コロナワクチン3回目、7種のワクチンを比較/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2021/12/16

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン、ChAdOx1(AstraZeneca製、ChAd)またはBNT162b2(Pfizer-BioNtech製、BNT)の2回接種後の追加接種として、7種のCOVID-19ワクチン接種による免疫原性を調べたところ、ChAd 2回接種群では7種すべてで、BNT 2回接種群では6種で、抗体および中和反応の増加が認められた。英国・サウサンプトン大学病院のAlasdair P. S. Munro氏らが、2,878例を対象に行った第II相多施設共同無作為化試験「COV-BOOST試験」の結果を報告した。Lancet誌オンライン版12月2日号掲載の報告。

ワクチン2回接種後、70日・84日以降に7種ワクチンを追加接種

 COV-BOOST試験は、年齢30歳以上でChAdを2回接種後70日以上、またはBNTを2回接種後84日以上経過しており、検査で確認されたSARS-CoV-2感染歴がない人を対象とした。18ヵ所の試験センターをA~Cの3グループに分け、各グループで被験者を無作為化した。

 グループAでは被験者を4群(1対1対1対1)に分け、NVX-CoV2373(Novavax製、NVX)を規定量、NVXを規定の半分量、ChAd、4価髄膜炎菌結合型ワクチン(MenACWY)を接種した。

 グループBでは被験者を5群(1対1対1対1対1)に分け、BNT、VLA2001(Valneva製、VLA)を規定量、VLAを規定の半分量、Ad26.COV2.S(Janssen製、Ad26)、MenACWYを接種した。

 グループCでは被験者を4群(1対1対1対1)に分け、mRNA1273(Moderna製、m1273)、CVnCov(CureVac製、CVn)、BNT半分量、MenACWYを接種した。

 被験者および試験スタッフは、割り付けを知らされなかった。

 主要アウトカムは、安全性と反応原性、およびELISA法測定による抗スパイクIgG抗体の免疫原性。副次アウトカムは、ウイルス中和と細胞応答の評価などだった。

唯一、BNT 2回接種後のVLA投与でスパイクIgG抗体増加せず

 2021年6月1日~30日に3,498例がスクリーニングを受け、2,878例が試験の適格基準を満たし、COVID-19ワクチンまたはコントロールワクチンの接種を受けた。ChAd 2回接種者の年齢中央値は、若年群が53歳(IQR:44~61)、高齢群が76歳(73~78)であり、BNT 2回接種者はそれぞれ51歳(41~59)、78歳(75~82)であった。ChAd 2回接種者は、女性が46.7%、白人95.4%で、BNT 2回接種者はそれぞれ53.6%、91.9%だった。

 7種のワクチンのうち、反応原性の増加が認められたのは、ChAdまたはBNTを2回接種後のm1273、BNTを2回接種後のChAdおよびAd26の3種のワクチンだった。

 ChAd 2回接種者では、コントロール群に対するスパイクIgG抗体の幾何平均比(GMR)は、VLA半分量群が1.8(99%信頼区間[CI]:1.5~2.3)と最小で、m1273群が32.3(24.8~42.0)と最大だった。野生型細胞反応性に関するスパイクIgG抗体の対コントロール群GMRは、ChAd群が1.1(95%CI:0.7~1.6)と最小で、m1273群が3.6(2.4~5.5)と最大だった。

 BNT 2回接種者では、スパイクIgG抗体の対コントロール群GMRはVLA半分量群が1.3(99%CI:1.0~1.5)と最小で、m1273群が11.5(9.4~14.1)と最大だった。VLA(半分量と規定量)群はいずれも99%CI上限値が、事前に規定した最低ラインの1.75に至らなかった。野生型細胞反応性に関する対コントロール群GMRは、VLA半分量群が1.0(95%CI:0.7~1.6)と最小で、m1273群が4.7(3.1~7.1)と最大だった。これらの結果は、年齢30~69歳と、70歳以上で類似していた。

 最も頻度の高い局所および全身性の有害事象は倦怠感と痛みで、70歳以上よりも30~69歳で報告例が多かった。重篤な有害事象はまれであり、ワクチン群とコントロール群で同程度だった。報告された重篤な有害事象は24件で、内訳はコントロール群とVLA群が各5件、Ad26群とBNT半分量群とChAd群とNVX群とNVX半分量群で各2件、VLA半分量群とBNT群とCVn群とm1273群が各1件だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)