高齢者では低強度運動がインスリン抵抗性と関連か―名古屋大の研究グループ

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高齢者では低強度運動がインスリン抵抗性と関連かのイメージ

 糖尿病のない日本人の高齢者では、低強度の身体活動と1日の歩数はインスリン抵抗性をはじめとする心血管代謝リスク因子と関連する可能性があることが、名古屋大学大学院地域在宅医療学老年科学准教授の梅垣宏行氏らの研究グループの検討で分かった。高齢者におけるインスリン抵抗性の予防や改善には、運動強度よりも運動量の方が重要だと考えられるという。詳細は「Diabetes Research and Clinical Practice」7月26日オンライン版に掲載された。

 インスリン抵抗性は血糖異常や脂質異常、高血圧につながるだけでなく、認知機能の低下やサルコペニア(加齢に伴う筋肉量の減少)と関連することが示されている。そのため、高齢者の2型糖尿病の発症を予防するにはインスリン抵抗性の改善が重要とされる。梅垣氏らは今回、糖尿病のない高齢の地域住民を対象に、身体活動とインスリン抵抗性をはじめとする心血管代謝リスク因子との関連を検討する横断研究を実施した。

 対象は、愛知県豊田市の住民を対象に運動が認知機能に及ぼす影響を検討したランダム化比較試験に参加した、65~85歳の高齢者388人(平均年齢72.5±4.7歳、男性51%)。研究開始時に加速度計を用いて評価した低強度または中高強度の身体活動や1日の総歩数などと、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)や血圧、脂質、炎症マーカーなどの心血管代謝リスク因子との関連を調べた。

 その結果、低強度身体活動が増えるほど血圧値とトリグリセライド(TG)値は低下し、ウエスト周囲長とBMIは減少し、HDL-コレステロール値は上昇したほか、インスリン抵抗性は改善することが分かった。1日の総歩数もインスリン抵抗性と有意に関連することが明らかになった。一方、中高強度身体活動はTG値とC反応性蛋白(CRP)値、インスリン抵抗性と関連した。

 さらに、多変量回帰分析の結果、低強度身体活動とインスリン抵抗性は、血圧値やBMI、TG値などとは独立して関連したのに対し、中高強度身体活動とインスリン抵抗性との関連は、他の因子で調整後の解析では消失することも分かった。

 以上の結果を踏まえ、梅垣氏らは「今回の研究では、糖尿病のない高齢者では、インスリン抵抗性には低強度の身体活動と1日の歩数が関連する可能性が示された。高齢者の健康を維持するためには、医療従事者が中心となって運動するように働きかける必要がある」と述べている。

[2018年10月9日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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