総合診療科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

GERD診療ガイドライン改訂へ、P-CABの位置付け見直しなどが柱/日本消化器病学会

 現在、胃食道逆流症(GERD)診療ガイドラインの改訂作業が進行中であり、2026年4月にはパブリックコメント版が公開された。改訂版の刊行に先立ち、第112回日本消化器病学会総会(2026年4月16日~18日、福井・石川)においてGERD診療ガイドラインに関するパネルディスカッションが行われた。 本改訂では、診療の実用性向上を重視し、治療戦略や疾患概念の整理が図られている。基本方針は“シンプルで使いやすいガイドラインへ”である。2021年版ガイドラインでは、軽症・重症の区分に加え、プロトンポンプ阻害薬(PPI)とカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)の併用的な位置付けにより、フローチャートが複雑化していた。

医療者の携帯電話が多剤耐性菌を広める!?

 医療従事者の多くが勤務時間中に仕事関連と個人的な目的の両方で携帯電話を使用しており、患者との接触とデバイスの操作を頻繁に切り替えている。しかし、感染予防の観点からみた高頻度接触表面としての携帯電話の役割については、十分に解明されていない。ドイツ・Goethe University FrankfurtのDaniel Hack氏らは、大学病院で医療従事者が使用する携帯電話上の多剤耐性菌の保有率および分子疫学を評価し、非医療従事者が使用する端末との比較検討を行った。Antimicrobial Resistance & Infection Control誌2026年4月4日号掲載の報告。

130mmol/L未満の低Na血症、積極補正vs.標準ケア

 入院患者の低ナトリウム(Na)血症は、転倒や認知機能障害、死亡のリスク上昇と関連することが知られている。しかし、Na値の補正による臨床アウトカムの改善効果は不明である。そこで、Julie Refardt氏(スイス・バーゼル大学病院/オランダ・エラスムス医療センター)らの研究グループは、Na値の積極的な補正が30日以内の死亡または再入院に及ぼす影響を検討することを目的として、多施設共同無作為化比較試験「HIT試験」を実施した。その結果、慢性低Na血症を有する患者に対し、標的介入による積極的な補正を行っても、標準ケアと比較してリスクは低下しなかった。本研究結果は、NEJM Evidence誌2026年3月号に掲載された。

米国「食事ガイドライン」改訂――初の超加工食品制限に評価も、専門家から批判も相次ぐ

 米国の「食事ガイドライン(Dietary Guidelines for Americans:DGA)」は、学校給食などをはじめとした国民の栄養摂取の指針となるもので、米国農務省(USDA)と米国保健福祉省(HHS)が5年ごとに改訂している。2026年1月7日に最新版(2025~2030年版)が発表され、大きな内容変更が話題となっている。  改訂版の中心となるメッセージは、「Eat real food(本物の食物を食べよう)」で、全体を通じて「ホールフード」(加工されていない/加工が最小限の食品、全粒粉穀物など)の摂取が推奨されている。従来のDGAは、基本的に塩分や糖分といった1日の栄養目標値の範囲内であれば、あらゆる食品の選択肢が許容されるものとしてきたが、この方針を大きく転換した。

アルツハイマー病、発症から診断までは2.2年/新潟大学ら

 アルツハイマー病(AD)では、治療・ケア方針の決定において早期診断が極めて重要となるが、日本における診断までの実際の経過は明らかではなかった。新潟大学の春日 健作氏らは、日本国内の複数施設を対象に、症状出現からAD診断に至るまでの期間とその過程で最も時間を要する段階を明らかにする後ろ向き観察研究を実施した。本試験の結果はAlzheimer's & Dementia誌オンライン版2025年12月25日号に掲載された。  本研究には、2011年4月~2023年3月に「ADによる軽度認知障害(MCI)」または「AD型認知症」と診断された18~79歳の患者138例が含まれた。発症年齢65歳未満を若年発症AD、65歳以上を高齢発症ADと定義し、初診日で1対1にマッチングした上で解析した。

乳がん検診の「高濃度乳房」通知、患者不安を助長する?/BMJ

 米国では食品医薬品局(FDA)がマンモグラフィ後の高濃度乳房の通知を全国的に義務付けており、オーストラリアなどでは乳がんスクリーニング時の高濃度乳房通知への移行が進められており、英国でも通知の導入が検討されているという。一方で、通知の影響は明らかになっておらず、スクリーニングレベルでの通知の有益性が、潜在的な有害性を上回るかどうかのエビデンスは不足しているとして、オーストラリア・シドニー大学のBrooke Nickel氏らは、通知された女性の心理社会的アウトカムおよび医療サービス利用の意向を多施設並行群間比較無作為化試験にて調べた。高濃度乳房を通知された女性は、不安や困惑が高まり、自身の乳房の健康状態に関する意思決定のための情報が十分ではないと感じており、かかりつけ医(GP)による指導を求めていることが明らかになったという。著者は、「高濃度乳房の通知を乳がんスクリーニングの一環とすることは、有害アウトカムとして、女性へのアドバイスにおけるGPのコンサルテーションの負荷を増やすことなどが考えられる」と述べている。BMJ誌2025年12月3日号掲載の報告。

Long COVIDの経過は8つのタイプに分かれる

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状、いわゆるlong COVIDは、一般に、新型コロナウイルスへの感染後に、疲労感やブレインフォグ、めまい、動悸などのさまざまな症状が3カ月以上持続する慢性疾患とされている。このほど新たな研究で、long COVIDの経過は、症状の重症度、持続期間、経過(改善傾向か悪化傾向か)により8つのタイプに分類されることが示唆された。米ハーバード大学医学大学院のTanayott Thaweethai氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Communications」に11月17日掲載された。  Thaweethai氏らはこの研究で、RECOVER(Researching COVID to Enhance Recovery)イニシアチブへの参加成人3,659人(女性69%、99.6%は2021年12月以降のオミクロン株流行期に感染)を対象に、感染の3〜15カ月後に評価したlong COVIDの症状スコアに基づき、患者の縦断的経過パターンを解析した。対象者のうち、3,280人は最初の新型コロナウイルス感染から30日以内に試験に登録した急性期患者、残る379人は登録時には未感染であったがその後に感染したクロスオーバー群であった。

日常生活のルーティンの乱れが片頭痛を誘発か

 片頭痛を回避したいなら、退屈な日常生活のルーティンを守る方が良いようだ。新たな研究で、日々のルーティンを大きく乱す予想外の出来事(サプライザル)は、その後12〜24時間以内の片頭痛の発生リスクの上昇に強く関連していることが明らかになった。食べ過ぎや飲み過ぎ、夜更かし、ストレスフルな出来事、予想外のニュース、急激な気分の変化などは、身体に予想外の負荷を与え、片頭痛を引き起こす可能性があるという。米ハーバード大学医学大学院麻酔・救急・疼痛医学分野のDana Turner氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に11月11日掲載された。

プライマリ・ケア医が「意味」を感じる仕事は何か/筑波大・慶應大

 身近で医療を受診できるクリニックや診療所などでプライマリ・ケア医(PCP)の活躍のフィールドは広い。患者さんやその家族全般を知る家庭医としての役割も大きい。では、PCPは、どのような仕事に「意味」を感じることができているのだろうか。このテーマに関して筑波大学医学医療系地域総合診療医学講座の山本 由布氏らの研究グループは、慶應義塾大学と共同でPCPにアンケートを実施した。その結果、PCPは「多様な健康問題の管理」など6つの項目について「意味」を感じていることがわかった。この内容はBMC Primary Care誌2025年10月28日オンライン版に掲載された。

高齢者の体重増減、何kg以上が死亡リスクに?

 高齢者において1年間で2kg以上の体重減少または3kg以上の体重増加は、要介護状態の発生および全死因死亡のリスク増加と有意に関連することが、静岡社会健康医学大学院大学の田原 康玄氏らによるしずおか研究(静岡多目的コホート研究事業)で明らかになった。結果は、Journal of the American Medical Directors Association誌2025年10月17日号に発表された。  本研究は、静岡県の健康保険および介護保険データを用いた観察研究で、2年連続で健康診断を受けた65~90歳の日本人高齢者11万7,927例を対象とした。研究チームは、1年間の体重変化と要介護状態の発生および全死因死亡との関連を調査した。ベースラインの臨床特性と1年間の体重変化は健康診断データから、要介護状態の発生と全死因死亡は保険データから取得した。追跡期間の平均は、要介護状態の発生について7.3年、全死因死亡について8.0年であった。