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2024-06-10 ~ 2024-06-15

2024/06/12

大腸がん検診、検査方法の選択肢提示で受診率が向上

医療一般

 患者に大腸がんの検査方法の選択肢を与えることで、検診を受ける患者数が2倍以上に増えたとする研究結果が報告された。米ペンシルベニア大学医学部のShivan Mehta氏らによるこの研究結果は、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に4月30日掲載された。  研究グループの説明によると、大腸がん検診は現在、リスクレベルが平均的な人には45歳からの受診が推奨されているが、大腸がんの既往歴や家族歴がある人は、より早い時期から検診を受けなければならない可能性もあるという。

SMART療法を処方される喘息患者は少ない

医療一般

 吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用型β2刺激薬(LABA)の合剤を、喘息の長期管理薬としても発作発現時の治療薬としても用いる治療法をSMART(スマート)療法という。この治療法は、全米喘息教育予防プログラムと喘息グローバルイニシアチブのそれぞれのガイドラインで使用が推奨されている。しかし、新たな研究で、中等度から重度の成人喘息患者のうち、SMART療法が処方されているのはわずか15%程度に過ぎず、呼吸器およびアレルギー専門医の40%以上がこの治療法を採用していないことが明らかになった。米イエール大学医学部の呼吸器・集中治療医であるSandra Zaeh氏らによるこの研究結果は、米国胸部学会(ATS 2024、5月17〜22日、米サンディエゴ)で発表された。

世界の平均寿命、2050年までに4年以上の延長を予測/Lancet

医療一般

 今後30年間に世界の平均寿命(出生時平均余命)は男性では5年近く、女性で4年以上延長することが予測されるとの最新の分析結果を、世界疾病負担研究(GBD)の研究者らが、「The Lancet」5月18日号に発表した。こうした平均寿命の延長は、一般的に平均寿命が短い国々で顕著だという。研究グループは、「このような変化は、心臓病や新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に加え、感染症や出産、栄養に関連するさまざまな健康問題の予防と発見、治療の改善をもたらした公衆衛生対策によるところが大きい」と説明している。

賞金がかかると減量達成率が向上する

医療一般

 男性を対象とした研究から、金銭的なインセンティブがあると減量目標の達成率が有意に向上するという結果が報告された。第31回欧州肥満学会(ECO2024、5月12~15日、イタリア・ベニス)で英スターリング大学のPat Hoddinott氏らが発表し、同14日に「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に論文が掲載された。  この研究におけるインセンティブは、設定された減量目標を達成した場合に、最大400ポンド(約8万円)を受け取れるというもの。研究に参加して減量に成功したNevil Chesterfieldさん(68歳)は、「私にとって研究参加は大変有意義だった。もちろん金銭的インセンティブは重要だったが、大学の研究に参加するということに価値があると思えたし、将来の医療政策に役立てるために行うという研究趣旨の説明にも真剣さを感じた」と語っている。

2024/06/11

セマグルチド、CKDを伴う2型DMの腎機能低下や心血管死亡を抑制/NEJM

ジャーナル四天王

 慢性腎臓病(CKD)を伴う2型糖尿病患者は、腎不全、心血管イベント、死亡のリスクが高いが、GLP-1受容体作動薬セマグルチドによる治療がこれらのリスクを軽減するかは知られていない。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のVlado Perkovic氏らFLOW Trial Committees and Investigatorsは「FLOW試験」において、プラセボと比較してセマグルチドは、主要腎疾患イベントの発生が少なく、腎特異的イベントや心血管死、全死因死亡のリスクを低減することを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年5月24日号に掲載された。

プラチナ+ICI既治療NSCLCへのSG、第III相試験結果(EVOKE-01)/ASCO2024

医療一般

 プラチナ製剤を含む化学療法および免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療で病勢進行に至った非小細胞肺がん(NSCLC)の標準治療は、いまだにドセタキセルとなっており、治療成績は十分ではない。そのため、新たな治療法の開発が望まれている。そこで、既治療のNSCLC患者を対象として、Trop-2を標的とする抗体薬物複合体sacituzumab govitecan-hziy(SG)の有用性を検討する国際共同第III相比較試験「EVOKE-01試験」が実施された。

モデルナ・ジャパン、RSウイルスワクチンを承認申請

医療一般

 2024年5月30日、モデルナ・ジャパン株式会社は、60歳以上の成人を対象としたRSウイルス(RSV)感染症予防のためのmRNAワクチン「mRNA-1345」の製造販売承認を厚生労働省に申請したと発表した。  RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus、RSV)は、高い感染力を持つ呼吸器ウイルスで、感染者の咳やくしゃみ、またはウイルスが付着した手や物体に触れることで伝播する。感染症状は、一般的な風邪の症状から始まり、進行すると、とくに脆弱な乳児や高齢者においては、呼吸困難や入院、最悪の場合は死亡に至ることもある。

せん妄に対するアリピプラゾール治療〜システマティックレビュー

医療一般

 せん妄は、医療現場、とくに高齢者において一般的に見られる神経精神疾患である。せん妄の第1選択の薬理学的介入としてハロペリドールが挙げられるが、強力なエビデンスが存在しているわけではなく、その副作用は重篤となる可能性があり、ドパミンおよびセロトニンを標的とした代替治療薬(非定型抗精神病薬)の使用が検討される。非定型抗精神病薬の中でも、アリピプラゾールは、最も良好な安全性プロファイルを有する薬剤であると考えられる。イタリア・Mental Health Center of FrosinoneのStefano Maddalena氏らは、せん妄に対する薬理学的介入としてのアリピプラゾールに関する研究について、最新の研究を含めたシステマティックレビューを実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2024年4月30日号の報告。

能登半島地震でのJMAT活動を終了、累計1万2,374人を派遣/日医

医療一般

 日本医師会会長の松本 吉郎氏が、2024年6月5日の定例記者会見で、能登半島地震における日本医師会災害医療チーム(JMAT)の活動を5月31日をもって終了したことを報告した。最終的には、累計3,849チーム、1万2,374人が派遣された。松本氏は、47都道府県すべての医師会からチームが派遣されたことに謝意を示した。  石川県庁の災害対策本部によれば、5月下旬時点で能登地方の避難所に約1,800人、1.5次や2次避難所に約1,600人が避難しているという。松本氏は、「一刻も早く地域社会を再建し、日常生活を取り戻してもらうことが必要であり、そのためには地域に根差して医療や介護を担うかかりつけ医機能の復旧が不可欠」としたうえで、「地域社会の再建と地域医療の復旧のため、石川県の行政と医師会が車の両輪となって復旧・復興につとめてもらいたい。日本医師会としても今後も被災地を支えていく」と述べた。

未治療HER2+進行乳がん、T-DXd±ペルツズマブの12ヵ月PFS率(DESTINY-Breast07)/ASCO2024

医療一般

 HER2+(IHC 3+またはIHC 2+/ISH+)の進行・転移乳がんの1次療法として、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)単独療法とT-DXd+ペルツズマブ併用療法の有用性を検討した第Ib/II相DESTINY-Breast07試験の中間解析の結果、両群ともに12ヵ月無増悪生存(PFS)率は80%以上であり、薬剤性間質性肺疾患(ILD)による死亡は認められなかったことを、フランス・Gustave RoussyのFabrice Andre氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。  DESTINY-Breast07試験は、HER2+の進行・転移乳がん患者を対象に、T-DXd単独または他の抗がん剤との併用による安全性、忍容性および抗腫瘍活性を検討する国際共同無作為化非盲検第Ib/II相試験。用量漸増パートと用量拡大パートで構成され、今回は1次療法としてのT-DXd±ペルツズマブを評価した用量拡大パートの中間解析の結果が報告された。

極端な運動でも寿命が縮まることはない

医療一般

 何世紀にもわたり、運動と健康の間にはU字型の関係があると考えられてきた。つまり、運動量は少な過ぎても多過ぎても健康を損なうという考え方だ。しかし、最大限のパフォーマンスに自分を追い込むアスリートは、長寿に関しては代償を払う必要はないようだ。1マイル(約1.6km)を4分以内で走り切った最初の200人のアスリートは、一般的な人よりも平均5年近く長生きする可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。アルバータ大学(カナダ)のMark Haykowsky氏らによるこの研究結果は、「British Journal of Sports Medicine」に5月10日掲載された。

口腔内細菌の検査で胃がんが検出可能に?

医療一般

 がんによる死亡者数としては世界で4番目に多い胃がんが、いつの日か、診察室での口腔洗浄液を用いた簡単な検査で発見されるようになるかもしれない。米ラトガーズ・ロバート・ウッド・ジョンソン医科大学のShruthi Reddy Perati氏らによる研究で、胃がん患者やその予備軍の口腔から採取した細菌サンプルは、健康な患者から採取した細菌サンプルとは明らかに異なることが明らかになった。この研究結果は、米国消化器病週間(DDW 2024、5月18〜21日、米ワシントン)で発表された。  Perati氏は、「口腔マイクロバイオームと胃のマイクロバイオームはつながっており、口腔内にどのような細菌がいるかを知ることで、胃の環境についても知ることができる。このことは、診療で用いられている検査や診療ガイドラインの変更につながるほど大きな意味を持つ」と述べている。

2024/06/10

抗ネフリン抗体、ネフローゼ症候群の活動性マーカーの可能性/NEJM

ジャーナル四天王

 成人の微小変化型と原発性巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)、および小児の特発性ネフローゼ症候群は、ネフローゼ症候群を引き起こす免疫介在性のポドサイト障害(podocytopathy)とされる。ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのFelicitas E. Hengel氏らは、循環血中の抗ネフリン抗体(自己抗体)は、微小変化型または特発性のネフローゼ症候群の患者に多くみられ、これらの疾患の活動性のマーカーと考えられるとともに、スリット膜でのこの抗体の結合がポドサイト(糸球体上皮細胞[足細胞])の機能障害とネフローゼ症候群を誘発し、これは病態生理学的な意義を示すものであることを明らかにした。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年5月25日号で報告された。

閉塞性CADのない患者の予後予測、冠動脈周囲脂肪減衰指数が有用/Lancet

ジャーナル四天王

 冠動脈周囲脂肪減衰指数(FAI)は、とくに閉塞性冠動脈疾患(CAD)を持たない患者において、現在の臨床的リスク層別化や冠動脈コンピューター断層血管造影(CCTA)の解釈を超えた炎症リスクを捉えており、この情報を予後アルゴリズムに統合した人工知能(AI)支援リスク予測アルゴリズム(AI-Risk)とAI-Risk分類システムは、従来のリスク因子に基づくリスク評価の代替法となる可能性があることが、英国・オックスフォード大学のKenneth Chan氏らORFAN Consortiumが実施した「ORFAN試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年5月29日号に掲載された。

心房細動アブレーション手技における左心耳隔離の位置付けについて(aMAZE試験)(解説:香坂俊氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

心房細動に対するアブレーション治療(肺動脈起始部のカテーテル焼灼術)のプレゼンスが年々高まっている。が、課題も多く残されている。たとえば、アブレーション治療は発作性の心房細動に関しては十分な医療を発揮し、1年後の洞調律維持率80~90%に達すると報告されているが、永続性の心房細動に関しては、その洞調律維持率は60~70%に留まっている。こうした課題を克服するために、肺動脈起始部以外の場所も「焼く」必要があるのではないかと考えられており、その有力なターゲットの1つが左心耳であった。電気生理学的な臨床研究からは、心房細動患者のうち約30%の方が、肺動脈起始部だけでなく、左心耳(LAA:Left Atrial Appendage)も起源となっていることがわかっている。

日本人における頭痛で受診する患者としない患者の特徴

医療一般

 富士通クリニックの五十嵐 久佳氏らは、頭痛で医療機関を受診した患者と受診しなかった患者の特徴を明らかにするため、観察研究を実施した。BMJ Open誌2024年4月29日号の報告。  横断的なオンライン調査および医療請求データを用いて、観察研究を実施した。オンライン調査は、2020年11月に自己記入式アンケートで実施し、2017年12月〜2020年11月の医療請求データは、DeSCヘルスケアより提供された。性別と年齢が請求データと一致した19〜74歳の回答者2万1,480人のうち、頭痛を経験した人は7,311人であった。アウトカムは、参加者の特徴、医療機関の受診状況、薬物療法、片頭痛のQOLアンケート(MSQ)Ver.2.1より測定したQOL、頭痛重症度とした。

KRAS G12C変異大腸がんへのソトラシブ+パニツムマブ、OS最終解析(CodeBreaK 300)/ASCO2024

医療一般

 前治療歴のあるKRAS G12C変異を有する転移大腸がん患者に対するソトラシブ+パニツムマブの有用性を検証するCodeBreaK 300試験。昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)では、本レジメンが医師選択化学療法群と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長したことが報告されている。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)では、米国・City of Hope Comprehensive Cancer CenterのMarwan Fakih氏が、全生存期間(OS)データを含む本試験の最終解析結果を発表した。

sacituzumab tirumotecan、複数の治療歴のあるTN乳がんのPFSとOSを改善(OptiTROP-Breast01)/ASCO2024

医療一般

 複数の治療歴がある進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)において、抗TROP2抗体薬物複合体sacituzumab tirumotecan(sac-TMT)が、医師選択による化学療法に比べて無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善した。無作為化第III相OptiTROP-Breast01試験の中間解析結果について、中国・Cancer Hospital Chinese Academy of Medical SciencesのBinghe Xu氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。

NSCLCにおけるamivantamabの皮下投与、静脈内投与との違いは?(PALOMA-3)/ASCO2024

医療一般

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するamivantamabの皮下投与と静脈内投与を比較するPALOMA-3試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で、カナダ・Princess Margaret Cancer CentreのNatasha B. Leighl氏より発表された。  amivantamabは静脈内投与製剤として米国で開発されているが、投与時間の短縮などを目的として皮下投与における有用性が検討されている。本試験では、lazertinib併用下で、amivantamabの静脈内投与に対する皮下投与の薬物動態の非劣性などが確認された。

日本における市中感染と院内感染の罹患率と死亡率~全国7千万例超のデータ

医療一般

 細菌および真菌感染症の罹患率や死亡率の現状と年次傾向について、市中感染と院内感染の観点から報告した研究はほとんどない。今回、千葉大学の高橋 希氏らが日本の全国保険請求データベースに登録された7千万例超の入院患者のデータを調べたところ、院内死亡率は院内感染のほうが市中感染よりも有意に高かったが、両群とも死亡率は低下傾向であることが示された。BMC Infectious Diseases誌2024年5月23日号に掲載。

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