循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:193

インフルエンザと心筋梗塞に有意な関連/NEJM

 呼吸器感染症、とくにインフルエンザと急性心筋梗塞には、有意な関連が認められることが明らかにされた。インフルエンザの感染が検査で確認された後の1週間以内に、急性心筋梗塞で入院するリスクは、B型で約10倍、A型で約5倍に増大する。また、RSウイルスについても、同リスクは約4倍に上昇することが示された。カナダ・トロント大学のJeffrey C. Kwong氏らが、自己対照ケースシリーズ試験を行い明らかにしたもので、NEJM誌2018年1月25日号で発表した。これまでにも、インフルエンザ感染と急性心筋梗塞との関連を示唆した試験結果はあったが、インフルエンザ感染の確認に非特異的な検査方法を用いる、バイアスを受けやすい試験デザインを採用するなどの欠点があったという。

大腸がんの高齢者、心血管疾患発症率が約3倍

 大腸がんの高齢者は、心血管疾患(CVD、脳卒中および心筋梗塞)およびうっ血性心不全(CHF)を発症する危険性が高いことを、米国アラバマ大学のKelly M. Kenzik氏らが報告した。また、糖尿病や高血圧が化学療法と相互に影響し、心血管疾患の罹患リスクを高めることが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2018年1月16日号に掲載。

夜間血圧の極端な低下は、緑内障の有意なリスク因子

 緑内障性視神経症には、夜間血圧が低いということよりもextreme dipping(昼間と比較して夜間血圧が>20%低下)が影響していることが、ベネズエラ・University of Zulia-MaracaiboのJesus D. Melgarejo氏らによる同国住民を対象とした横断研究で示された。結果を踏まえて著者は、「緑内障の高リスク者における夜間血圧の著明な低下を考慮した、さらなる研究が必要である」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2018年1月5日号掲載の報告。

高齢者のスタチン非順守に関連する因子~メタ分析

 高齢者のスタチン服用における非順守や中断には、非白人、喫煙、低収入、高い患者負担金、1次予防などが関連することを、オーストラリア・Monash大学のRichard Ofori-Asensoらが報告した。著者らは「金銭的・社会的バリア、疾患リスクに関する患者の認識、ポリファーマシーなど、潜在的に修正可能な因子を対象とした介入によって、高齢者のスタチン服用を改善する可能性がある」としている。The Journals of Gerontology誌Series Aオンライン版2018年1月19日号に掲載。

PAD患者の跛行症状にGM-CSF製剤を皮下注しますか?(解説:中澤達氏)-804

PROPEL試験の結果、末梢動脈疾患(PAD)患者において、トレッドミルを利用して定期的に行う運動療法は、定期的にレクチャーを行い注意喚起を促す介入と比べて、6分間歩行距離でみた歩行能を有意に改善することが示された。また、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)製剤は、単独投与または運動療法と組み合わせて投与した場合も、歩行能を有意に改善しないことが示された。

プライマリPCI実施後のプラスグレル対チカグレロル、1年後の比較

 プライマリPCIが適応の急性心筋梗塞患者において、P2Y12阻害剤であるプラスグレルとチカグレロルの有効性および安全性を比較したPRAGUE-18 trialの早期の結果では、2剤に有意差は認められなかった。チェコ共和国のZuzana Motovska氏ら研究グループによる1年フォローアップでは、さらに2剤の有効性と安全性を比較し、退院後により安価なクロピドグレルに変更することが虚血イベントの発生に影響を与えるかどうか検証した。Journal of American College of Cardiology誌11月9日号に掲載。

ORBITA試験:冷静な判断を求む(解説:野間重孝氏、下地顕一郎氏)-800

COURAGE試験において安定狭心症に対するPCIは、薬物療法に比してMIや死亡を減らすことができないことが示され、現在では症状の改善を主目的として施行されている。そこで狭心症状という主観的なアウトカムが、PCIのプラセボ効果による修飾を受けているのではないかとの設問を立て、PCIのプラセボ手術(sham operationといった方が一般的か)を用いてこれを検証したところ、PCIは症状の改善すら薬物療法に対しての優位性を示せなかったというのが本論文の結論であった。倫理的な問題は後述するとして、手法としては完全であった点では評価されなければならないと思われる。

高リスク重度ASへのTAVR、MEV vs.SEV/JAMA

 症候性の重度大動脈弁狭窄症の高リスク患者への経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)において、機械的拡張型カテーテル心臓弁(MEV)は自己拡張型経カテーテル心臓弁(SEV)に対し、安全性や有効性について非劣性であることが示された。有効性や中等度以上の弁周囲漏出率については、MEVのSEVに対する優越性も示された。米国・エバンストン病院(ノースショア大学ヘルスケアシステム)のTed E.Feldman氏らが、北米や欧州など55ヵ所の医療機関と共同で行った無作為化比較試験「REPRISEIII」で明らかにしたもので、JAMA誌2018年1月2日号で発表した。

レパーサ新剤形発売。9分で投与可能に

 アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社(本社:東京、代表取締役社長:スティーブ・スギノ)とアステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:畑中好彦)は2018年1月12日、抗PCSK9モノクローナル抗体エボロクマブ(商品名:レパーサ皮下注40mgシリンジ、レパーサ皮下注140mgペン)への追加剤形として「レパーサ皮下注420mgオートミニドーザー(AMD)」の発売を開始した。レパーサは、心血管イベントの発現リスクが高く、スタチンで効果不十分な家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症の治療に適応される。