外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

高リスク早期乳がんへのテーラードdose-dense化学療法、10年時解析で無再発生存期間を改善(PANTHER)/ESMO BREAST 2024

 高リスク早期乳がん患者において、テーラードdose-dense化学療法は標準化学療法と比較して10年間の乳がん無再発生存期間(BCRFS)を改善し、新たな安全性シグナルは確認されなかった。スウェーデン・カロリンスカ研究所のTheodoros Foukakis氏が、第III相PANTHER試験の長期追跡調査結果を欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。 ・対象:18~65歳、リンパ節転移陽性もしくは高リスクリンパ節転移陰性で、初回手術後の乳がん患者 ・試験群(tdd群):白血球最下点を基にエピルビシン+シクロホスファミドを2週ごと4サイクル、その後ドセタキセルを2週ごと4サイクル(用量は前サイクルの血液毒性に応じて調整) ・対照群(標準化学療法群):フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミドを3週ごと3サイクル、その後ドセタキセルを3週ごと3サイクル ・評価項目: [主要評価項目]BCRFS [副次評価項目]副次評価項目は5年無イベント生存期間(EFS)、遠隔無病生存期間(DDFS)、全生存期間(OS)、Grade3/4の有害事象発現率

AI耐性HR+進行乳がんへのカピバセルチブ上乗せ、長期的ベネフィット(CAPItello-291)/ESMO BREAST 2024

 第III相CAPItello-291試験において、アロマターゼ阻害薬(AI)耐性のホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がんに対するフルベストラントへのAKT阻害薬カピバセルチブの追加は、PIK3CA、AKT1、またはPTEN遺伝子変異を有する患者および全体集団において無増悪生存期間(PFS)を有意に改善したことが報告されている。米国・UCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのHope S. Rugo氏は欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で、同試験のPFS2(無作為化から2次治療開始後の増悪または死亡までの期間)およびTFSC(無作為化から最初の化学療法開始または死亡までの期間)のデータを報告した。

T-DM1既治療のHER2+進行乳がん、T-DXdの3年OS率は?(DESTINY-Breast02)/ESMO BREAST 2024

 トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)治療歴のあるHER2+の切除不能または転移を有する乳がん患者に対する、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)と治験医師選択の化学療法(TPC)を比較した第III相DESTINY-Breast02試験の全生存期間(OS)を含む最新の解析結果を、韓国・Asan Medical CenterのSung-Bae Kim氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。  DESTINY-Breast02試験の一次解析(データカットオフ:2022年6月30日)において、T-DXd群(3週間間隔で5.4mg/kg、406例)では、TPC群(トラスツズマブ+カペシタビンまたはラパチニブ+カペシタビン、202例)と比較して、無増悪生存期間(PFS)およびOSを統計学的に有意に改善した。今回の発表では、2023年9月29日をデータカットオフ日とする追跡期間中央値26.8ヵ月における最新の有効性と安全性の結果が報告された。

早期再発TN乳がんへのアテゾリズマブ上乗せ、予後を改善せず(IMpassion132)/ESMO BREAST 2024

 切除不能な局所進行または転移を有する早期再発トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者を対象に、化学療法に抗PD-L1抗体アテゾリズマブを上乗せした第III相IMpassion132試験の結果、PD-L1陽性患者においても予後が改善しなかったことを、シンガポール・国立がんセンターのRebecca A. Dent氏が欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。  IMpassion130試験において、進行TNBCへの1次治療としてのアテゾリズマブ+nab-パクリタキセル併用療法は、PD-L1陽性患者の全生存期間(OS)を改善した。しかし、早期再発TNBCにおけるデータは限られている。そこで研究グループは、治験医師選択の化学療法にアテゾリズマブまたはプラセボを上乗せして、病勢進行または許容できない毒性が認められるまで継続した場合の有効性と安全性を評価した。

乳がんサバイバー、二次がんの発症リスク増か

 乳がんサバイバーは、その後、再発ではなく新たに別のがん(二次がん)を発症するリスクが高い可能性のあることが、英ケンブリッジ大学公衆衛生学・プライマリケア学部のAntonis Antoniou氏らによる研究で示された。Antoniou氏らは、乳がんサバイバーが実際に二次がんを発症する絶対リスクは低いことを強調しつつも、乳がんの罹患歴がない人と比べた場合の相対リスクは高いことが明らかになったと述べている。詳細は、「The Lancet Regional Health - Europe」に4月24日掲載された。Antoniou氏は、「この研究は、乳がんサバイバーの二次がん発症リスクについて調べた、これまでで最大規模のものだ」と説明している。

2016年から2020年にかけてスクーターによる外傷の発生率が上昇

 スクーターによる外傷の発生率は2016年から2020年にかけて上昇し、スクーターによる外傷で小手術を受ける患者が増加したとの研究結果が、「Journal of the American College of Surgeons」に1月9日掲載された。  米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デイヴィッド・ゲフィン医科大学院のNam Yong Cho氏らは、全米入院患者サンプル(NIS)から2016~2020年のデータを用いて、スクーターまたは自転車による外傷で入院した65歳未満の患者を対象に後ろ向きコホート研究を行い、スクーターによる入院の時間的傾向および転帰を自転車と比較した。

ガイドラインで推奨される睡眠薬、日本の臨床で有用なのは?

 不眠症のガイドラインでは、いくつかの睡眠薬が推奨されているが、臨床現場において最も有用な睡眠薬は明らかとなっていない。秋田大学の竹島 正浩氏らは、不眠症に対する初回治療薬としてガイドラインで推奨される睡眠薬による単剤療法の失敗リスクが低い薬剤、単剤療法後の中止率の高い薬剤を特定するため、本研究を実施した。JAMA Network Open誌2024年4月1日号の報告。  2005年4月~2021年3月の日本医療データセンターレセプトデータベースのデータを用いて、レトロスペクティブ観察コホート研究を実施した。対象患者は、不眠症に対する初回治療薬としてガイドラインで推奨される睡眠薬(スボレキサント、ラメルテオン、エスゾピクロン、ゾルピデム、トリアゾラム)による単剤療法を行った成人患者。データ分析は、2022年12月24日~2023年9月26日に実施した。主要アウトカムは、単剤療法の失敗とし、ガイドラインで推奨される睡眠薬による単剤療法を開始してから6ヵ月以内に睡眠薬の変更または追加を行った場合と定義した。副次的アウトカムは、単剤療法の中止とし、単剤療法が失敗しなかった後、6ヵ月以内に2ヵ月連続で睡眠薬を処方しなかった場合と定義した。単剤療法の失敗および中止は、それぞれCox比例ハザードモデル、ロジスティック回帰モデルを用いて比較した。

乳がんの術後補助療法、アスピリンは予後を改善するか/JAMA

 高リスクの転移のない乳がんの術後補助療法において、アスピリンの連日投与はプラセボと比較して、乳がんの再発リスクや生存率を改善しないことが、米国・ダナファーバーがん研究所のWendy Y. Chen氏らが実施した「Alliance A011502試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2024年4月29日号で報告された。  Alliance A011502試験は、アスピリンが乳がん生存者における浸潤がんのリスクを低減するかの検証を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2017年1月~2020年12月に米国とカナダの534施設で参加者を登録した(米国国防総省乳がん研究プログラムなどの助成を受けた)。

コロナワクチンに不安のあるがん患者の相談相手は?

 外来で化学療法を受けるがん患者を対象に、新型コロナワクチンに関して不安を感じることの内容やその相談相手などが調査された。その結果、相談相手としてプライマリケア医が最も多いことが明らかとなった。研究グループは、薬剤師が介入できる可能性も示唆されたとしている。これは順天堂大学医学部附属順天堂医院薬剤部の畦地拓哉氏らによる研究であり、「Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences」に3月4日掲載された。  新型コロナワクチンは日本で2021年2月に承認され、がん患者において接種が推奨されている。しかし、がん患者のワクチン接種状況や副反応に焦点を当てた研究はほとんどない。患者はがん治療への影響も含めて多くの不安を抱えるため、医療職の関与が重要となる。

「リンパ浮腫診療ガイドライン 2024年版」発行、改訂点は?

 2018年の第3版発行から6年ぶりに、第4版となる「リンパ浮腫診療ガイドライン 2024年版」が3月に改訂された。CQが2つ新設されるなど、新たなエビデンスを踏まえてアップデートされた今版のポイントについて、日本リンパ浮腫学会ガイドライン委員会委員長の北村 薫氏(アムクリニック)に話を聞いた。  今回の改訂では、「実臨床でよくある質問」という観点から、2つのCQが新設された。1つ目はCQ4の「続発性リンパ浮腫発症リスクのある部位に行う美容的処置(レーザー、脱毛、美容目的の脂肪吸引など)は有害(あるいは禁忌)か?」で、禁忌とする科学的根拠はないとしたが、熱傷や皮膚トラブルに注意する必要があるため、皮膚に侵襲を来しうる美容目的の処置は、有害事象の発生リスクが高いとしている(Limited-suggestive;可能性あり)。