精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:7

短時間睡眠は糖尿病ハイリスク

 睡眠時間が6時間未満の人は、たとえ健康的な食習慣であったとしても、2型糖尿病の発症リスクが高いことを示すデータが報告された。ウプサラ大学(スウェーデン)のChristian Benedict氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に3月5日掲載された。論文の上席著者である同氏は、「われわれの研究は、睡眠不足による2型糖尿病発症リスクの増大を健康的な食習慣によって抑制可能かという視点で行った、初めての研究だ」としている。  この研究には、英国の一般住民対象の大規模疫学研究「UKバイオバンク」のデータが用いられた。24万7,867人(平均年齢55.9±8.1歳、女性52.3%、BMI26.6±3.7、HbA1c5.4±2.5%)の睡眠時間および食習慣と2型糖尿病発症リスクとの関連を検討した。睡眠時間については7~8時間の群(全体の75.5%)、6時間の群(19.8%)、5時間の群(3.9%)、3~4時間の群(0.8%)という4群に分類。食習慣については、赤肉、加工肉、果物、野菜、魚の摂取量に基づき、0点(最も非健康的)から5点(最も健康的)の範囲にスコア化した。

レビー小体型認知症、受診診療科により治療ニーズが異なる

 大阪大学の池田 学氏らは、レビー小体型認知症(DLB)患者とその介護者の治療ニーズおよびその治療ニーズに対する主治医の認識が、患者が受診している診療科により異なるかを調査した。Alzheimer's Research & Therapy誌2024年3月14日号の報告。  多施設共同横断的観察調査研究のサブ解析を実施した。患者が受診している診療科に応じて、精神科群、老年内科群、神経内科群に分類した。患者と介護者の治療ニーズを「最も苦痛を感じている症状」と定義し、それぞれの回答頻度をまとめた。

あなたの睡眠のタイプは?四つの睡眠パターンを特定

 平日は睡眠不足で週末に寝だめしたり、あるいは一晩中寝返りを打って過ごし、朝は頭がはっきりしないといったことがないだろうか。それとも、睡眠時間は十分に確保できているだろうか。米ペンシルベニア州立大学、睡眠・ストレス・健康(STEALTH)研究室のSoomi Lee氏らが、米国の全国調査参加者約3,700人を対象に、およそ10年の間隔を空けた二つの時点のデータを分析したところ、睡眠習慣は四つの異なるパターンに分類できることが明らかになった。この研究結果は、「Psychosomatic Medicine」に2月16日掲載された。  Lee氏は、「睡眠は、毎日繰り返し行う行動である。より良い睡眠習慣は、社会的な関係や仕事のパフォーマンスの向上から、長期的な健康行動や健康的な老化の促進まで、多くの重要な違いを生み出すことにつながる」と話す。

健康的な食事による生物学的な老化の遅れが認知症予防に

 科学者たちはこれまで、健康的な食生活を送っている人には年を取っても脳の健康を維持している人が多いことは知っていたが、その理由は不明だった。このほど、その答えとなり得る研究結果が発表された。この研究によると、健康的な食事は生物学的な老化を遅らせ、それが脳機能の保護に役立っている可能性があるという。論文の筆頭著者である、米コロンビア大学アルツハイマー病・加齢脳タウブ研究所のAline Thomas氏は、「われわれの研究では、より緩徐な老化速度が、健康的な食事と認知症リスク低下との関係の一部を媒介していることが示唆された」と述べている。この研究の詳細は、「Annals of Neurology」に2月26日掲載された。  Thomas氏らは今回、健康的な食事は生物学的な老化を遅らせ、それにより認知症の発症リスクが低下するという仮説を立て、フラミンガム心臓研究のデータを用いてこの仮説を検討した。フラミンガム心臓研究は、3世代のコホートを対象に1948年に開始された継続中の研究である。今回の研究では、1971年に開始された第二世代コホートから、60歳以上で認知症がなく、食事、エピジェネティクス、および追跡データのそろう1,644人(平均年齢69.6歳、女性54%)が対象とされた。これらの対象者は、4〜7年おきに9回の追跡調査を受けており、調査ごとに身体診察を受け、ライフスタイルに関連した質問票へ回答するとともに、血液採取と、1991年以降は神経認知テストも受けていた。5回目(1991〜1995年)から8回目(2005〜2008年)の調査時の食事内容から、MIND(マインド)食の遵守状況の指標となるMIND食スコアが算出された。

統合失調症における安静状態と作業状態の機能的接続異常

 統合失調症の主な病理学的仮説として、聴覚処理障害と大脳ネットワーク内の接続不全が挙げられる。しかし、多くの神経画像研究では、統合失調症患者の安静状態またはタスクに関連した機能接続障害に焦点が当てられている。九州大学の高井 善文氏らは、統合失調症患者の聴覚定常状態応答(ASSR)タスク中の血中酸素濃度依存性(BOLD)シグナル、安静状態およびASSRタスク中の機能的接続性、安静状態とASSRタスクの状態変化について、検討を行った。The European Journal of Neuroscience誌オンライン版2024年3月5日号の報告。

特殊なMRIが治療抵抗性統合失調症の予測に有用か

 特殊な脳スキャンによって、精神病患者が治療に反応しない(治療抵抗性)統合失調症に移行するかどうかを正確に予測できる可能性があるとする研究結果を、アムステルダム大学(オランダ)のMarieke van der Pluijm氏らが、「The American Journal of Psychiatry」に3月13日報告した。  この脳スキャンは、中枢神経系のニューロメラニンと呼ばれる色素を測定するもので、ニューロメラニン感受性(neuromelanin-sensitive)MRI(NM-MRI)と呼ばれる。この色素を視覚的に示すことで、ドーパミンの機能レベルを知ることができる。ドーパミンは脳の報酬系から分泌される神経伝達物質の一つで、やる気や幸福感、運動調節に関わっている。そのため、ドーパミンの分泌過多は精神病に付随する攻撃性や衝動制御の低下をもたらす可能性がある。

日本における抗CGRP抗体の使用状況~日本頭痛学会会員オンライン調査

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)モノクローナル抗体は、片頭痛治療の選択肢を大きく変えた。しかし、日本ではCGRP関連新規片頭痛治療薬ガイドライン(1ヵ月当たりの片頭痛日数[MMD]が4日以上および予防的治療の失敗が1回以上)はよく知られているものの、抗CGRP抗体のリアルワールドでの使用および関連する頭痛ケアの状況については、よくわかっていない。慶應義塾大学の滝沢 翼氏らは、日本における抗CGRP抗体の使用経験および使用の意思決定について、調査を行った。The Journal of Headache and Pain誌2024年3月15日号の報告。

うつ病に対するブレクスピプラゾール補助療法の有用性

 うつ病患者は不安症状が高頻度でみられ、そのような患者では抗うつ薬に対する治療反応が低下し、機能的な悪影響につながる恐れがある。カナダ・トロント大学のRoger S. McIntyre氏らは、不安症状を伴ううつ病患者における補助的ブレクスピプラゾール治療の抑うつ症状および機能に対する有効性を評価するため、ランダム化二重盲検プラセボ対照試験(RCT)の事後分析を実施した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2024年3・4月号の報告。  うつ病患者および抗うつ薬治療で効果不十分な患者を対象に、補助的ブレクスピプラゾール治療6週間RCT3件よりデータを抽出した。患者は、DSM-Vの不安による苦痛(anxious distress)に準じて層別化した。ベースライン時から6週目までのMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)の項目スコアおよびシーハン障害尺度(SDS)の平均スコアの変化について、補助的ブレクスピプラゾール治療群(2mg、2~3mg)とプラセボ群で比較を行った。

認知機能低下の高齢者における活動時の疼痛の特徴

 神戸学院大学の中田 健太氏らは、アビー痛みスケール(APS)を用いて、認知機能が低下している高齢者の運動および活動に伴う疼痛を評価し、活動時の疼痛を効果的に反映するサブ項目を特定しようと試みた。Journal of Pain Research誌2024年3月5日号の報告。  富山県・池田リハビリテーション病院の筋骨格系疾患および認知機能低下を有する高齢患者225例を対象に横断的研究を実施した。歩行中または移動中の疼痛の評価には、言語式評価スケール(VRS)およびAPSを用いた。疼痛の有無や程度を最も正確に反映するAPSサブ項目を特定するため項目反応理論(IRT)を用いた。

統合失調症治療における抗精神病薬単剤療法と多剤併用療法の有効性

 統合失調症スペクトラム障害患者の抗精神病薬単剤療法と多剤併用療法について、救急での使用状況、興奮や攻撃性を伴う症状、再入院に対する有効性の違いは、いまだ明らかになっていない。トルコ・チャナッカレ・オンセキズ・マルト大学のSukru Alperen Korkmaz氏らは、同患者における抗精神病薬の単剤療法と多剤併用療法のリアルワールドでの有効性を評価するため本研究を実施した。Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2024年3月5日号の報告。  本研究は、救急受診で入院した統合失調症スペクトラム障害患者669例を対象に、電子健康記録のデータを用いて実施された。対象患者を初回入院時の抗精神病薬使用状況に応じて、(1)抗精神病薬の服薬アドヒアランス不良期間が90日超、(2)同期間が15~90日、(3)抗精神病薬単剤療法、(4)同多剤併用療法の4群に分類した。すべての患者を初回入院後1年以上フォローアップした。主要アウトカムは、初回入院後の抗精神病薬単剤療法群と多剤併用療法群における、すべての原因による精神科入院との関連性とした。