CLEAR!ジャーナル四天王|page:13

無症状、小さな腎結石でも砕石する意義はある(解説:宮嶋哲氏)

小さな腎結石の治療方針は、自然排石を期待して経過観察が推奨されている。しかしながら、これまでの報告からすると、大きな結石が除去された時点で残存する小腎結石の約半数が、術後5年以内に他の症候性イベントを引き起こしたと報告されている。尿管または対側腎の結石を内視鏡的に砕石中に無症状の小腎結石を、38例で砕石施行し(治療群、平均結石長3mm)、35例では砕石施行しなかった(対照群、平均結石長4mm)。主要評価項目は、救急外来の受診、手術、2次結石の増大のいずれかにより評価しうる再発の有無とした。なお本研究は多施設共同無作為化比較試験である。

インフルエンザと新型コロナ:動脈血栓の視点ではどっちが怖い?(解説:後藤信哉氏)

新型コロナウイルス感染症の特徴として、深部静脈血栓症・肺塞栓症などの静脈血栓症リスクの増加が注目された。静脈血栓症リスクは、新型コロナウイルス以外の感染症でもICU入院例では高かった。インフルエンザなど他のウイルス感染と比較して、新型コロナウイルスにはACE-2受容体を介して血管内皮細胞に感染するとの特徴があった。血管内皮細胞は血管内の血栓予防にて死活的に重要な役割を演じている。新型コロナウイルス感染により血管内皮細胞の機能が障害されれば、微小循環の過程にて血小板、白血球が活性化し全身循環する血液の血栓性は亢進する。静脈血栓症以外に、心筋梗塞・脳梗塞などの動脈血栓リスクも新型コロナウイルス感染後に増加すると想定された。また、新型コロナウイルス感染症例の心筋梗塞、脳梗塞リスクの増加を示唆する論文も多数出版されている。

スペインにおけるサル痘の臨床症状とウイルス学的評価:前向き観察コホート研究(解説:寺田教彦氏)

サル痘は1970年にヒトの感染が報告され、近年はナイジェリアやコンゴ共和国などの地域で増加傾向となり、主に中央アフリカから西アフリカで流行する感染症と考えられていた。しかし、2022年5月以降に欧米などのこれまでサル痘の流行が認められていなかった複数の国で、渡航歴がなく疫学的リンクの確認できない患者が確認された。流行は拡大し、7月23日にはWHO事務局長から、緊急委員会の見解等を踏まえ、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」が宣言されている(厚生労働省検疫所 FORTH.「複数国におけるサル痘の発生に関しての国際保健規則[IHR2005]第2回緊急委員会会合の報告」)。

古いほど良い:友と酒とCABG?(解説:今中和人氏)

血行再建後の抗血小板療法に関して熱く議論されてきたPCIに引き換え、CABGだって術後は何かしら抗血小板薬を投与はするものの、PCIと違って新製品なんて出てこないし、それ以上に外科医の“さが”というか、どうしても手技そのものにばかり関心が向いてしまって、グラフト素材やオフポンプ手術に比べて、投薬については議論が盛り上がっていない印象は否めない。本論文の中心テーマは、大伏在静脈を用いたCABG術後のチカグレロル追加の便益で、アスピリン単剤かチカグレロル併用DAPT、またはチカグレロル単剤を投与した患者で、中期遠隔期のグラフト開存性を確認した前向き無作為化試験4本のメタ解析である。用量はアスピリン81~100mg、チカグレロルは90mgで、1次エンドポイントは12ヵ月以内の静脈グラフト不全と出血イベント、2次エンドポイントはMACCEとした(実際は4論文中2本がアスピリン単剤とDAPTの比較、1本はアスピリン単剤とチカグレロル単剤の比較、1本がアスピリン単剤、DAPT、チカグレロル単剤の3群比較)。静脈グラフト不全はCTかCAGでの閉塞ないし50%以上の狭窄と定義し、出血イベントはBleeding Academic Research Consortium(BARC)の基準を用いている。これは医学的に問題とならないType 1から致死的なType 5まで分かれており、本論文では臨床的に有意で対処を要するType 2、Hb 3g/dLを超える低下や輸血を要するType 3、致死的出血のType 5の3カテゴリーを「出血イベント」と定義した。

5~11歳へのBNT162b2ワクチンのオミクロン株に対する有効性(解説:寺田教彦氏)

 本論文は、新型コロナウイルスのオミクロン変異株流行中における5~11歳へのBNT162b2(ファイザー製)ワクチンの2回接種の有効性を報告しており、過去の報告との差異は、2回接種後のCOVID-19関連入院予防効果がより高い可能性が示唆されたことである。  本研究では、シンガポールで5~11歳の25万5,936例を解析対象としており、完全接種(2回接種後7日以上)の小児ではワクチンによるSARS-CoV-2感染の有効率は36.8%(95%CI:35.3~38.2)、COVID-19関連入院の予防が82.7%(95%CI:74.8~88.2)だった。また、ワクチン接種後の重篤な有害事象は0.005%が保健科学庁に報告されたと発表している。

初期のパーキンソン病に抗体療法は無効(解説:内山真一郎氏)

パーキンソン病はアルツハイマー病に次いで2番目に多い神経変性疾患であり、先進国では60歳以上の約1%に存在する。ドーパミン補充療法は症状の改善に有効であるが、病気の進行を防ぐことはできず、時間が経つとLドーパ抵抗性が出現することから、疾患修飾療法の登場が期待されている。パーキンソン病の病理はα-シヌクレインにリンクしており、α-シヌクレインはパーキンソン病の病理に特徴的なレビー小体の主要な構成成分である。cinpanemabは凝集した細胞外のα-シヌクレインに特異的に結合するヒト由来のモノクローナル抗体である。この第II相試験(SPARK)では初期のパーキンソン病患者にcinpanemabを静脈投与し、有効性、安全性、薬力学、薬物動態を評価した。

心筋炎リスクを天秤にかけても新型コロナワクチンは接種したほうがよいようだ(解説:甲斐久史氏)

感染力は強いものの重症化率が低いとされるオミクロン株が主流となったことで、正常な社会経済活動と新型コロナウイルスが共存するWithコロナ時代が本格的到来かと思われた。しかし、オミクロン株BA.5による感染拡大第7波は、8月に入ってもピークアウトすることなく、3年ぶりの行動制限のない夏休み・お盆休みを迎えた。感染者も小児〜若年者中心から後期高齢者も含めた全年齢層に拡大し、重症者数・死亡者数も着実に増加している。加えて、多くの医療従事者が感染者あるいは濃厚接触者となることで出勤停止となり、その結果、コロナ診療のみならず一般医療・救急医療はこれまでにない逼迫した状況に直面している。そのような中、60歳以上の高齢者に加えて、急遽、医療従事者および高齢者施設等の従事者への新型コロナワクチン第4回目接種が進められることとなった。わが国における3回目接種率は60歳以上では80%以上であるのに対して、12〜19歳では36%、20〜30歳代では50%前後にとどまっている。若者ほどワクチン接種後の高熱や倦怠感といった副反応が強いことに加え、若者には実感しにくい重症化予防効果はさておき、目に見える感染予防効果がオミクロン株において低下していることもその背景にあろう。

tPA静注+経皮的脳血栓回収術が今後も標準治療として選択されることになるだろう(解説:高梨成彦氏)

 現在標準治療として推奨されているtPA静注+経皮的脳血栓回収術のBridging Therapyに対して、血栓回収術を単独で施行するDirect Thrombectomyの非劣性は示されなかった。とくに患者の半数を占めた中国とベトナムのアジア圏においてBTの有効性が高いという結果であった。  BT vs.DTに関しては下表に示したように本研究を含めて6つの試験が行われている。しかしDTの非劣性が示されたのはDIRECT-MTとDEVTの2つであり、これら2試験は非劣性マージンが広いこと、Door-to-IVT timeが長いことなどが指摘されている。

中等度スタチン+エゼチミブ併用は高用量スタチンに比べて、心血管疾患再発予防に非劣性で、かつ有害事象は少ない:ただしわが国とスタチン用量が異なる点は注意が必要(解説:桑島巖氏)

動脈硬化性疾患(ASCVD)を有する例において、2次予防のためにはLDLコレステロール値と再発予防の関係はthe lower, the betterが定着しつつある。本年度改定された、わが国の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022」でも、2次予防のためにはLDLコレステロール値の治療目標値は70mg/dL未満としている。その目標値達成のためには、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)を最大量まで増量するか、あるいは中等度のスタチンと脂質低下機序の異なるエゼチミブを併用すべきか迷うところである。コレステロールの合成抑制と、消化管からの脂肪吸収抑制という異なる機序の薬剤を組み合わせることは、合理的と考えられるが、そのエビデンスが望まれていた。

急性期脳梗塞、血栓回収術単独療法の非劣性は確認されず/Lancet(解説:中川原譲二氏)

脳主幹動脈閉塞に起因する急性期脳梗塞に対する血栓回収術単独療法の有効性については、静脈内アルテプラーゼ+血栓回収術(併用療法)と比較して、その非劣性は確認されず、単独療法による再灌流の成功率が有意に低いことが、Urs Fischerらのthe SWIFT DIRECT Collaboratorsによる無作為化非劣性試験によって示された。研究の詳細は、Fischer U, et al. Lancet. 2022;400:104-115.で報告された。欧州とカナダで行われたこの多施設無作為化非盲検評価者盲検試験では、血栓回収術のデバイスとして、ソリティア ステント レトリーバーが用いられ、有効性の主要エンドポイントは、治療後90日の時点での修正Rankin scale(mRS)スコア0~2点の達成とされ、血栓回収術単独治療の併用療法に対する非劣性が評価された(Mantel-Haenszel リスク差の片側95%信頼区間[CI]の下限12%を非劣性マージンとした)。主な安全性評価項目は、すべての症候性頭蓋内出血とされた。

LDL-コレステロール:Still “The lower, the better!”(解説:平山篤志氏)

1994年に発表された4S試験以来、スタチンによるLDL-コレステロール(LDL-C)の低下が心血管イベントを減少させることがすべての試験で示されてきた。ただ、その機序がスタチンのLDL-C低下作用だけによるものなのか? あるいは、抗炎症作用を含めたプレイオトロピック効果が加わることによるのか? 長い間の議論があった。2005年に発表されたIMPROVE-IT試験さらには2017年に発表されたFOURIER試験で、非スタチン製剤の追加投与でLDL-Cを低下させることでイベント減少効果が示され、LDL-C低下の効果から、“The Lower, The Better”という論文がNEJM誌に掲載された。

DPP-4阻害薬は胆嚢炎発症リスクを増加させる(解説:住谷哲氏)

 DPP-4阻害薬は低血糖を生じにくい安全な血糖降下薬として多くの患者に処方されている。しかしこれまでにDPP-4阻害薬投与と、心不全、水疱性類天疱瘡、急性膵炎、重症関節痛との関連が示唆されてきた。とりわけ初回治療薬として処方される血糖降下薬の約70%がDPP-4阻害薬とされるわが国では、まれな副作用についても注意が必要である。  GLP-1が胆嚢のmotilityに影響することは以前から知られており、血中GLP-1濃度を上昇させるDPP-4阻害薬が胆道・胆嚢疾患の発症リスクを増大させるのではないかとの懸念は以前からあった。GLP-1受容体作動薬であるリラグルチドが胆嚢・胆道疾患の発症と関連することはすでに報告されていたが、DPP-4阻害薬について報告がなかった。そこで著者らは、これまでに報告された82のRCTの結果を用いて、DPP-4阻害薬と胆道・胆嚢疾患発症との関連を検討した。

たくさんある睡眠薬、どれを使うべきか (解説:岡村毅氏)

睡眠薬はとてもたくさんの種類がある。そして、それぞれがエビデンスの裏付けがある。具体的には、プラセボ(偽薬)あるいは従来の薬と比較して、膨大な数のスタディが行われているのである。効果があるとか、有害事象が少ないとか、それなりのよい結果が積み重ねられて、市場に出てくる。 この膨大な数のスタディをまとめて、そもそもどの薬が、効果がきちんとあって、有害事象が少ないか、一望しようというのがネットワークメタ分析である。精神科というのは、患者さんがとても多く、社会的ニーズが大きい。同時に、病態や治療の数値化が難しい(たとえば高血圧の治療なら血圧という数値がすべてを物語るのと真逆だ)。よって、とくにさまざまな薬が乱立する傾向にある。

奥が深い“NO benefit”(解説:今中和人氏)

本邦では保険収載されるほど、一酸化窒素(NO)療法は広く普及している。NOは水溶性が低く、急速に失活する生理活性物質であるため、基本コンセプトは経気道的投与と気道付近にほぼ限局した血管拡張で、もっぱら肺血圧低下と換気血流比不均衡是正に伴う呼吸・循環状態の改善を目的に使用される。本論文は開心術中、人工肺にNOを送気するトライアルで、前述の基本コンセプトと大幅に異なるが、実は2013年には小児で、2019年には成人で、この方法の有用性を示した先行研究がJTCVS誌に掲載されている。ただ、いずれも前向き無作為化試験といっても単施設で患者数がかなり少なく、共通する便益は半日後や翌日の一過性のバイオマーカー値のみだったが、他に2016年に1本、小児で臨床的な有効性を報告した200例規模の論文も存在する。

循環器内科でも血栓溶解療法に期待が集まった時代がありました!(解説:後藤信哉氏)

心臓でも脳でも、臓器灌流血管が血栓閉塞すると臓器に不可逆的な虚血性障害が起こる。筆者が循環器内科を始めた1980年代には血栓溶解療法に期待が集まった。フィブリン選択性のないストレプトキナーゼによる急性期の生命予後改善効果が大規模ランダム化比較試験(Second International Study of Infarct Survival:ISIS-2試験)にて示され、心筋梗塞急性期の標準治療となると期待された。ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼはフィブリン選択性がない。すなわち、血液中にて線溶が起こりフィブリノーゲンも消費してしまう。血栓を作るフィブリンに選択的に作用する線溶薬を開発できれば標準治療になると期待された。線溶研究は盛り上がった。血管内皮細胞が産生するフィブリン選択的線溶薬tissue type plasminogen activator(t-PA)は期待された。分子生物学の勃興期でもあり、フィブリン選択性の高い製剤、単回静注にて効果の持続する製剤などが多数作られた。

オミクロン株流行時期における5~11歳児に対するBNT162b2ワクチンの有効性(解説:寺田教彦氏)

本研究はBNT162b2ワクチンのオミクロン株流行時期における5~11歳を対象にした研究である。オミクロン株の流行中に新規のワクチン接種を受けた小児におけるBNT162b2ワクチンの有効性を推定するため、イスラエル最大の医療組織であるクラリット・ヘルス・サービス(CHS)のデータを用いて2021年11月23日以降にワクチン接種を受けた5~11歳児と未接種の対照をマッチさせてSARS-CoV-2感染の予防、有症状のCOVID-19患者を比較しており、和文要約は「オミクロン株流行中の5~11歳のワクチン接種、実際の有効性は?/NEJM」に記載がある。

生物学的製剤未使用の中等症から重症の活動性を有するクローン病患者における寛解導入および維持療法としてのウステキヌマブとアダリムマブの第III相比較試験(解説:上村直実氏)

近年、クローン病の治療において5-アミノサリチル酸塩(5-ASA)、免疫調整薬、ステロイドなどを用いた従来の治療法が無効な場合に、抗TNFα阻害薬(インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブなど)、インターロイキン(IL)阻害薬(ウステキヌマブ)、抗インテグリン抗体薬(ベドリズマブ)といった生物学的薬剤が使用されることが多くなっている。新たに開発された生物学的製剤の有用性と安全性を検証するための臨床試験は薬事承認を目的としたものが多く、既存の治療において有効性に乏しい患者を対象としたプラセボ対照の無作為化比較試験(RCT)が常套手段となっており、実際のクローン病診療現場で治療方針に迷うことのある生物学的製剤同士を直接比較した検討は見当たらなかった。今回、18ヵ国121施設が参加した国際共同研究として、過去に生物学的製剤が使用されていない中等症〜重症活動期のクローン病患者を対象として、世界市場の売上高が第1位のアダリムマブ(ヒュミラ)と第4位のウステキヌマブ(ステラーラ)の単剤療法の有効性を直接比較した二重盲検RCT(SEAVUE試験)の結果が、2022年6月のLancet誌に報告された。結果として、本試験の主要評価項目である試験開始から52週時の臨床的寛解率(クローン病活動指数:CDAIの低下)および、種々の副次的評価項目(内視鏡的有効性、入院率の低下率、ステロイドフリー率、腸管切除の減少率などクローン病の長期的な予後の改善に強く関連する項目)について、アダリムマブ群とウステキヌマブ群の両群間に有意な差は認められなかった。安全性に関しても既知のプロファイルと変化なく、両群間での差はなかった。

新型コロナウイルス感染症は妊婦で重症化しやすく、早産と帝王切開のリスクを上げる(解説:前田裕斗氏)

新型コロナウイルス感染症と妊婦の関係性について、これまで(1)一般女性と比較して妊娠中にとくに罹患しやすいということはない(2)罹患した場合は一般女性よりも重症化しやすい(3)罹患した場合、妊娠合併症(帝王切開や早産など)が増えるなどの可能性が報告されている。なお、上記は母体についての影響の話であり新生児については記載していない。このうち、(2)と(3)については複数の中小規模の研究があるものの、研究組み入れ基準が症状ではなく入院時PCR陽性が条件である、同時期のコホートを比較対象とした研究は少なかった。今回の研究では、同時期の妊娠していない新型コロナウイルス感染者と比べた感染妊婦の重症化リスク、および感染妊婦の中でも重症化しやすい要因、そして非感染妊婦と比較して妊娠合併症が増えるかどうかについて検討している。

オミクロン株時代の未成年者に対するRNAワクチン接種法とは?(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)

本論評の主たる対象論文として取り上げたのはFleming-Dutraらの報告で、未成年者(5~17歳)を対象としてBNT162b2(Pfizer社)のオミクロン株に対する感染/発症予防効果を調査したものである。未成年者の分類は国際的に統一されたものはなく、本論評では各製薬会社の分類に準拠し、生後6ヵ月以上~4歳(Pfizer社)あるいは6ヵ月以上~5歳(Moderna社)を幼児、5~11歳(Pfizer社)あるいは6~11歳(Moderna社)を小児、12~17歳(Pfizer社、Moderna社)を青少年と定義する。本論評では、ワクチン接種の最先端国である米国と本邦の現状を比較し、本邦において未成年者のワクチン接種として今後いかなる方法を導入すべきかについて考察する。

活性型ビタミンD3は耐糖能異常患者の2型糖尿病発症を予防しない(解説:住谷哲氏)

後ろ向きの観察研究で有効性が示唆されたが、前向きのランダム化比較試験で有効性が否定されることは少なくない。ビタミンD3物語もその1つだろう。がん、心血管病、認知症などの発症を予防できるのではないかと期待されたが、残念ながら現時点でビタミンD3がこれらの疾患の発症を予防するエビデンスは存在しない。今回、新たにその物語に追加されたのが2型糖尿病発症予防効果である。わが国で多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験を実施することはかなりの困難があると思われる。