インフルエンザへの効果を謳う不正な医薬品にFDAが注意喚起

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/01/25

 

 米国ではインフルエンザが猛威を振るっている。そのような中、米食品医薬品局(FDA)は12月13日、インフルエンザの治癒や予防、あるいは重症化防止といった名目で販売されているOTC医薬品(市販薬)に注意するよう呼び掛けた。このような製品の販売者が主張する内容は正確性や安全性に欠けている可能性があるという。

 FDAはニュースリリースで、「こうした製品は有名なインターネット上のマーケットプレイスや実店舗で、栄養補助食品として、あるいは食品、手指の消毒剤、鼻スプレー、デバイスとして販売されている可能性がある」と指摘している。そのような製品の例としてFDAは、一部のハーブティーや特定のエアフィルター、インフルエンザの予防効果や治癒効果、熱や筋肉痛、鼻詰まりといった症状に対する効果を謳った光線療法を挙げている。

 FDAは、これらの虚偽・誇大表示の製品を信じることは、本当に必要な治療の遅れや受診控え、治療の中断などにつながり、重篤で致死的な害がもたらされる可能性があると警鐘を鳴らしている。また、これらの製品には、副作用や他の薬剤と相互作用を起こし得る成分が含まれている可能性もあるとしている。

 このような虚偽・誇大表示製品を販売しているウェブサイトは、医療用医薬品を販売するオンライン薬局のように見える場合もある。合法的なオンライン薬局も存在するが、信頼のおけるオンライン薬局のように見えても、実際には不正なウェブサイトも数多く存在する。なお、オンラインで医療用医薬品を安全に購入する方法については、FDAの“BeSafeRxキャンペーン”に関するサイトで情報を得ることができる。

 ホメオパシー製品にもある程度の注意が必要だ。FDAの承認を受けたホメオパシー製品は一つもない。ホメオパシー製品は一般的に、植物や動物、ヒト由来の成分や細菌、ミネラル、化学物質などを薄く希釈した物質をごくわずかに含有していることがラベル表示されている。しかし、こうした製品の一部には、ラベル表示されている量を大幅に上回る有効成分が含まれており、特に小児には重大な害が及ぶ可能性があるとFDAは警告している。

 インフルエンザから自分の身を守る最も良い方法は、毎年インフルエンザワクチンを接種することだ。米疾病対策センター(CDC)は生後6カ月以上の全ての人に対してワクチン接種を推奨している。特に、低年齢児や65歳以上の成人、慢性疾患患者などの合併症リスクが高い人ではワクチン接種が重要とされている。

 またFDAは、インフルエンザの治療薬として複数の抗ウイルス薬を承認している。これらの治療薬を手に入れるには医師の処方が必要で、発症後48時間以内に使用することで最大の効果を得られる。全てのインフルエンザ治療薬は、青少年と成人に対する使用が承認されており、生後2週間以上の小児に使用可能な治療薬もある。剤形も錠剤や液剤、吸入薬、静脈注射薬など、さまざまな選択肢がある。これらの抗ウイルス薬によって、インフルエンザを軽症に抑えられる可能性がある。なお、インフルエンザの濃厚接触者、または自分がインフルエンザに感染した可能性があるときには、かかりつけ医に相談することが望ましい。

[2022年12月26日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら