られており、その有害性が明確ではなく、中止を支援する最適な戦略に関するエビデンスは不十分であることが報告されていた。BMJ誌2025年6月17日号掲載の報告。

溶連菌咽頭炎への抗菌薬、10日間から短縮可能?

 本邦では、『気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言(改訂版)』において、A群溶血性レンサ球菌(GAS)が検出された急性咽頭・扁桃炎に対して、抗菌薬を投与する場合にはアモキシシリン内服10日間を検討することが推奨されている。ただし、海外では臨床的な治療成功については、短期治療(5~7日)が10日間の治療と同等であるいう報告もあり、短期治療の可能性が検討されている。  2022年にニュージーランドで実施された抗菌薬適正使用の取り組みの一環として、GAS咽頭炎に対する抗菌薬治療期間の短縮が、地域的に促進された。この介入により、抗菌薬の投与期間が10日間から5日間や7日間などへ短縮されるようになったが、治療成績に及ぼす影響は明らかになっていなかった。そこで、Max Bloomfield氏(Awanui Laboratories、Te Whatu Ora/Health New Zealand)らの研究グループは、後ろ向きコホート研究により治療期間の短縮の影響を検討した。その結果、治療期間を短縮しても治療成績に悪影響はみられなかった。本研究結果は、Open Forum Infectious Diseases誌2025年6月6日号に掲載された。