総合診療科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

プラリマリケアでの抗うつ薬治療、再発リスクの評価/NEJM

 抗うつ薬治療を中止できるほど良好な状態であったプライマリケアのうつ病患者において、投薬を中止した患者は継続した患者と比べて、52週までのうつ病再発リスクが高いことが示された。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)Faculty of Brain SciencesのGemma Lewis氏らが両者を比較する無作為化二重盲検試験の結果を報告した。プライマリケアで治療を受けるうつ病患者は、長期間抗うつ薬の投与を受ける可能性があるとされるが、投与を継続または中止した場合の影響に関するデータは限定的であった。NEJM誌2021年9月30日号掲載の報告。  研究グループは、英国にある150の一般診療所(GP)で治療を受ける成人患者を対象に試験を行った。全患者が2つ以上のうつエピソード歴があるか、抗うつ薬治療を2年以上受けており、治療中止を考慮可能なほど良好な状態であった。  被験者(citalopram、fluoxetine、セルトラリン、ミルタザピンのいずれかを服用)は1対1の割合で無作為に、現行の抗うつ薬治療を継続する群(継続群)またはマッチさせたプラセボを用いて漸減・中止する群(中止群)に割り付けられた。

医療クラウドファンディング、コロナ対応スタッフの苦境を救え

 新型コロナウイルスが猛威を振るい始めてから、クラウドファンディングを利用して医療材料などの資金調達を行う医療施設や大学が増加している。先月3日にREADYFOR主催の記者会見を行った医療法人社団 悠翔会もその1つだが、なぜこのような支援方法を選択したのだろうか。同施設は首都圏や沖縄に拠点を設け在宅診療にあたっている。新型コロナ患者対応においては、かかりつけ医を持たず、なおかつ自宅療養を余儀なくされる患者を保健所紹介のもとで積極的に対応しているが、その責任者である佐々木 淳氏(悠翔会理事長・診療部長)が語る、在宅におけるコロナ対応の現状や自施設スタッフのリスク管理とはー。

ファイザー製ワクチン、60歳以上で3回目接種の効果は?/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンBNT162b2(Pfizer/BioNTech製)について、2回接種を5ヵ月以上前に完了した60歳以上の高齢者に対する3回目ブースター接種は、COVID-19感染および重症化リスクが大幅に低下することを、イスラエル・Weizmann Institute of ScienceのYinon M. Bar-On氏らが報告した。イスラエルでは2021年7月30日に、5ヵ月以上前にBNT162b2の2回接種を完了した60歳以上の高齢者への、3回目接種が承認されている。研究グループは、追加免疫のデータを収集するため3回目ブースター接種を行った同国約114万例の高齢者を対象に試験を行った。NEJM誌オンライン版2021年9月15日号掲載の報告。

新型コロナの唾液PCR検査、無症候者へは推奨できない?/JAMA

 鼻咽頭スワブによるリアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR法)は新型コロナウイルス検出のための標準検査として行われているが、唾液を用いたPCR法は鼻咽頭によるPCR法より簡便であることから診断・スクリーニングにおいて魅力的な代替手段である。現に日本国内においても帰省や出張の前に検査を希望する人らが市販の唾液PCR検査キットに依存する傾向にある。しかし、米国・Children’s Hospital Los AngelesのZion Congrave-Wilson氏らが調査した結果によると、唾液を用いたPCR法(以下、唾液PCR法)は、感染初期の数週間に有症状の人の新型コロナウイルスを検出するには感度が高かったものの、無症候性の新型コロナウイルスキャリアの感度はすべての時点で60%未満だった。このことから、同氏らは無症候性感染者の唾液の感度低下を踏まえ、無症候感染者には唾液PCR法を新型コロナのスクリーニングに使用すべきではないと示唆している。JAMA誌オンライン版2021年8月13日号のリサーチレターでの報告。

ブレークスルー感染も、ワクチンが変異株の重症化を抑制か/CDC

 新型コロナウイルスの変異株であるデルタ株は感染性が高く、このほど米国でワクチン接種完了者によるブレークスルー感染が報告された。しかし、この報告からワクチンの効果がないと言えるのだろうかー。  CDC COVID-19 Response TeamのCatherine M. Brown氏らによると、マサチューセッツ州バーンスタブル群で発生した大規模クラスターの74%はファイザー製ワクチン接種完了者であったことが明らかになった。ただし、入院患者の割合は1.2%と、ワクチンが普及する前の既存株による重症化率と比較すると少ない傾向であることも示された。米国疾病予防管理センター(CDC)のMorbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)8月6日号での報告。

モデルナ製ワクチン後の急性期副反応に備えた、予診票の確認ポイント/自衛隊中央病院

 自衛隊東京大規模接種センターにおける「COVID-19 ワクチンモデルナ筋注」接種者約20万人のデータについて、急性期副反応の詳細を速報としてまとめたデータを自衛隊中央病院がホームページ上で公開した。本解析では急性期副反応を「同センター内で接種後経過観察中(最大30分間)に、何らかの身体的異常を自覚し、同センター内救護所を受診したもの」と定義し、得られた経験・知見を可能な限り医療従事者と共有することで、今後のCOVID-19ワクチン接種の対応向上に資することが目的としている。 <解析の対象と方法> ・2021年5月24日~6月15日に行われたワクチン接種者20万8,154人を対象(すべて1回目接種)。 ・ワクチン接種者の基礎的臨床情報は、厚生労働省より配布される「新型コロナワクチン 予診票」を用いて収集・解析。 ・急性期副反応発症者については全件調査を行い、非発症者についてはランダムサンプリングによる調査を行った。非発症者の母集団平均値の95%信頼区間の許容誤差が2%以下になるよう、サンプルサイズを設定した(n=3,000)。 ・急性期副反応に関する詳細は、当センター救護所で使用した医療記録を用いて収集・解析を行った。アナフィラキシーの診断は、ブライトン分類に基づき2名の医師(内科医および救急医)により判定した。

遠隔医療統合型妊産婦ケア、妊娠アウトカムを損なわず/Lancet

 遠隔医療を統合した妊産婦ケアは、妊娠アウトカムを損なわずに対面診療を50%以上削減することが、オーストラリア・Monash HealthのKirsten R. Palmer氏らの調査で示された。この診療モデルは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行期にも、対面での対話の最小化に資する可能性があり、流行終息後の保健医療モデルにおいても考慮すべきだという。Lancet誌2021年7月3日号掲載の報告。  研究グループは、妊産婦ケアにおける遠隔医療導入の有効性と安全性を評価する目的で、Monash Health(オーストラリア、ビクトリア州の大規模医療施設で、年間の出産件数は約1万件、妊産婦診療件数は約10万件)で出産する全女性の健康データを定期的に収集し、分割時系列分析を行った(特定の研究助成は受けていない)。  この試験では、2020年3月23日以降に、低リスクおよび高リスク診療モデルを用いて、妊産婦ケアに遠隔医療を統合した場合の影響を評価した。2020年3月23日から1ヵ月間の導入期間を設定し、その後2020年4月20日~7月26日までに実施された遠隔医療統合型ケアと、2018年1月1日~2020年3月22日までに実施された従来型ケアを比較した。

新型コロナ感染者の7割が症状持続:系統的レビュー

 COVID-19で長期持続する症状の頻度や種類、重症度についてはまだよくわかっていない。米国・スタンフォード大学のTahmina Nasserie氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の持続的な症状の頻度と多様性を調べた研究の系統的レビューを実施した結果、COVID-19の症状は一般的に感染急性期が過ぎても持続し、健康関連機能とQOLに影響を与えることがわかった。少なくとも1つの持続的な症状を経験している患者の割合は72.5%(中央値)であった。JAMA Network Open誌2021年5月26日号に掲載。

急性肝性ポルフィリン症治療薬ギボシランが承認/Alnylam Japan

 Alnylam Japanは、6月23日に急性肝性ポルフィリン症(AHP)の治療薬としてギボシラン(商品名:ギブラーリ皮下注189mg)が厚生労働省から製造販売承認を取得したと発表した。ギボシランは、国内における2成分目のRNA干渉(RNAi)治療薬であり、同社が国内で上市・販売する2番目の製品となる。なお、米国、EU、ブラジル、カナダ、スイスではすでに承認されている。発売日、薬価は未定。  AHPは、遺伝性の超希少疾患群であり、消耗性で生命を脅かしうる急性発作や患者さんによっては日常生活の機能(ADL)や生活の質(QOL)に悪影響を及ぼす持続症状を特徴とする。本症は、急性間欠性ポルフィリン症(AIP)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)、異型ポルフィリン症(VP)、およびALA脱水酵素欠損性ポルフィリン症(ADP)の4つの病型があり、いずれの病型も遺伝子変異により肝臓内のヘム産生に必要な特定の酵素が欠如することで生じ、これにより体内のポルフィリンが毒性量まで蓄積する。AHPは労働年齢や出産年齢の女性に偏って発生し、症状はさまざまとなる。最もよくみられる症状は、重症かつ原因不明の腹痛であり、随伴症状として、四肢痛、背部痛、胸痛、悪心、嘔吐、錯乱、不安、痙攣、四肢脱力、便秘、下痢、暗色尿または赤色尿もみられる。また、AHPはその徴候および症状が非特異的であるため、婦人科疾患、ウイルス性胃腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、虫垂炎などのより一般的な他の疾患と診断され、AHPと正確に診断されない原因となり、その結果、確定診断までの期間が15年に及ぶこともある。その他、本症では発作中に麻痺や呼吸停止を引き起こす可能性や長期罹患に伴う肝細胞がんなどのリスクもあることから、生命を脅かす危険もある疾患である。

新型コロナワクチン、接種会場での各病院の工夫とは?

 メディカル・データ・ビジョン株式会社は自社の病院向け経営支援システムを導入している病院に対して、接種会場での工夫点について緊急調査を実施。その結果、病院ごとに予診票の事前記入の促し、院内導線やスペース確保などを工夫していることが明らかになった(5月20日付プレスリリース)。  同社はこの調査を5月14日~19日の期間にウェブで実施、21病院から回答を得た。ワクチン接種体制で困っている点や課題に感じた点を聞いた(複数回答可)ところ、予約管理(66.7%)が最も多く、次いで接種人材の確保・役割分担(57.1%)、院内での接種会場の確保(52.4%)、円滑に接種するための動線(47.6%)、受付・問診(42.9%)だった。