常染色体優性多発性嚢胞腎の遺伝的基盤は予想以上に多彩/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2023/01/16

 

 常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)の遺伝に関する研究の多くは、PKD1PKD2に焦点を当てたコホートで行われるため、ADPKD関連遺伝子変異の有病率やその表現型の発現状況を推定する際にバイアスが生じる可能性があるという。米国・GeisingerのAlexander R. Chang氏らは、同国の大規模な非選択的コホートで他の遺伝子を含むADPKDの遺伝的基盤と表現型について検討し、ADPKDはこれまで考えられていた以上に高度な多様性を有し、遺伝的なばらつきが認められることを示した。研究の成果は、JAMA誌2022年12月27日号に掲載された。

ペンシルベニア州の後ろ向き観察研究

 研究グループは、米国ペンシルベニア州中部地域と北東地域の医療システムベースの非選択的コホートにおいて、エクソームシークエンス(2004~20年に登録)と電子健康記録(EHR)データ(2021年10月まで)を用いて、後ろ向き観察研究を行った(筆頭著者は、米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所[NIDDK]の助成を受けた)。

 PKD1PKD2、嚢胞腎関連の他の遺伝子(ALG8ALG9DNAJB11GANABHNF1BIFT140SEC61BPKHD1PRKCSHSEC63)における機能喪失型(LOF)変異、およびPKD1PKD2の病原性と考えられるミスセンス変異について調査が実施された。

 コホート内の患者数は17万4,172例(年齢中央値60歳[IQR:44~72]、女性60.6%、欧州系93%)であった。このうち178家族の303例がADPKDの診断コード(ICD-9またはICD-10)を有しており、診療録調査の結果、303例中235例がADPKDと確定された。

遺伝子型を優先した早期診断の可能性も

 PKD1PKD2に加え、IFT140GANABHNF1BのLOF変異が、ADPKDの診断と関連していた。PKD1のLOF変異を有する患者68例のうち66例(97%)、PKD2のLOF変異を有する43例のうち43例(100%)がADPKDであった。

 これに対し、以前に「病原性の可能性が高い」に分類されていたPKD1ミスセンス変異の77例では、ADPKDは24例(31.2%)のみであり、誤分類または浸透度のばらつきが示唆された。

 診療録調査で確定されたADPKD患者235例では、180例(76.6%)が遺伝的な原因の可能性があり、多くはPKD1(127例)またはPKD2(34例)のまれな変異で、残りの19例(8.1%)は嚢胞腎関連の他の遺伝子変異を有していた。また、確定ADPKD患者235例中150例(63.8%)にはADPKDの家族歴があった。

 ADPKDの遺伝的決定因子の割合は、ADPKDの家族歴を有する集団が91.3%(137/150例)と、家族歴のない集団の50.6%(43/85例)に比べて高かった(群間差:40.7%、95%信頼区間[CI]:29.2~52.3、p<0.001)。

 さらに、これまで報告されていないPKD1PKD2GANABの変異が、病原性を示唆する家系データと共に特定され、これまで病原性の可能性が高いと報告されていたPKD1のミスセンス変異のいくつかは良性と考えられた。

 著者は、「ADPKDの遺伝的原因に関する知識が深まれば、遺伝子型を優先した早期診断が可能となり、トルバプタンなどの薬剤の予防的または疾患修飾作用を期待した使用や早期治療への導入のほか、進行中の臨床試験で評価が進められている新たな治療選択肢の使用が可能になると考えられる」としている。

(医学ライター 菅野 守)