消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:62

ペムブロリズマブ+化学療法、食道がん1次治療で生存改善(KEYNOTE-590)/Merck

 Merck社は、2020年8月19日、局所進行または転移のある食道がん患者の1次治療に対する第III相KEYNOTE-590試験において、ペムブロリズマブと化学療法の併用が主要評価項目を達成したと発表。  同試験の中間解析では、ペムブロリズマブと化学療法(シスプラチン+5-FU)の併用は、化学療法(同)と比較して、OSおよびPFSを統計的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示した。また、主要副次評価項目である客観的奏効率(ORR)も有意に改善したとしている。試験の結果は、欧州腫瘍学会(ESMO)2020Virtual Congressで発表される予定。

重症の胆石性急性膵炎に対する緊急ERCPと保存的治療:多施設共同無作為化比較試験(解説:上村直実氏)-1277

オランダ発の本論文は、発熱を伴う総胆管結石、総胆管の拡張、進行性の胆汁うっ滞により定義される明確な胆管炎を認めない重症の胆石性急性膵炎(以下、本症)を有する患者を対象として、6ヵ月以内の死亡または主要な合併症(多臓器不全、胆管炎、菌血症、肺炎、膵臓壊死、膵機能不全)の発症を検討し、24時間以内の括約筋切開を伴う緊急ERCPを施行するERCP/ES群と保存療法から開始する対照群を比較した結果、本症の改善に対する有用性および安全性に統計学的な差を認めなかったことから緊急ERCP/ESを施行しない保存療法を支持する結論となっている。

二ボルマブ+化学療法、胃がん食道がん1次治療法でOS、PFSを改善(CheckMate-649)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2020年8月11日、ファーストラインの転移性胃がん、胃食道接合部(GEJ)がんまたは食道腺がんを対象に二ボルマブと化学療法の併用療法を化学療法と比較評価したピボタルな第III相CheckMate-649試験において、二ボルマブと化学療法の併用療法が、PD-L1発現combined positive score(CPS)が5以上の患者において、主要評価項目である中間解析での全生存期間(OS)および最終解析での無増悪生存期間(PFS)の両方を達成したことを発表した。二ボルマブと化学療法の併用療法の安全性プロファイルは、ファーストラインの胃がんおよび食道がんの治療において二ボルマブと化学療法の併用療法でこれまでに認められているものと一貫していた。

バレット食道検出の非内視鏡検査、がん診断に有用か/Lancet

 逆流性食道炎患者におけるバレット食道の検出手技として開発された非内視鏡検査手技「Cytosponge-TFF3」は、検出を改善し治療可能な異形成および早期がんの診断につながる可能性があることが、英国・ケンブリッジ大学のRebecca C. Fitzgerald氏らによる、多施設共同による実用的な無作為化試験の結果、示された。Cytosponge-TFF3は、スポンジを内包したひも付きカプセル(Cytosponge)を患者に飲んでもらい、胃に達してカプセルが溶解してスポンジが膨張したところで引き出し、食道全体を拭うようにしてスポンジで採取した細胞を使って、バレット食道マーカーTFF3の検出有無を調べるという検査法。採取は患者が座位のまま10分程度で済むことから、研究グループは、プライマリケアで逆流性食道炎治療を受けている患者にこの検査を行うことで、通常ケアと比較してバレット食道の検出が増加するかを調べる試験を行った。異形成を伴うバレット食道の治療は、腺がん進行を防ぐが、バレット食道の最適な診断戦略は明らかになっていない。Lancet誌2020年8月1日号掲載の報告。

二ボルマブの食道および胃食道接合部がん術後補助療法、DFS延長示す(CheckMate-577)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2020年8月11日、切除後の食道がんまたは胃食道接合部(GEJ)がん患者の術後補助療法としてニボルマブを評価した第III相CheckMate -577試験において、予め計画されていた中間解析で二ボルマブが主要評価項目である無病生存期間(DFS)を達成したことを発表した。  同試験において、二ボルマブは、プラセボと比較して、術前補助化学放射線療法(CRT)後に腫瘍切除を受けた、すべての患者集団において主要評価項目であるDFSで統計学的に有意な改善を示した。二ボルマブの安全性プロファイルは、これまでに報告された試験のものと一貫していた。

コロナ禍、がん診断の遅れで5年後がん死増加の恐れ/Lancet Oncol

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が、がん死に影響するとの報告が英国から寄せられた。同国ではCOVID-19のパンデミックにより2020年3月に全国的なロックダウンが導入されて以降、がん検診は中断、定期的な診断・診療も延期され、緊急性の高い症候性患者のみに対して診断・治療が行われているという。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のCamille Maringe氏らは、診断の遅れが主ながん患者の生存率にどのような影響を及ぼすのかモデリング研究にて検討し、回避可能ながん死が相当数増加すると予想されることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「緊急の政策介入が必要である。とくに、COVID-19パンデミックのがん患者への影響を軽減するため、定期的な診断サービスの確保を管理する必要がある」とまとめている。Lancet Oncology誌オンライン版2020年7月20日号掲載の報告。

合併症のない小児虫垂炎、抗菌薬療法vs.手術/JAMA

 合併症のない小児虫垂炎において、抗菌薬療法のみの非外科的治療戦略の初回治療成功率は67.1%であり、外科的治療戦略と比較して、1年後の障害日数は統計学的に有意に少なかったことが、米国・オハイオ州立大学医学校のPeter C. Minneci氏らによる検討の結果、示された。ただし、フォローアップの完遂率が75%と低く、許容可能な非外科的手術成功率は、事前規定の閾値との比較では統計学的に有意ではなく、仮定した障害日数の群間差には未到達であったという。現在、小児および青少年の虫垂炎の大半は外科的治療で行われているが、研究グループは、抗菌薬療法のみの非外科的治療は、患児および家族への悪影響を少なく治療できる可能性があり、患児と家族に好まれるのではないかとして本検討を行った。JAMA誌オンライン版2020年7月27日号掲載の報告。

PPI服用や便秘がフレイルに影響

 フレイルと腹部症状の関連性はこれまで評価されていなかったー。今回、順天堂東京江東高齢者医療センターの浅岡 大介氏らは病院ベースの後ろ向き横断研究を実施し、フレイルの危険因子として、プロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用、サルコペニア、低亜鉛血症、FSSG質問表(Frequency Scale for the Symptoms of GERD)でのスコアの高さ、および便秘スコア(CSS)の高さが影響していることを明らかにした。Internal Medicine誌2020年6月15日号掲載の報告。  同氏らは、2017~19年までの期間、順天堂東京江東高齢者医療センターの消化器科で、65歳以上の外来通院患者313例をフレイル群と非フレイル群に分け、フレイルの危険因子を調査した。患者情報として患者プロファイル、骨粗しょう症、サルコペニア、フレイル、栄養状態、上部消化管内視鏡検査の所見、および腹部症状の質問結果(FSSG、CSS)を診療記録から入手した。

腹壁ヘルニア修復術、ロボット手術は入院日数短縮せず/BMJ

 腹壁ヘルニアの修復術では、ロボット手術と腹腔鏡手術で術後90日までの入院日数に差はなく、ロボット手術は手術時間が2倍近く長く、医療費が有意に高額であることが、米国・McGovern Medical School at UTHealthのOscar A. Olavarria氏らの検討で示された。研究の詳細は、BMJ誌2020年7月14日号に掲載された。腹壁ヘルニア修復術におけるロボット手術と腹腔鏡手術を比較した、米国のデータベースを用いた後ろ向き研究では、術後の入院期間はロボット手術で短く、臨床アウトカムに差はないと報告されている。これらの知見を裏付けるために、無作為化対照比較試験の実施が望まれていた。

ラメルテオンの術後せん妄予防効果~胃切除後高齢者を対象とした第II相試験

 高齢患者における胃がん症例数は増加しており、術後せん妄を予防する重要性は高まっている。静岡県立静岡がんセンターの本田 晋策氏らは、胃切除後の高齢患者における術後せん妄の予防に対するラメルテオンの有効性を評価するため、単施設プロスペクティブ第II相試験を実施した。Surgery Today誌オンライン版2020年7月8日号の報告。  対象は、75歳以上の高齢患者。手術の8日前から退院までラメルテオン8mg/日を投与した。術後せん妄の評価には、集中治療室におけるせん妄評価法(CAM-ICU)を用いた。