1型糖尿病妊婦、クローズドループ療法は有効/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2025/11/17

 

 1型糖尿病の妊婦において、クローズドループ型インスリン注入システムの利用(クローズドループ療法)は標準治療と比較して、妊娠中の目標血糖値(63~140mg/dL)達成時間の割合(TIR)を有意に改善させたことが、カナダ・カルガリー大学のLois E. Donovan氏らCIRCUIT Collaborative Groupが行った非盲検無作為化試験「CIRCUIT試験」の結果で示された。高血糖に関連した妊娠合併症は、1型糖尿病妊婦では発生が半数に上る。クローズドループ療法による血糖コントロールの改善は妊娠中以外では確認されているが、妊娠中の試験は限られていた。著者は、「今回の結果は、1型糖尿病妊婦へのクローズドループ療法の実施を支持するものである」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年10月24日号掲載の報告。

妊娠16~34週における妊娠特異的TIRを評価

 CIRCUIT試験は、妊娠中のクローズドループ療法の有効性の評価を目的とし、2021年6月~2024年7月に、カナダとオーストラリアにある妊娠糖尿病専門クリニック14施設で1型糖尿病妊婦を登録して行われた(追跡調査は2025年3月に完了)。

 被験者は、クローズドループ療法群または標準治療群に1対1の割合で無作為に割り付けられた。

 クローズドループ療法群には、Control-IQインスリンポンプ(Tandem製)が提供され、妊娠中の使用の推奨事項(1日24時間の最低目標血糖値[112.5~120mg/dL:睡眠時]の使用、運動時のより高値のオプション値の使用など)が提示された。妊娠20週後は、それより1~2週間前の平均的な自動基礎インスリン投与量よりも約20%高い基礎インスリン投与量をプログラムすることが推奨された。

 標準治療群には、持続血糖モニタリングに関する教育と機器が提供され、無作為化前のインスリン投与法(従来インスリンポンプ[Medtronic製MiniMed、Tandem製Basal-IQ]やインスリン頻回注射療法)が継続された。

 両群の被験者は全員、妊娠糖尿病ケアチームからインスリン投与量に関するサポートを、試験地の標準治療に従って受けた。

 主要アウトカムは、妊娠16~34週に持続血糖モニタリングで計測された妊娠特異的TIR(目標血糖値は63~140mg/dL)とした。

クローズドループ療法群65.4%、標準治療群50.3%で有意差

 94例が登録され、無作為化前に妊娠喪失を経験した3例を除く91例が無作為化された。主要解析には、クローズドループ療法に割り付けられた2例(妊娠20週未満で流産)と標準治療群に割り付けられた1例(無作為化後に試験離脱・データ提出拒否)を除く88例(平均年齢31.7[SD 5.2]歳、妊娠初期のHbA1c値7.4%[SD 1.0])が包含された。

 妊娠16~34週における妊娠特異的TIR(平均値)は、クローズドループ療法群65.4%、標準治療群50.3%であった(補正後平均群間差:12.5%ポイント、95%信頼区間:9.5~15.6、p<0.001)。

 妊娠中の重症低血糖エピソードはクローズドループ療法群1例で報告された。糖尿病性ケトアシドーシスはクローズドループ療法群で2例、標準治療群で1例が報告された。

(ケアネット)

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コメンテーター : 小川 大輔( おがわ だいすけ ) 氏

おかやま内科 糖尿病・健康長寿クリニック 院長

J-CLEAR会員