J&Jの新型コロナワクチン、重症・重篤化に高い予防効果/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2021/05/03

 

 Janssen(米国・Johnson & Johnsonグループの医薬品部門)の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「Ad26.COV2.S」は、単回接種によりCOVID-19を予防し、とくに入院や死亡を含む重篤なCOVID-19に対する有効率が高いことが認められた。安全性は、他のCOVID-19ワクチンの第III相試験と同様であった。オランダ・Janssen Vaccines and PreventionのJerald Sadoff氏らが、Ad26.COV2.Sの国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験「ENSEMBLE試験」の結果を報告した。Ad26.COV2.Sは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の完全長・安定化スパイク(S)タンパク質をコードする遺伝子組み換え非増殖型アデノウイルス血清型26(Ad26)ベクターである。NEJM誌オンライン版2021年4月21日号掲載の報告。

米国、南米、南アフリカにおいて、約4万4,000人にワクチンまたはプラセボを接種

 ENSEMBLE試験は、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー、南アフリカおよび米国において実施された。研究グループは、18歳以上の成人をAd26.COV2.S(ウイルス粒子量5×1010/mL)群(以下ワクチン群)またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、単回接種した。

 主要評価項目は、per-protocol集団における接種後14日以降、および接種後28日以降の中等症~重症・重篤COVID-19発症で、安全性についても評価した。

 2020年9月21日に登録を開始し、計4万4,325人が無作為化され、うち4万3,783人が接種を受けた(ワクチン群2万1,895人、プラセボ群2万1,888人)。per-protocol集団は、ワクチンまたはプラセボの接種を受け、接種時SARS-CoV-2血清陰性または不明でプロトコールの逸脱がなかった参加者と定義し、3万9,321人(ワクチン群1万9,630人、プラセボ群1万9,691人)が含まれた(データカットオフ日は2021年1月22日)。

重症・重篤COVID-19予防の有効率は接種後14日以降で77%、28日以降で85%

 接種後14日以降に発症した中等症~重症・重篤COVID-19症例は、ワクチン群116例、プラセボ群348例であり、有効率は66.9%(補正後95%信頼区間[CI]:59.0~73.4)であった。また、投与後28日以降の同症例はそれぞれ66例および193例で、有効率は66.1%(55.0~74.8)であった。

 COVID-19重症度別の有効率は、接種後14日以降発症例で中等症64.8%(補正後95%CI:55.8~72.2)に対し重症・重篤76.7%(54.6~89.1)、接種後28日以降発症例でそれぞれ62.0%(48.7~72.2)および85.4%(54.2~96.9)であり、ワクチンは重症・重篤COVID-19の予防効果がより高いことが示された。

 南アフリカでは、20H/501Y.V2変異株が高頻度に検出されたが(91配列中86配列、94.5%)、有効率は、接種後14日以降発症の中等症~重症・重篤COVID-19に対して52.0%(補正後95%CI:30.3~67.4)、重症・重篤COVID-19に対して73.1%(40.0~89.4)、接種後28日以降でそれぞれ64.0%(41.2~78.7)および81.7%(46.2~95.4)であった。

 重篤な有害事象の発現率は、両群とも0.4%であった。静脈血栓塞栓症はワクチン群11例、プラセボ群3例に認められたが、多くは基礎疾患や素因に起因している可能性が考えられた。死亡例はワクチン群で3例(COVID-19との関連なし)、プラセボ群で16例(5例がCOVID-19関連死)であった。

(ケアネット)