救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:34

ブレークスルー感染、死亡・入院リスクが高い因子/BMJ

 英国・オックスフォード大学のJulia Hippisley-Cox氏らは、英国政府の委託で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行の第2波のデータを基に作成した、ワクチン接種後の死亡・入院のリスクを予測するアルゴリズム(QCovid3モデル)の有用性の検証を行った。その結果、ワクチンを接種しても、COVID-19関連の重症の転帰をもたらすいくつかの臨床的なリスク因子が同定され、このアルゴリズムは、接種後の死亡や入院のリスクが最も高い集団を、高度な判別能で特定することが示された。研究の成果は、BMJ誌2021年9月17日号に掲載された。

COVID-19の積極的疫学調査の最終報告/感染研

 国立感染症研究所は、9月27日に同研究所のホームページにおいて、「新型コロナウイルス感染症における積極的疫学調査の結果について(最終報告)」を公開した。  この報告は、感染症法(第15条第1項)に基づいた積極的疫学調査で集約された、各自治体・医療機関から寄せられた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の退院患者の情報に関する最終報告である。  なお、「本情報は統一的に収集されたものではなく、各医療機関の退院サマリーの様式によるため解釈には注意が必要」と解析の読み方に注意を喚起している。調査は一定の情報が得られたことにより5月25日をもって停止している。

mRNAワクチン有効率、基礎疾患の有無で差なし/NEJM

 重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスクがある集団や、COVID-19の世界的大流行の影響を過度に受けている人種/民族集団を含む米国の医療従事者において、実臨床下でのメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン(BNT162b2[Pfizer-BioNTech製]、mRNA-1273[Moderna製])の接種は、症候性COVID-19の予防に関して高い有効性を発揮し、年齢や基礎疾患、感染者との接触の程度が異なる集団でも有効率に差はないことが、米国疾病予防管理センターのTamara Pilishvili氏らVaccine Effectiveness among Healthcare Personnel Study Teamの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年9月22日号に掲載された。

急性低酸素性呼吸不全、超低容量換気は転帰を改善せず/JAMA

 急性低酸素性呼吸不全(AHRF)患者において、従来の低容量人工換気(low-tidal-volume mechanical ventilation)と比較して、体外式二酸化炭素除去装置(ECCO2R)を用いた超低容量人工換気は、90日死亡率を改善しないことが、英国・クイーンズ大学ベルファストのJames J. McNamee氏らによる多施設共同無作為化非盲検実用的臨床試験「REST試験」で示された。機械的人工換気を必要とするAHRFにおいて、従来の低容量換気よりも1回換気量をさらに減少することで、転帰が改善する可能性が考えられていた。JAMA誌2021年9月21日号掲載の報告。

重症化リスクのある外来COVID-19に対し吸入ステロイドであるブデソニドが症状回復期間を3日短縮(解説:田中希宇人氏、山口佳寿博氏)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ではエビデンスの乏しかった2020年初頭からサイトカインストームによる影響がいわれていたことや、COVID-19の重症例のCT所見では気管支拡張を伴うびまん性すりガラス陰影、いわゆるDAD(diffuse alveolar damage)パターンを呈していたことから実臨床ではステロイドによる加療を行っていた。2020年7月に英国から報告された大規模多施設ランダム化オープンラベル試験である『RECOVERY試験』のpreliminary reportが報告されてからCOVID-19の治療として適切にステロイド治療が使用されることとなった。『RECOVERY試験』では、デキサメタゾン6mgを10日間投与した群が標準治療群と比較して試験登録後28日での死亡率を有意に減少(21.6% vs.24.6%)させた(Horby P, et al. N Engl J Med. 2021;384:693-704. )。とくに人工呼吸管理を要した症例でデキサメタゾン投与群の死亡率が29.0%と、対照群の死亡率40.7%と比較して高い効果を認めた。ただし試験登録時に酸素を必要としなかった群では予後改善効果が認められず、実際の現場では酸素投与が必要な「中等症II」以上のCOVID-19に対して、デキサメタゾン6mgあるいは同力価のステロイド加療を行っている。

脳卒中治療ガイドラインが6年ぶりに改訂、ポイントは?

 今年7月、『脳卒中治療ガイドライン2021』が発刊された。2015年の前版(2017年、2019年に追補発行)から6年ぶりの全面改訂ということで、表紙デザインから一新。追補の内容に加え、関連学会による各指針など最新の推奨が全面的に取り入れられている。そこで、脳卒中ガイドライン委員会(2021)の板橋 亮氏(岩手医科大学内科学講座脳神経内科・老年科分野 教授)に、近年目覚ましい変化を遂げる脳梗塞急性期の治療を中心として、主に内科領域の改訂ポイントについて話をうかがった。

急性期脳梗塞、頭部CT搭載救急車で転帰改善/NEJM

 t-PAの適応となる急性期脳梗塞患者において、効用値(utility)で重み付けした90日時点の障害転帰は、頭部CT搭載脳卒中救急車(MSU)で管理された患者のほうが一般的な救急車(EMS)で管理された患者よりも良好であることが、米国・メモリアル・ハーマン=テキサス・メディカル・センターのJames C. Grotta氏らが実施した多施設共同前向き臨床試験「BEST-MSU試験」で示された。MSUは脳卒中専門スタッフと頭部CTを備えた救急車で、EMSによる標準的な救急処置に比べt-PA治療を迅速に行える可能性があるが、MSUによって治療成績が変わるか、またどの程度変わるかについては研究が行われていなかった。NEJM誌2021年9月9日号掲載の報告。

院外心停止後蘇生患者、即時造影にベネフィットなし/NEJM

 ST上昇を伴わない院外心停止後の蘇生患者において、即時的に血管造影を行う戦略は遅延的または選択的に血管造影を行う戦略と比較し、30日全死因死亡リスクに関してベネフィットは認められないことが、ドイツ・University of LeipzigのSteffen Desch氏らが実施した医師主導の国際共同無作為化非盲検試験「TOMAHAWK試験」で示された。心筋梗塞は、院外心停止の主な原因であるが、心電図でST上昇が認められない心停止からの蘇生患者に対して、早期に冠動脈造影と血行再建を行うことのメリットは明らかではなかった。NEJM誌オンライン版2021年8月29日号掲載の報告。

軽~中等症コロナ治療薬「ゼビュディ」を特例承認/厚労省

 厚生労働省は9月27日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として、「ゼビュディ点滴静注液 500mg」(一般名:ソトロビマブ[遺伝子組換え])の国内における製造販売を承認した。酸素療法を必要としない軽症・中等症かつ重症化リスクが高いCOVID-19患者が投与対象となる。海外第II/III相臨床試験(COMET-ICE試験)では、ゼビュディの単回投与で、重症化リスクの高い軽症~中等症のCOVID-19成人患者において、入院または死亡のリスクが有意に低下することが示されており、グラクソ・スミスクライン(GSK)が今月6日、特例承認の適用を求め申請していた。国内におけるCOVID-19治療薬としては、レムデシビル、デキサメタゾン、バリシチニブ、ロナプリーブに続く5例目となる。

ファイザー製ワクチンの6ヵ月の有効性と安全性、第II/III相試験データ/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のBNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)について、6ヵ月間でワクチンの有効性は徐々に低下するものの安全性プロファイルは良好であり、COVID-19予防効果は高い。米国・ニューヨーク州立大学のStephen J. Thomas氏らが、現在進行中の国際共同無作為化観察者盲検プラセボ対照第II/III相試験の結果を報告した。BNT162b2ワクチンは現在、世界各国で承認、条件付き承認または緊急使用が正式に認められているが、最初の認可の時点で接種後2ヵ月を超えるデータは得られていなかった。NEJM誌オンライン版2021年9月15日号掲載の報告。