神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

慢性疾患治療薬のサロゲートマーカーでの効果判定、エビデンスの強さは?/JAMA

 非腫瘍性慢性疾患の治療薬に関して、米国食品医薬品局(FDA)の承認を裏付ける臨床試験の主要エンドポイントとして使用された代替マーカー(サロゲートマーカー)の半数以上が、この代替マーカーを用いて評価した治療効果と臨床アウトカムとの関連を検討したメタ解析が公表されておらず、少なくとも1つのメタ解析を確認したサロゲートマーカーも、その多くが臨床アウトカムとの関連について高い強度のエビデンスを欠いていることが、米国・エモリー大学のJoshua D. Wallach氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年4月22日号で報告された。

アルツハイマー病に対するレカネマブ10mg/kg隔週投与の有効性と安全性~メタ解析

 アルツハイマー病は、60歳以上で多くみられ、認知症の中で最も多く、記憶力や認知機能を著しく損なう疾患である。世界におけるアルツハイマー病の患者数は2050年までに3倍になると予想されており、効果的な介入を開発することは急務とされる。アミロイドβを標的としたモノクローナル抗体であるレカネマブは、アルツハイマー病の進行抑制に期待される薬剤の1つである。ポジティブな臨床試験での結果は、患者に希望を与えており、疾患の理解と介入の可能性を拡大させるために進行中の研究を加速させる。エジプト・アレクサンドリア大学のKarim Abdelazim氏らは、知見のアップデートのために、レカネマブ10mg/kgにおける有効性および安全性に焦点を当て、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Neurological Sciences誌オンライン版2024年4月3日号の報告。

認知症患者の抗精神病薬使用、複数の有害アウトカムと関連/BMJ

 50歳以上の認知症患者において、抗精神病薬の使用は非使用と比較し脳卒中、静脈血栓塞栓症、心筋梗塞、心不全、骨折、肺炎および急性腎障害のリスク増加と関連していることが、英国・マンチェスター大学のPearl L. H. Mok氏らによるマッチドコホート研究で示された。有害アウトカムの範囲は、これまで規制当局が注意喚起を行っていたものより広く、リスクが最も高かったのは治療開始直後であったという。BMJ誌2024年4月17日号掲載の報告。  検討には、英国のプライマリケア研究データベースのClinical Practice Research Datalink(CPRD)AurumおよびGOLDのデータが用いられた。これらのデータベースは、入院、死亡、社会的格差など他のデータと連携している。

新年度、あなたの医局は増えたor減った?/医師1,000人アンケート

 新年度がはじまり、新人を迎えた職場も多い。医師の就職を語るうえで欠かせないものに「医局」の存在がある。ケアネット会員医師を対象に、医局への所属状況や選択理由、最近の医局員数の増減などについて、30~50代・200床以上の医療機関の勤務者を対象とし、オンラインのアンケート形式で聞いた。  「Q1. 現在、医局に所属していますか?」の問いに、「はい」と答えたのは73%。200床以上という中規模以上の病院に勤務している医師であっても、3割近くが医局に所属していない現状が明らかになった。年代別にみると30代は8割近くが医局に所属しているが、年代が高くなるにつれ所属者の割合が減り、50代は7割だった。

使用済みの油を使った揚げ物は脳に悪影響を及ぼす

 揚げ物はウエストを太くするだけでなく、脳にも悪影響を及ぼす可能性のあることが、ラットを用いた実験で示唆された。使用済みのゴマ油やヒマワリ油とともに餌を与え続けたラットでは肝臓や大腸に問題が生じ、その結果、脳の健康にも影響が及ぶことが明らかになった。タミル・ナードゥ中央大学(インド)のKathiresan Shanmugam氏は、「使用済みの油が脳の健康に及ぼす影響は、油を摂取したラットだけでなく、その子どもにも認められた」と述べている。この研究結果は、米国生化学・分子生物学会議(ASBMB 2024、3月23〜26日、米サンアントニオ)で発表された。

コロナ禍以降、自宅での脳卒中・心血管死が急増/日本内科学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行期において、自宅や介護施設での脳卒中や心筋梗塞などの循環器疾患による死亡が増加し、2023年末時点でも循環器疾患による死亡のトレンドが減少していないことが、白十字会白十字病院 脳血管内科の入江 克実氏らの研究グループによる解析で明らかになった。本研究は、4月12~14日に開催された第121回日本内科学会総会・講演会の一般演題プレナリーセッションにて、入江氏が発表した。  入江氏によると、国内での総死亡数の推移データにおいて、2023年末時点でもCOVID-19流行前と比べて超過死亡は増加しているという。

BPSDが死亡リスクに及ぼす影響~日本人コホート研究

 認知症の行動・心理症状(BPSD)は、認知症の初期段階から頻繁にみられる症状であり、軽度認知障害(MCI)でも出現することが少なくない。しかし、BPSDが予後にどのような影響を及ぼすかは不明である。国立長寿医療研究センターの野口 泰司氏らは、認知障害を有する人におけるBPSDと死亡率との関連を踏査した。Journal of epidemiology誌オンライン版2024年3月23日号の報告。  2010~18年に国立長寿医療研究センターを受診した、初回外来患者を登録したメモリークリニックベースのコホート研究であるNCGG-STTORIES試験に参加した、MCIまたは認知症と診断された男性1,065例(平均年齢:77.1歳)および女性1,681例(同:78.6歳)を対象に、縦断的研究を実施した。死亡関連の情報は、参加者または近親者から返送された郵送調査より収集し、最長8年間フォローアップ調査を行った。BPSDは、ベースライン時にDementia Behavior Disturbance Scale(DBD)を用いて評価した。

認知症の修正可能な3大リスク因子

 認知症のリスク因子の中で修正可能なものとしては、糖尿病、大気汚染、飲酒という三つの因子の影響が特に大きいとする研究結果が報告された。英オックスフォード大学のGwenaelle Douaud氏らの研究によるもので、詳細は「Nature Communications」に3月27日掲載された。  Douaud氏らは脳画像データを用いて行った以前の研究で、アルツハイマー病やパーキンソン病、および加齢変化などに対して特に脆弱な神経ネットワークを特定している。このネットワークは、脳のほかの部分よりも遅れて思春期に発達し始め、高齢期になると変性が加速するという。今回の研究では、この脆弱な神経ネットワークの変性に関与している因子の特定を試みた。

人間の脳は世代を追うごとに大きくなっている

 人間の脳は、世代を重ねるごとに大きくなっていることが、新たな研究で明らかになった。研究グループは、脳のサイズが大きくなることで脳の予備能が高まり、それが認知症の発症リスクの低下に寄与している可能性があると考察している。米カリフォルニア大学デービス校アルツハイマー病研究センター所長のCharles DeCarli氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Neurology」に3月25日掲載された。  この研究では、1925年から1968年の間に出生したフラミンガム心臓研究参加者3,226人(女性53%)の脳MRIのデータを用いて、出生年代により頭蓋骨および脳の容積に差が認められるのか否かを検討した。これらの参加者の中に認知症患者や脳卒中の既往歴のある人は含まれていなかった。参加者の脳MRIは、1999年3月18日から2019年11月15日の間に実施され、実施時の対象者の平均年齢は57.4歳(範囲45〜74歳)だった。

1型糖尿病患者の血糖変動の認知機能への影響

 血糖値の変動が1型糖尿病患者の認知機能に影響を与える可能性のあることは古くから知られていたが、新たな研究によって、血糖値の変動パターンや患者の状態によって、認知機能への影響が異なることが明らかになった。血糖値が正常よりもわずかに高い時には、認知機能が高くなる傾向も見つかった。米マクリーン病院のLaura Germine氏らの研究によるもので、詳細は「npj Digital Medicine」に3月18日掲載された。  論文の上席著者であるGermine氏は、「われわれの研究結果は、血糖値が脳に与える影響が人によって大きく異なる可能性があることを示している。また脳の情報処理速度を最適化するには、日常生活において血糖値の変動を最小限に抑えることが重要であることが分かった。これは特に、高齢者、または糖尿病関連の何らかの問題がある人により強く当てはまる」と話している。