救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:102

重度骨折では術前血管造影を行うべき

Gustilo IIIC外傷については、その定義のコンセンサスが求められており、また重度開放脛骨骨折のアウトカムに関する血行障害の影響について調査されている。英国 Frenchay HospitalのChummun S氏らは、約3,300人の形成および整形外科医から患者データを集め、血行障害とアウトカムとの関連について評価を行った。その結果、血行障害は肢機能に影響を与える独立した因子であることが示される一方で、医師の半数近くが血管損傷は無関係だと考えていることなどが明らかになった。

外傷性出血患者へのトラネキサム酸投与、重症度を問わず死亡リスクを減少

 外傷性出血患者の死亡および血栓イベントに関するトラネキサム酸(商品名:トランサミンほか)投与の効果について検討した、国際多施設共同無作為化試験「CRASH-2」データ解析の結果、トラネキサム酸投与は重症度を問わず幅広い患者に、安全に投与可能であることが明らかにされた。英国・London School of Hygiene and Tropical MedicineのIan Roberts氏らによる報告で、BMJ誌2012年10月6日号(オンライン版2012年9月11日号)で発表した。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(26)〕 集中治療室(ICU)における入院患者の厳格な血糖管理はいかにあるべきか

 集中治療室に入室する重症患者においては、ストレスによる内因性のカテコラミンやコルチゾール、炎症性サイトカインの増加、さらには治療薬剤として用いられる外因性のステロイド薬やカテコラミンなどの影響により、糖尿病の有無にかかわらず、高血糖を示すことが多い。

小児救急における急性下痢症状へのプロバイオティクス乳酸菌の効果

 アメリカのNixon氏らによって、小児救急における急性感染性下痢症状の罹患期間を減らすことを目的として、プロバイオティクス乳酸菌(ラクトバチルスGG;LGG)の有用性が検討された。その結果、LGGは2日以上下痢症状を呈する患児の罹患期間を短縮する可能性が示唆された。Pediatr Emerg Care誌2012年10月号の報告。

重症患者における低血糖、死亡リスクを1.4~2.1倍に増大

 重症患者において、低血糖は死亡リスクを1.4~2.1倍増大することが明らかにされた。死亡リスクは中等症低血糖よりも重症低血糖のほうがさらに増大し、血液分布異常性ショックによる死亡との関連が最も強かった。オーストラリア・シドニー大学のSimon Finfer氏らにより行われたNormoglycemia in Intensive Care Evaluation-Survival Using Glucose Algorithm Regulation(NICE-SUGAR)試験の結果で、これまで重症患者における低血糖が死亡に結びつくのかどうかは明らかではなかった。なお、同関連の因果関係については、この試験では明らかにはならなかった。NEJM誌2012年9月20日号掲載より。

日本人薬物乱用者の自殺リスクファクターは「低年齢」「女性」

世界各国で深刻な社会問題となっている薬物乱用。日本においても例外ではなく、とくに若年層を中心に薬物乱用が浸透しているのが現状である。また、自殺者が薬物乱用の問題を抱えていることも少なくないと言われている。国立精神・神経医療研究センター 松本氏らは、日本人薬物乱用者における自殺のリスクファクターと性別による違いを明らかにするため検討を行った。Psychiatry Clin Neurosci誌2012年8月号の報告。

重症敗血症、HES 130/0.42輸液蘇生は死亡リスクが高い

重症敗血症に対するヒドロキシエチルデンプン(HES)130/0.42を用いた輸液蘇生は、酢酸リンゲル液を用いた患者と比較して90日時点の死亡リスクが高く、腎代替療法を必要とする割合が高いことが、多施設共同無作為化試験の結果、明らかにされた。HES 130/0.42は、ICUでの輸液蘇生に広く使われているが、安全性と有効性は立証されていなかった。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のAnders Perner氏らによる報告で、NEJM誌2012年7月12日号(オンライン版2012年6月27日号)で発表された。

重症敗血症、症例数の多さと良好なアウトカムは関連しない

英国の成人重症敗血症患者の一般集中治療室への入院症例数と患者アウトカムの間に関連はないことが、カナダ・McGill大学のJason Shahin氏らの検討で示された。過去30年以上にわたり、種々の外科的、内科的疾患において、治療例数と患者アウトカムの関連の評価が行われている。腹部大動脈瘤の修復や特定のがん種、小児の心疾患の手術など複雑な手技では、症例数とアウトカムの間に強い関連を認め、AIDSや心筋梗塞などの内科的疾患でも症例数の多い施設での治療はアウトカムの改善が確認されている。症例数と人工呼吸器の使用や重症敗血症との関連や、重症敗血症における症例数-アウトカム関連を示唆する研究結果もあるという。BMJ誌2012年6月16日号(オンライン版2012年5月29日号)掲載の報告。