SSRI使用と男性不妊症との関連

提供元:ケアネット

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公開日:2024/05/17

 

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の使用は、男性の生殖能力に潜在的な影響を及ぼすといわれているが、その正確なメカニズムは十分にわかっているとはいえない。サウジアラビア・King Saud UniversityのJawza F. Alsabhan氏らは、SSRIと男性不妊症との関連を調査した。Journal of Clinical Medicine誌2024年4月7日号の報告。

 SSRIによる治療を受け、King Saud Medical Cityの不妊クリニックに通院したサウジアラビア人男性を対象に、カルテレビューをレトロスペクティブに実施した。SSRIを服用している患者の精子パラメータの質をスクリーニングするため、不妊クリニックに通院している男性患者の医療記録を参照した。

 主な結果は以下のとおり。

・不妊クリニックに通院している男性患者299例を特定した。そのうち、SSRIを使用していた患者は29例(9.6%)であり、SSRIを使用していなかった患者270例(90.4%)を対照群と定義した。
・平均年齢を比較すると、対照群(34.2±6.9歳)とSSRI使用患者(41.5±3.2歳)との間に有意な差が確認された(p<0.001)。
・精子分析とSSRI使用との関連については、SSRI(エスシタロプラム、fluoxetine、パロキセチン)使用は、精子の液状化(p=0.1)、運動性(p=0.17)、粘度(p=0.16)、精子数(p=0.069)に有意な影響を及ぼしていなかった。

 著者らは、「SSRI使用患者と非使用患者の間で、精子分析結果に有意な差は認められなかったが、SSRI使用と精子数との関連については、臨床現場においてさらなる調査および考慮が求められるかもしれない」としている。

(鷹野 敦夫)