「降圧薬で正常血圧」でも循環器疾患死亡リスクは依然高い―筑波大の研究グループ

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HealthDay News

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 日本人の一般集団では、降圧薬の服用により血圧が130/85mmHg未満にコントロールされていても、循環器疾患により死亡するリスクは依然として高いことが、筑波大学医学医療系教授の山岸良匡氏らの研究グループの検討で分かった。この原因として、同氏らは、降圧薬を服用する患者には糖尿病や脂質異常症などの他のリスク因子や、心房細動や動脈硬化などの併存疾患があることが多く、もともと心血管疾患リスクが高かったことが影響した可能性を指摘している。詳細は「Journal of Hypertension」3月14日オンライン版に掲載された。

 山岸氏らは今回、日本人の生活習慣とがんとの関連を調べる大規模なコホート研究(JACC研究)データを用いて、血圧と循環器疾患による死亡の関連と、降圧薬の服用の有無による影響について分析した。

 対象は、JACC研究に参加した日本全国45地域のうち、血圧測定データのある30地域の成人2万7,728人。欧州の高血圧ガイドライン基準に基づき、対象者を、健診時の血圧値で(1)至適血圧(120/80mmHg未満)、(2)正常血圧(120~129/80~84mmHg)、(3)正常高値(130~139/85~89mmHg)、(4)I度高血圧(140~159/90~99mmHg)、(5)II~III度高血圧(160/100mmHg以上)の5つの群に分けて循環器疾患による死亡率を比較検討した。

 複数の因子で調整した解析の結果、「正常高値」群と比べた循環器疾患による死亡リスクは、至適血圧群では0.85倍、正常血圧群では0.96倍だったのに対し、I度高血圧群では1.26倍、II~III度高血圧群では1.55倍と、血圧の上昇とともにそのリスクは高まることが分かった。

 また、こうした血圧と循環器疾患による死亡リスクとの関連は、降圧薬を服用していない人だけに認められることも明らかになった。降圧薬を服用している人では、「正常高値」群と比べた循環器疾患による死亡リスクは、至適血圧群では2.31倍、正常血圧群では1.68倍、I度高血圧群では1.56倍、II~III度高血圧群では1.63倍であり、血圧が129/84mmHg以下にコントロールされていても死亡リスクは高いことが示された。なお、これらの結果に性差は認められなかったという。

 これらの結果について、山岸氏らは「降圧薬を服用する人で循環器疾患の死亡リスクが高値を示したのは、過度の降圧による影響を否定できないケースもあるが、一概に降圧薬の服用で血圧が下がったことが原因とは言えない。降圧薬を必要とする人の中には、もともと心血管疾患リスクが高く、強力に血圧を下げる治療を受けていたり、合併症が原因で血圧が下がっていることがあり、そのもともとの心血管リスクや合併症が原因で死亡リスクが高値を示した可能性が考えられる」と説明している。そのため、同氏らは「降圧薬の服用により血圧が129/84mmHg以下にコントロールされていても、併存するリスク因子や合併症の管理に注意する必要がある」と注意を促している。

[2019年4月15日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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