循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:131

不眠症状と心血管疾患リスク~50万人の10年間コホート研究

 中国・北京大学健康科学センターのBang Zheng氏らは、不眠症状と心・脳血管疾患(CVD)発症リスクとの関連を調査し、リスク軽減が可能な因子を特定するため検討を行った。Neurology誌オンライン版2019年11月6日号の報告。  中国全土の10地域から参加者を募集したプロスペクティブコホート研究であるChina Kadoorie Biobankとして実施した。ベースライン時に脳卒中、冠動脈精神疾患、がんのいずれもない30~79歳の成人48万7,200人を対象にデータ分析を行った。ベースライン時の3つの不眠症状(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒)および3日/週以上の日中の機能障害を自己報告により評価した。CVD発症は、2016年までの疾病レジストリおよび健康保険データベースよりフォローした。

最大量スタチンへの上乗せ、ベンペド酸が有効か/JAMA

 最大耐用量のスタチン治療を受ける心血管疾患リスクの高い患者において、ベンペド酸の上乗せ投与はプラセボと比較して、12週間にわたりLDLコレステロール値を有意に低下したことが示された。米国・ワシントン大学セントルイス校のAnne C. Goldberg氏らによる第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「CLEAR Wisdom試験」の結果で、著者は「さらなる検討を行い、永続性、臨床的効果、長期の安全性について評価する必要がある」とまとめている。JAMA誌2019年11月12日号掲載の報告。

三尖弁逆流へのTriClipの有用性/Lancet

 三尖弁逆流を軽減する低侵襲の経カテーテル三尖弁修復システム(TriClip)は、その重症度を少なくとも1段階軽減するのに安全かつ有効であることが示唆され、その軽減の程度は、術後6ヵ月時点での有意な臨床的改善に相当する可能性があるという。ドイツ・University Hospital BonnのGeorg Nickenig氏らが、欧州および米国の21施設で実施した多施設共同前向き単群臨床試験「TRILUMINATE試験」の結果を報告した。三尖弁逆流症は、合併率および死亡率の高さと関連する広く一般的にみられる疾患だが、治療の選択肢はほとんどないとされている。Lancet誌オンライン版2019年11月7日号掲載の報告。

点滴誤投与と不適切な蘇生処置による患者死亡を公表/京大病院

 京都大学医学部附属病院は19日、腎機能障害のある入院男性(年齢非公表)に対し、造影CT検査の前処置として点滴投与を行う際、本来投与すべき薬剤の高濃度の同一成分製剤を誤って投与したうえ、男性が心停止を来した際に行った蘇生処置にもミスが重なったことにより、6日後に死亡させたと発表した。病院側は、医薬品取り違え対策としてシステム改修を実施するなどの再発防止策を講じたという。宮本 享病院長らが19日に記者会見を開き、「薬剤の誤った処方による死亡という、期待を裏切るような結果になり、誠に申し訳なく、心よりお詫び申し上げる」と謝罪した。

ポリフェノールは死亡率も下げるか~高山スタディ

 日本人はコーヒーや緑茶から多くポリフェノールを摂取している。ポリフェノール摂取による健康ベネフィットは疫学研究で示されているが、日本人における死亡率との関連は報告されていない。今回、お茶の水女子大学の田口 千恵氏らが高山コホート研究で調査したところ、食事によるポリフェノール総摂取量が全死亡率、心血管疾患および消化器疾患による死亡率と逆相関することが示された。European Journal of Nutrition誌オンライン版2019年11月15日号に掲載。

コマーシャルペーパーといわれても致し方がないのではないか(解説:野間重孝氏)-1136

チカグレロルとプラスグレルは、世界の薬剤市場でクロピドグレルの後継を巡って、いわばライバル薬品として扱われているといってよい。両剤ともに作用の発現が早く、また投与中止後、薬効の消失が速やかであることが期待できるという点で共通している。しかしプラスグレルはいわゆるチエノピリジン系に属し、そのものは活性を有しないのに対し、チカグレロルはそのものが活性を持つという点が大きく異なる。ただし、プラスグレルはクロピドグレルと異なり、複数のCYPにより代謝されるため、チカグレロルに劣らない速度で活性を発揮することが可能になっている。

全国でインフルエンザ流行期入り、昨年より1ヵ月早く

 厚生労働省は15日、全国的なインフルエンザの流行シーズンに入ったと発表した。前年比で4週間早いシーズン入りで、現在の統計法で調査を始めた1999年以降では2番目に早い。  国立感染症研究所が15日付でまとめた、2019年第45週(11月4~10日)の感染症発生動向調査において、インフルエンザの定点当たり報告数が 1.03(定点数:全国約5,000 ヵ所、報告数:5,084)となり、流行開始の目安となる 1.00を上回った。

利益相反の開示は論文査読に影響するのか/BMJ

 現行の倫理規定では、すべての科学論文について利益相反(conflicts of interest:COI)の開示が求められているが、米国・ハーバード・ビジネス・スクールのLeslie K. John氏らによる無作為化試験の結果、論文の査読にCOI開示は影響しないことが示された。著者は、「査読者が出版を評価する論文のあらゆる質の評価に、COI開示が影響していることを確認できなかった」としている。科学雑誌やアカデミックな倫理基準において、査読者、エディターおよび読者が、可能性があるバイアスを検出・補正できるように、著者に対してCOI開示が命じられている。しかし、これまでその行為が目的を達しているかを確認する検討は行われていなかったという。BMJ誌2019年11月6日号掲載の報告。

製薬企業の“ギフト”が開業医の処方を左右/BMJ

 製薬企業から“ギフト”を受け取っていないフランスの一般開業医(GP)は、受け取っているGPと比べて、薬剤処方効率指標が良好で低コストの薬剤処方を行っていることが明らかにされた。フランス・レンヌ第1大学のBruno Goupil氏らが、製薬企業からの物品・金銭類提供と薬剤処方パターンとの関連性を評価する目的で、同国2つのデータベースを用いた後ろ向き研究の結果を報告した。世界保健機関(WHO)およびオランダに拠点を置く非営利組織のHealth Action International(HAI)による先行研究で、医療用医薬品のプロモーションが非合理的で高コストの薬剤処方と関連していることが示されており、フランスのGPが製薬企業から“ギフト”(物品、食事、交通費、宿泊等の提供)を受ける可能性があることから、研究グループはその実態と処方との関連を調べた。BMJ誌2019年11月5日号掲載の報告。

低LDLや低収縮期血圧と関連するgenetic variantsは生涯にわたる冠動脈疾患の低リスクと関連(解説:石川讓治氏)-1133

高LDL血症および高血圧は冠動脈疾患の確立された危険因子である。本研究では、英国のバイオバンクに登録された43万8,952人の対象者のデータを用いて、低LDLコレステロール血症と関連するgenetic variantsが多い対象者と低収縮期血圧と関連するgenetic variantsが多い対象者を評価し、これらのgenetic variantsが、独立して、相加的に冠動脈疾患発症リスク低値と関連していたことを報告していた。これらのgenetic variantsの数が増えるにつれて連続的に冠動脈疾患発症リスクは低くなっていた。同様の関連は虚血性脳梗塞においても認められていた。